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魔理沙4 3スレ目 651(うpろだ0003) 今回は魔理沙×自分。妄想だけを頼りに頑張ってみた。 643で書いたものより短いのは気の所為。 照れる魔理沙はとても可愛い、とか言ってみるテスト。 ----------------------------------------------------------------------------------------- 月に照らされた夜の森に、二つの足音が響いている。 「なぁ、魔理沙」 一つは青年…俺のもの。 「あー、どうした」 もう一つは少女のものだ。 「なぁ、このキノコ何に使うんだ?」 「あー、魔法」 俺の手の中には籠。その中にはいくつかのキノコが入っている。 「魔法…って、どんな?」 「魔法薬だ。効果は…お前に飲ませれば解る」 「訳の判らんモノを俺に飲ませないでくれ…」 冗談を交わしながら二人は歩く。行く先は魔理沙の家だ。 「そういえば、なんで今日は一緒に来たんだ?いつもは家で実験してるだろ」 「…それ…は…その…」 「?」 魔理沙は顔を背けて、蚊の鳴くような声で言った。 「たまには…その…○○と……いっしょ…に……」 「…?」 「いっしょに…あるい…て…?うあぁ?!」 べっちーん。 突然、魔理沙が転んだ。それはもう盛大に。 「ま、魔理沙っ!大丈夫か?」 「い、いててててて…脚を…挫いたみたい…だ」 「歩けるか?」 「こ、この程度…痛っ!!」 「お、おい無理するな」 どうやら、脚を痛めたようだ。 ここから魔理沙の家までまだ距離がある。歩くのは無理だろう。 そうすると、アレしかない。 嫌ではない。むしろ色々と嬉しいのだが…とても恥ずかしい。 …この場合は仕方ないだろう。 俺は魔理沙に背を向けてしゃがみこむ。 「……?」 「その…掴まれよ。背負ってやる」 魔理沙の顔が赤くなる。 その表情が、とても可愛らしく思えた。 少しの間。 「…いい…の…?」 申し訳なさそうな顔で訊いてくる。 「お前歩けないだろ。いいから」 「…うん、ありがとう…」 そういって、少し躊躇しながら、肩に手を回す。 それを確認して、俺は立ち上がった。 「よ…っと」 …軽い。こんなにも軽いとは予想外だ。 「重い」 それが精一杯の照れ隠しだった。 「…ドラゴンメテ…」 「悪い、冗談だ。すまん」 魔理沙の脚を抱えて、ゆっくりと歩き出す。 肩に回された腕は、白くてか細い。 背中には、魔理沙の胸のふくらみまでもが感じられる。 後ろから、小さく細い息が聞こえてくる。 正直、とてもドキドキしていた。 「…○○の背中…意外と広いんだな…」 「…魔理沙も…結構…小さいな…」 「……////」 「……////」 照れくさくて、お互い何も言えなくなる。 ただ、魔理沙の身体の温もりを感じていたくて。 ゆっくりと、ゆっくりと、歩いていく。 -------------------------------------------------------------------------------------- 二人は魔理沙の家に到着した。 「よっと」 魔理沙を背中から下ろす。 「あ、ありがとう。…助かった」 少し俯きながら、真っ赤な顔をした魔理沙は言った。 …なんて可愛いのだろう。 「…そうだ○○、なにか礼をしないとな。なにか欲しいものとか、あるか?」 その問いに、俺はこう答えた。 「俺は…俺は、魔理沙に一緒に居て欲しい」 「…ぇ」 魔理沙が驚きに目を見開く。 その綺麗な琥珀色の瞳を見つめながら、さらに言った。 「俺は、…魔理沙が好きだから」 自分でも驚くほど、自然に告白していた。 魔理沙は、まだ驚きに硬直している。 …魔理沙は俺のことをどう思ってるんだろう。 それを訊ねようとした時だった。 魔理沙の顔が突然に迫ってきて… それを判断するより早く、唇と唇が触れた。 「んッ…」 俺は、何も考えられなかった。頭が真っ白になっていた。 …魔理沙が、唇を離すまでに、どれだけの時間がたったのかは判らない。 先に口を開いたのは、魔理沙だった。 「その…これは………お礼、だ…」 魔理沙は言葉を続けた。 「私も…○○が…」 一呼吸の間。 「○○が、好きだから。…だから、これからも…」 … 「これからも、よろしく…な」 嬉しかった。 何を考えるよりも早く、俺は魔理沙を抱きしめた。 「…魔理沙、大好きだ」 「うん。…嬉しい」 そのまま俺たちは、しばらく抱き合っていた。 「…今日はすっかり遅くなったな、○○」 「ああ…もう真夜中だ」 「…その…夜雀なんかに襲われると危ないから…その…」 「…?」 「…今日は、私の家に…泊まったら…どうだ…?」 -------------------------------------------------------------------------------------- 幻想郷の夜が明ける。 妖怪の時間は終わり、人間が目を覚ます。 朝日の届かない薄暗い森を、二つの人影が横切る。 俺と魔理沙は手をつないで。 昨日、道端に置き忘れたキノコを取りに。 二人で、歩いてゆく。 --------------------------------------------------------------------------------------- あとがきという名の弁解。 えーSS書くのは二回目だったりした。 相変わらず文章が異常。今は反省している。 それ以前に魔理沙の性格が安定していない罠。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 3スレ目 782 「師匠……」 「ん、何だ?」 「好きですよ」 「そういうことは、私の符を避けてから言うもんだぜ」 ………… …… 「なあ」 「何ですか?」 「腹減ったから、何か軽く作ってくれ」 「なら、煎餅でいいですね」 ………… ぱりぱり…… 「なあ○○」 「おかわりはありませんよ」 「たまには『魔理沙』って呼んでくれないか?」 「恥ずかしいから嫌です」 ぱりぱり………… ずずず………… 「まあ、何だ。その……嫌いじゃないからな。お前のことも」 「だから煎餅は切らしてますって」 「じゃあ茶のおかわりをくれ」 「いつもの出枯らしでよければ」 ずずず…… ずずず…… 「いいですけどね、二人っきりなら別に」 「煎餅か?」 「焼きませんよ、魔理沙」 ………… …… 「なあもう一回」 「やっぱり恥ずかしいから止めときます」 「いいだろ別に、減るもんじゃないし」 「減らなくても大事にするのが節約です」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 3スレ目 961 手作り弁当 ~制作編~ 21 00 「さて、張り切って作るとするか…」 22 00 「なかなか味が安定しないな…。これではとても食べさせる訳にはいかないぜ……」 23 00 「しまった!試作で材料を使い切ってしまった!紅魔館の食料庫から拝借するか……」 24 00 「ぐぁ……。また味付けが濃くなってしまった……。このレシピ本当に合っているのか?」 25 00 「なんとなく形が見えて来たか…。手製の弁当というのも奥が深いものだな……」 26 00 「よし、明日の弁当はこれで決定だな。まずは仕込みからだ……」 27 00 「……はっ!?意識が飛んでいたな……」 28 00 「……完成……もうすぐ夜明けか……もう寝よう…おやすm……zzzzz」 12 34 「うぉっ!すげー!この弁当マジで魔理沙の手作りなのか!?」 「コレくらい朝飯前だ。無駄口叩いてないで、さっさと食べたらどうだ?」 「……!?こ、これはっ!?うひはぁーーっ!!超うっめーーー!すげー!神様仏様魔理沙様ありがとーーう!!」 「当たり前だ。恐れ入ったか?私の料理の腕をナメてもらっては困る。……明日も作ってやらない事もないぞ?」 負けず嫌いの魔理沙なら、これくらいはやってそうだ… ─────────────────────────────────────────────────────────── 4スレ目 70 季節はもう梅雨なのか、外は窓をすべて閉め切ってもわかるほどの土砂降り。 既に効果音がザーザーとかではなく、ドドドドドドな感じだ。 そんなことと関係あるのか無いのか、俺は玄関先にいて、目の前には全身びしょ濡れの魔理沙。 「よぉ魔理沙。どうしたよ」 「あー……まぁ何だ。恒例の図書館突撃をしたんだがな?その帰りにこう……あー見ればわかるだろ!朝は快晴だったのに帰りにどしゃぶりとかわかるか!」 湿った金髪を手でかきながら言う。 「説明をしようとしたはいいけどいろいろ面倒くさくなって打ち切った上に逆切れとは流石魔理沙だな」 「……それは褒めてるのか?それとも貶してるのか?間違いなく後者だよな?今更訂正は聞かんからな?オーケー其処を動くなよ?」 腰を低く据え、構えるはかめh……マスタースパークの姿勢。 目がマジです目が。本気と書いてマジと読む。 「今の私は相当に機嫌が悪いからなぁ……覚悟しろな?」 「いやいや魔理沙?ここでぶっ放したら家が吹きと―――」 「問答無用だ!マスタァァァァスパアアァ―――」 「ぎゃああぁああ!」 「……くしゅ!」 ん? 「この……くしゅ!動く……くしゅ!マス……くしゅ!」 えーとこれは…… 「……魔理沙、大丈夫か?」 聞くまでもない気がしたが聞く。 そりゃあ全身びしょ濡れで長い間いたらこうなるわなぁ…… だと言うのに 「こ、このぐらいダイジョ……くしゅ!」 あーあー意地張ってるのか知らんが強がってまぁ…… ガジガジと頭をかいて溜息を一つ。 当たり前のことを言うつもりなのに覚悟がいるのは何でだろうね? 「あーもう無理すんなよ。風邪引くだろうがそれじゃぁ。風呂でも入ってけ」 「あ、ああ。ま、まぁ最初からそのつもりだったんだけどな」 はははははと空笑い。 と、顔が少し赤い。 「オマエもう風邪引いてるんじゃないだろうな?」 「……へ?何でだ?」 「いやだって顔が―――」 とペタペタと顔を触り、ピタっと硬直するは魔理沙。 「……魔理沙?」 「な、なんでもない!なぁんでもない!」 顔やら手やらをブンブン振り回して極大否定。 さらに顔が赤くなってるのは気の所為かね? 「と、兎に角風邪はまだ引いてないか……くしゅ!」 「あー……なんでもいいから先に風呂入れ」 「ん……そうする……」 さて、と言うわけで今魔理沙がうちの風呂に入っているわけだが →A.魔理沙と一緒に風呂に入る B.おとなしく出てくるのを待つ C.せっかくだから俺はこの紅い扉を選ぶぜ! とりあえずネチョは無いでしょ多分w ─────────────────────────────────────────────────────────── 4スレ目 166 親父が旅先からいきなり荷物を送ってきた 八卦路といってこの中は常に燃えてるそうだ 俺は興味本位で穴を覗き込んだ そしたらいきなり八卦炉が光り出し中から金髪の少女が現れたのだ! 「よう、お前が私の新しい主って奴か。冴えないさそうな奴だな しかし呼び出された以上は仕方ない。派手に守ってやるからよろしく頼むぜ」 ,j;;;;;j,. ---一、 ` ―--‐、_ l;;;;;; {;;;;;;ゝ T辷iフ i f'辷jァ !i;;;;; ヾ;;;ハ ノ . !lリ;;r゙ そんなふうなことを考えていた時期が `Z;i 〈.,_..,. ノ;;;;;;;; 俺にもありました ,;ぇハ、 、_,.ー-、_',. ,f゙ Y;;f ~''戈ヽ `二´ r'´ . `! ─────────────────────────────────────────────────────────── 4スレ目 231 238 269-270 香霖堂にて 店内には、すでに先客がいた。 「お、いいところに来たな、お二人さん」 魔理沙が早速話しかけてくる。 この娘はいつも、どこか少年のような笑みを浮かべている。 「いいこと、ね。日をあらためて出直すわ」 そう言うや否や、急いで帰ろうとしているのが咲夜。 店に来る途中で偶然一緒になったのだ。 「ちょ、おい待てって。宴会だよ宴会」 あわてて引き止める魔理沙を無視して歩き出す咲夜。 ああ、さすがに踏んでる修羅場の数が違う。 少しでも疑わしいものは決して信用しない。 随分と言えば随分な対応だが、魔理沙の場合にはこれもやむを得ぬ事かもしれない。 彼女が如何に迷惑な人間かは幻想郷でも有名だ。 だが、それでもこれはやりすぎだろう。 「まぁ、話しぐらい聞いていこうよ。それに、ここに買出しに来るために午前中急いで仕事したんだろ?」 僕が魔理沙の援護に回ると、ようやく立ち止まってこちらを振り返り、肩をすくめる。 話しを続けろということらしい。 僕と魔理沙がなんとなく目を合わせてため息をついていると、それまで会話に入ってこなかった霊夢が。 「人徳ね、魔理沙?」 くすくすと笑いながら茶化す。 魔理沙が少しふてくされながら説明してくれたことをまとめると、大体このようなところになる。 三日後の晩に博麗神社で宴会を行う。正確な時間は決めていないが日が暮れるところには飲み始める。酒とつまみは持参。 「って、それだけ?」 思わず声を上げてしまった僕をみんなが不思議そうな顔で眺めてくる。 「それ以外に何か必要なことがあるのかしら?」 真顔でそう返してくる咲夜の言葉を受け、先ほどの魔理沙の説明を吟味してみる。 会場の位置、日程、そして持参品。 一見問題がなさそうだが、やはりどこか変だ。でも、ここでそんなことにこだわっても仕方がない。 「いや、特には見当たらない」 そういった僕のどこがおかしかったのか。 その場にいた三人の少女達が一斉に笑い始める。 幻想に生きる連中に笑われるなんてなんとも心外なことだと思いながらも、そう悪い気はしなかった。 「それにしても」 ひとしきり笑った後、霊夢が話しを変えるように言う。 「こうも宴会が続くと、色々と大変なのよね」 実際、苦労しているのだろう。博麗神社は彼女一人でもっているようなものなのだから。 普段から一人で管理しなければならない上、何かあるたびに集合場所にされるのだ。 気がつくとこう言っていた。 「じゃあ、手伝うよ。準備とか、片付けとか」 幽霊でも見たような顔をしている霊夢の顔を見て、少しくじけそうになりながらも念を押す。 「いいだろう?」 「それは、そうしてくれれば、嬉しいけど……」 りんごみたいに真っ赤になった霊夢が何事かをぶつぶつ言っていると、それにかぶせる様に咲夜が。 「なら私のほうも手伝ってもらえないかしら。宴会に持っていく料理の下ごしらえを前の晩のうちに済ませておきたいの」 と言ってきた。 普段人に頼ることをしない彼女の申し出には多少驚いたが、快く承諾した。 鬼の形相の霊夢と彼女をあからさまに馬鹿にした表情で鼻を鳴らす咲夜の対決は、確かに見ものではあった。 しかし、そのときの僕は浮かない顔をして脇に立っている魔理沙のことが気になっていた。 「もう日暮れか。こっちに着てからは時間のたつのが速いや」 結局、あの後も店の奥から出てきた主人、こーりんを交えて散々無駄話をしてしまい、用事を済ませて店を出るころには日が沈みかけていた。 目の前にいる少女を見つめる。彼女は僕の視線に気づくこともなく、下を向いて空を飛んでいる。 元気がない。普段の彼女からは想像もつかない姿だった。 いつもなら気分を高揚させる真っ赤な夕焼けも、彼女につられたのか、どこかさびしげな光を放っている。 いきおい、僕の口数も減り、想念の中へ自己が埋没していく。 嫌われてしまったのかもしれない。 ふとそんな想像が脳裏をよぎり、思わず唇をかむ。 きっとそうだ。何がまずかったのだろう。 彼女の腰に手を回していることか。でも、そうしていないと箒に振り落とされるだろうし、やっぱり仕方ない。 「あのさ」 宙を舞う箒の上で手を離すことと、自転車に乗ったままそうすることのどちらがより危険かを真剣に考えていた僕に、魔理沙はこのように切り出した。 「ナニ?」 最悪。声が変だ。思わず頭を抱え込む僕を無視して、彼女は続ける。 「私も、頼みごとをしていいか?」 「……うん?」 「明日さ。宴会の事をあっちこっちに知らせに行くんだけど、つきあってくれないか?」 「いいよ」 即答。 当然のことだ。僕が彼女の頼みを断るはずがない。 何故なら…… 「お前ってさ」 再度物思いに沈みかけた僕を、魔理沙は速やかに現へと引き上げた。 僕の返事を待つこともなく、彼女は続ける。 「好きなやつとか、いるのか?」 頼みごとでもなんでもなかった。 いや、その話題はさっきのやり取りで終了していたのだろう。 それにしても。 「君がそれを言うのかよ」 「え?」 「や、なんでもない。好きな人なんかいない」 胸がズキズキと痛む。 ここまであからさまな嘘を吐くのはこっちに来てからは初めてだ。 何でこんな思いをしなきゃいけないんだろう。 伝えたい想い。伝えたい言葉があるのだ。 それを、今にも溢れそうなそれを彼女に告げてはいけないのだろうか? その通り。それはいけないことだ。 なぜなら、四日後の朝、僕はここを去るのだから。 今度宴会をやるのも、つまりはそういうこと。 いままでありがとう。それではさようなら。 僕のうちにつくまで沈黙は続いた。 日が暮れたせいで、別れるときも彼女の表情を確かめることはできなかった。 家に送ってもらうと、僕は食事もとらずに床についてしまった。 かたく湿った布団に包まれながら、今日起きたことをつらつらと思い出す。 香霖堂での会話。宴会。元気のなかった魔理沙。帰り道。それと…… そう、確かに覚えたはずの違和感。あの時みんなに笑われたのは心外だった。結局考えるのを諦めたんだっけ。 でも、もうその正体はつかめている。 会場の位置、日程、そして持参品。 僕はこれらの要素だけでは足らない。不足であると感じていたのだ。 何が足りないのか。 それは「誰が来るのか」だ。 幻想郷に来る前に参加した、あらゆる飲み会を思い出す。 そこで最も大事なのは、果たして自分が誰と飲むことになるのかということだった。 大嫌いな奴と隣り合わせて、終始不快な気持ちで過ごすことになったり、あまり親しくないグループの二次会に混ざってしまい、気まずい思いをする。 このようなことを避けるため、事前に参加者を調べることは大変重要なことだった。 でも、と、そこで僕ははたと気づく。 何でこんな大事なことを忘れていたのだろう。 いや、大事なこと、というのがすでにおかしいのかもしれない。 最初に違和感を持ったとき、僕はそれをどう処理したか。 「そんなことにこだわっても仕方がない」 なぜそんな風に考えたのか。 そこで、今はまったく関係のない約束が、突然脳裏をよぎった。 「明日さ。宴会の事をあっちこっちに知らせに行くんだけど、つきあってくれないか?」 こちらに来てから何度か宴会に参加したことがあったが、そのたびに魔理沙が直接参加の約束を取り付けに行くことを、僕は知っていた。 大変ではないのか。そう尋ねたこともあった。 そのとき彼女はこう答えたのだったっけ。 「そうでもないぜ。二、三人に声かけたら、後はそいつらに任せてるし」 呆れた顔をしている僕を見て、にやりと笑い、彼女はこう続けたのだ。 「ここじゃ、知らない奴が混じってても誰も気にしないぜ?」 気がつくと布団を跳ね上げていた。 どうしたというのだろう。 自分の行動が理解できずに戸惑う。 そして、そうやって悩んでいる間にも、自分の下半身が小刻みに震えていることに気がついた。 貧乏ゆすり。 小さい頃。親にみっともないからやめろとよく叱られた癖。 でも、それをなぜ、他ならぬ今この時にしているのか。 これでは、まるで…… 「まるで、焦っているみたいだ」 焦っている? 自分の考えの突飛さに笑う。 僕に焦ってまでやるようなどんなことがあるだろう。 いや、一つあるとするならば。 「お前ってさ」 「好きなやつとか、いるのか?」 限界だった。 「くっ」 布団の上でうつ伏せになって震える。 僕は魔理沙が好き。 はっきりと言葉に出してみようと思ったが、口から出るのは獣のようなうめき声だけだった。 今からでも彼女の家に押しかけて、言ってやりたいのだ。 君が好きだ、と。 でも、それは叶わない。 僕はもうすぐここを去る人間なのだから。 いや、それは後付けの理由。 本当は、本当は単に拒絶されることが怖いだけなのだ。 ここに来る前からそうだった。 根拠のない疎外感。 人付き合いの苦手な僕は、幼い頃からそれを味わって生きてきた。 そして、今もそれを実感している。 だというのに。 「ここじゃ、知らない奴が混じってても誰も気にしないぜ?」 他人が怖くて仕方がないのに。 「幻想郷はすべてを受け入れる」 とうして。今も心の底に張り付いて離れない言葉。湧き出ては枯れぬ信頼があるのだ。 昼に気づいた違和感。 なぜそれをすぐ棚上げしてしまったのか。 今ならよくわかる。 どうでもよかったのだ。 だってここはすべてのものを受け入れる場所なのだから。 そして、それにすぐ頭が回らなかったのは、きっと。 僕が、すっかりここの住人になっていたから。 黙ったまま立ち上がる。 このまま森を抜けて魔理沙の家まで歩いていくつもりだった。 夜更けの森を歩くことの危険は熟知していた。 でも、そんなことは少しも気にならなかった。 だって、やりたいことがあるのにそれをやらないなんて、おかしいから。 「そうだろ? 魔理沙」 唇の端がつり上がるのがわかり、それがまた愉快だった。 さぁ、行こう。 問題はまだ山積みで、いつ解決するのかも知れなかった。 けれど、今の自分を遮るものなんて何もない。 それだけはわかった。 なぜなら、僕はいま、こんなにも魔理沙に会いたいのだから。 人が本気で何かを望んだとき、達成できないことなどないのだ。 「僕が会いに行ったら、魔理沙はどんな顔をするだろう」 想像するだけでも楽しくなってくる。 きっと彼女らしい豪快な驚き方をするのだろう。 でも、それだけでは終わらない。 おそらく、今夜は特別な夜になる。 幻想郷中に響くくらい大きな声でこう言ってやるのだ。 「僕は、魔理沙が好きだ」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 4スレ目 352-354 初書き、初投稿。文章削り能力がないので無駄に長いです。 あといろいろと「密度」が足りてないと思います。ですので最初に謝ります。ごめんなさい。 ………… ………… 人間にとっていつ危険に遭遇するか分からない幻想郷において、読書に没頭できる静かな場所があることは非常にありがたい。 「いよーーう香霖! 遊びに来たぜーー!!」 ・・・たとえ容易に破られる静寂であったとしても。 「いらっしゃ・・・なんだまた魔理沙か」 「なんだまた○○か」 「そこ、真似をしない」 「お約束の挨拶だぜ。香霖はどうした?」 「奥でお休み、誰かさんの無茶な注文のおかげでね」 調整の仕上がった八卦炉をぞんざいに魔理沙に投げつける。 「っと、悪いな」 「悪いと思うならツケくらい払ったらどう? 森近さん徹夜で調整してたみたいだし」 聞きいれられることはないとは思うが、それでも言わなくてはならない。 がやはり聞いていない魔理沙はいそいそと八卦炉をしまう。 ・・・胸元へ。 「あの~、魔理沙さん?」 「ん、なんだ?」 「少なくとも男の目がある場所ではそんなところへ堂々としまわない方がいいと思いますが」 「はっはっはー、私と○○の仲じゃないか」 「はぁ・・・」 「やれやれ、森近さんも無茶な仕事は断ればいいのに。やっぱり魔理沙のことが好きなんだろうねぇ」 「そりゃ、な。○○が知り合う前からの深ーい付き合いがあるんだぜ」 「ふーん。で、そういう魔理沙はどうなん? 森近さんのことが好きなわけ?」 「嫌いだったらこうして調整を頼みに来るわけがない」 「いやいや、一人の男性として好きかどうか聞いているのだよ、魔理沙君」 「うるさいな! そう言う○○こそどうなんだ!」 何故か不機嫌な顔で魔理沙が詰め寄ってくる。 って、ちょっと距離が近すぎるんですけど・・・ 「え、あ、どういうこと?」 「お前こそ誰か好きなやつがいるんじゃないかってことだ!」 さらに詰め寄られ。 怒った魔理沙の顔のアップとなんともいえない柔らかい匂いが鼻をくすぐり。 自分の顔が急速に赤くなっていくのが分かる。 「え、いや、あの、その・・・」 しどろもどろになる自分を見て余裕を取り戻したのか、嫌なにやにや笑いをうかべる魔法使いが一人。 「どうした? この魔理沙さんに正直に話してみ?」 形勢は完全に逆転された。至急この状況を打開する策を立てよ。 「う、うるさい! 先に聞いたのはこっちだ! 恋の魔砲使いのくせに自分が好きなやつも分からないのかよ!」 思わず目をつぶって叫んでしまう。 下の下。⑨。総員対ショック体勢、更なる衝撃に備えよ。 ・・・あれ? さらに突っ込まれると思ったのに、目を開けると魔理沙の帽子、髪、背中。 「あ、あの、ごめん・・・」 「確かに香霖は好きだぜ・・・世話になってるしな。 けど、○○のことも、その、悪くはないと思っている」 え、なんでこうなってるの? 「え、それってどういう・・・」 「ああはっきり言ってやる! ○○! 私はお前が好きだ! さぁ言ったぜ! 次はお前の番だ! お前は私が好きなのか、答えろ!」 そう言って振り向いた魔理沙の顔は心なしか赤く、目も潤んでいるように見える。 まずい、非常にまずい。 パニックになるな落ち着けいやまあ確かに魔理沙かわいいよ魔理沙けどど ちらかというと気軽に言葉をぶつけ合えられる性別とは関係のない友達と 言うかってこういう状況はまったく考えてなかったしいやでもどうみて も美少女で胸はほどよく控えめでお前これ以上何を求めるというんだと えー恋愛ってのはお互いの気持ちが重なって初めて成り立つんじゃないのかと だまれ小僧女性に告白させておいて断って恥かかすなんでお前それでも男かうわ なにをするやめr ええええええええええええええええええい、考えるのやめ! 今の気持ちを率直に、だ! 「霧雨 魔理沙!」 前への決意 手を彼女の肩に置き 「ごめん!」 言わせた懺悔 その体を自分の方に引き寄せ 「好きさ、大好きだ!」 呪縛の言葉 できるだけ強く、それでいて潰れないように、私は魔理沙を抱きしめた。 パシャッ ぱしゃ? 開け放しの入り口の方から聞こえたような・・・まさか。 ジャーン!ジャーン!ジャーン! 「スクープあるところ天狗あり! ペンは弾幕より強し! 曲解、捏造思いのまま! 記事の内容こそ事実! 真実の綴り手、最速の新聞記者、射命丸 文 参上です!」 げえっ、射命丸! 思わず魔理沙を突き放す。 「おっと、酷いぜ」 射命丸の横に並ぶ形になった魔理沙だが・・・待てなんだそのにやにや笑いは。 「ここで種明かしです。今度の特集『一目瞭然! 幻想郷恋愛相関図(仮)』の取材に魔理沙さんを訪ねたのですが」 「そんなこと答えるわけ無いだろ」 「しかし半数以上の方への取材は終わっているので、そう易々と引き下がるわけにはいきません。 そこで交換条件を出しました」 「それが○○の好きな相手を聞き出すってことだ。悪いな」 「そういうことです。しかし予想以上の収穫でした、さすが魔理沙さんですね」 の・・・逃れなくては・・・ く くそ! 今はとりあえずなんとかして逃れなくてはッ! なんとかして二人をだしぬく方法を考えなくては・・・! 「それでは、次の取材に行きますね。ご協力ありがとうございました!」 「おう、またな」 まずい、射命丸に行かれてはおしまいだ! ゲームオーバー、ダス・エンデ。 「・・・・・・むむむ」 「何がむむむだ!」 振りに対して即座に反応するのはもはや新聞記者としての本能か。 しかし、ひとまず足止めはできた。 あとは・・・ 「・・・見事だ、実に見事だよ射命丸君! 一度に二人分の取材を終わらせるとはな!」 なるようになれ! 「魔理沙。お前さんは騙されてるぞ。あれだけはっきりとした証拠写真があれば魔理沙だって言い逃れはできない」 「甘いぜ。そこはしっかりと淑女協定を結んであるところだしな」 「そうです、約束は守りますよ」 「・・・一応確認しておくけど、その約束は『取材に協力したら魔理沙は答えなくてもいい』ってものじゃないのか?」 「ああ、そうだ・・・ぜ?」 ・・・・・・・・・ 「つ、次の方との約束の時間が迫ってますのでそそそろそろ失礼します!」 「魔理沙! 逃がすな!」 「おう! マスタァァァーーー」 げ。 「そ、それは止めろ、止めるんだ」 「スパーーーーーーーーーーーク!!!」 ここは店内だーーー!! 「ケホッ、ケホッゲホケホッ」 「ケホッ・・・○○・・・掃ケホケホッ・・・除してるのかよ・・・ケホ」 そういう問題じゃないだろ、と言い返す気力も無い。 膨大なエネルギーの余波で舞い込む突風、好き勝手に飛び回る埃、木片、土煙。 店内の品はどのくらいが無事だろうか。 無理矢理に顔を上げ細目を開けると、原形の一部すら留めていない入り口と抉られた森の木々。 そして星の大きさになったマスタースパーク、と恐らくは新聞記者。南無。 「生きてるか? ほら、これを鼻にあてときな」 手渡されたハンカチを大人しく顔に当てる。 さっきも感じた柔らかい匂いが鼻に刺激され、思わず大きく息を吸い込み、 「げほげほげほっげほぁ!」 盛大に咳き込む。乾いたハンカチでは細かい塵を防ぐことはできないようだ。 「何やってるんだ、外に脱出するぜ」 そう言う魔理沙に手を取られ、何とか外へ出る。 しかしなぜ魔理沙は平気なんだろう? そう思って顔を上げると八卦炉を顔に当てている魔理沙が見える。 自分の顔の周りだけ綺麗な空気を作ってるのかよ、きたねー。 しかし。 「・・・・・・・・・くっ」 「おい、○○、大丈夫か?」 思わず屈みこむが、視界には覗き込む魔理沙の顔。 「・・・・・・・・・・・・ぅぷっ・・・」 「○○、しっかりしろ! 傷は浅いぞ!」 やめろ、そんな真剣な顔をするな。 駄目だ。 「・・・・・・・・ゎあはっははははははもう我慢できないっなんだよその顔ははっは!」 「・・・っ!」 緊張を強いられてきたせいか、どうでもいい事で笑えてくる。 「人の顔を見て笑うとは随分失礼なやつになったもんだな」 「ははっはっ・・・いやだって・・・クク・・それおかしっぷははっ!」 笑えば笑うほど魔理沙の表情が硬くなっていくのが分かる。 「それ以上笑うとノンディレクショナルレーザーだぜ?」 「・・・ごめっ・・・うひっっとめようとして・・っ・・・・もとまらなひっ・・・いひっ・・・ひっく・・・」 しかし笑いの発作は止まらない。 涙で視界が歪む。魔理沙は今どんな顔をしているのだろう。 「お前こそ、鼻水までたらして・・・っ・・・ひどい顔だぜっははは!」 笑い出した。笑いは伝染するのだろう。多分、きっと。 静かなようで賑やかな森の中、仰向けに寝転がる二人。 「なぁ○○」 「ん?」 「さっきの告白は本気か?」 「そう言う魔理沙は?」 「今度は私が先だぜ」 「ん~・・・秘密」 「なら私も秘密だぜ」 ・・・・・・ 「魔理沙」 そう言って体を起こし、 「ん?」 私は魔理沙の顔を覗き込む。 「たまには秘密を共有してもいいと思わない?」 「・・・そうだな」 終わりよければすべてよし。 過程や方法なぞ、どうでもよいのだ。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 4スレ目 630 七月七日、七夕当日。 星を見ながら寛ぐ予定だった丘に着いたはいいのだが。 「…やれやれ、分厚い雲だな…。 どうする、魔理沙。折角用意した竹と飾り、無駄になりそうだが。」 「ん?無駄にするわけ無いじゃないか。」 「まぁ、そうだな。曇り空だが雰囲気だけでも…」 「なに言ってるんだ?ほら、乗れ乗れ。」 疑問符を浮かべる俺を無視して、 指さすのは二人乗り用と言っていたデカい箒。 「…雲の上まで飛んで行く気か?」 「それもいいんだが、それじゃ私ら位しか楽しめないしな。 たまにはパーっと行くのも悪くは無いだろ。」 「???」 俺には彼女の真意がよく分からなかったが、 逆らってもいいことは無いと言うことだけは分かっている。 と言うわけで、素直に指示に従うことにした。 「よし、竹持ったな?…行くぜ!」 思い切り地面を蹴ると、ふわりと箒が浮き上がる。 重力を魔力で制御しているのか、全く落ちる気配はないが。 そして下を見回してみて、一瞬呆然とした。高さに、ではない。 「…おいおい、ありゃ何だ?」 川の方に見える、「地上の天の川」。 不思議としか言えない光景に魅入っていると、 「ああ…成程、蛍か。へぇ、あの蛍の妖怪もけっこうやるもんだな…」 「ん、知り合いなのか?アレをやった奴と。」 「ま…ちょっとな。」 雲の層の真ん中あたり。 死にそうなほどジメジメしていて気分が悪いことこの上ない。 「さて、そろそろ頃合か…」 「…なあ、何をする気なんだ?」 「なぁに…ちょいと頼まれてな。 盛大に行くぜ、魔符…「ミルキーウェイ」ッ!」 …ああ、そうか。 雲を吹き飛ばすにしても、何でそれかって。 …天の川、か。 「…なあ、魔理沙。」 「ん?何だ?」 「頼まれたって…誰にだ?」 「さてな?その答えは…ほら、アレが語ってるぜ。」 「アレって……へ?」 ふわりふわりと舞う白い…「雪の結晶」。 「夏に…雪?」 「どうやら、七夕の願いは通じたようだな。 やれやれ、冬の妖怪に会えますように、か。無茶な願いをしたもんだぜ。」 「…あの氷精…か?」 「いんや、その保護者。…いや、あの雰囲気からするともちっと親密かな?」 笑いながら言う魔理沙の頭をぽんぽんと叩く。 「何だ、結構いいとこあるじゃないか。」 「えー、と…いや、それはだな…」 急に口ごもる魔理沙。 「…? どうした?」 「その…お前と一緒に見たかったし…チルノの件は、あくまでついでだ。」 「…魔理沙。」 「…好きだぜ♪」 そしていつもの悪戯っぽい笑みを浮かべると、そのまま抱きついてきた。 幻想郷の空の上、天狗さえも与り知らぬ小さな空間。 雲の上の本物の天の川。 雲を蹴散らす光の天の川。 川を飾る地上の天の川。 3つの天の川を見渡す箒の上、今宵は二つの影が重なっていた。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 4スレ目 688 こんなんでました~ 「なあ、俺と1対1の勝負をしないか?内容はどっちが相手をより幸せに出来るか…だ」→魔理沙 ─────────────────────────────────────────────────────────── 4スレ目 824 「ホンの少しでいい、お前の努力する姿を 俺に見せてくれないか」→魔理沙 ───────────────────────────────────────────────────────────
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■魔理沙6 幻想郷という場所にたどり着いたのは結構前になる。 そのとき拾ってくれた神社の巫女さん、霊夢の家の掃除やらなにやらを条件に居候をしている。 ここでの生活に慣れるまで様々な問題もあったものだが、まぁ今回の本題とはまったく関係ないのでどこかにそっと置いておくとしよう。 では本題。 その日は梅雨の短い晴れ間で、久々に境内の掃除をしていたときのことだった。 俺と霊夢が掃除をしていると珍しい客人が訪れた。 俺と同じ外の世界の人間で、魔理沙と住んでる俺より一つか二つくらい年少の男だ。 「で、悩みは何だ?」 「わかる?」 そりゃ、わかるなってほうが無理だ。 神社に一人で来ることなんてほとんどないやつが難しい顔して境内にいれば、誰だって気がつく。 「まぁ、そんな顔してるしな」 「なんていうかさ、僕はここに本当にいていいのかなって」 「ふん」 真剣な悩みらしい。 珍しいと思う反面、まぁ、仕方がないことだとも思う。 ここは俺たちにとって、何処までも異郷なのだから。 「幻想郷ってのは確かにいい場所だよ、でもさ僕達は外の世界の住人じゃないか」 「そうだな」 「外の……本当の世界には僕達を待っている人だっているじゃないか」 「まぁ、親とかな」 恋人とはいえない悲しさ。 まぁ、そんなことはどうでもよくて。 たしかに、俺たちを待ってるやつ、探してるやつってのはいるんだろう。でも、 「だからさ、本当は帰らないといけないんじゃないかと思うんだよ」 「悩みってのは……」 「うん、このことだよ」 「馬鹿馬鹿しいな」 俺たちはここでの生活を選んだ。帰る機会は自分でふいにしちまった。 俺はここで欲しいものを見つけた。まぁ、もう手に入らないことだけは判ってるんだけど。 それでも未練たらしく残ってるのは、ここにいることを選んだから。 お前もそうだろう? あいつの隣にいることをお前は選び、手に入れたんだ。 「僕もそう思うよ。 でももし、ここで魔理沙に出会わなければ、霊夢やあんたに出会わなければ? 僕は迷わず帰れたんじゃないかと、そう思っちゃうことがあるんだよ」 「あら、魔理沙?」 「へ?」 ようやく口を開いたと思ったら爆弾発言。霊夢の言うとおり、すぐそこに魔理沙が立っている。 俺たちは気がついていなかった。まったく、お互いうかつにもほどがある。 「いや、そのなんだ……お前がそんな風に思ってるとは思わなかったぜ。 別に私のことなんて気にすることはないんだぜ?」 トンガリ帽子を目深にかぶって目を合わせず、いつもの元気はなくから元気。 こんな魔理沙ははじめてみたというくらいに元気がない。 「ちょっと待って……」 「いや、いいんだ。気にするな……その……じゃあな」 そういって魔理沙は箒に乗って飛んでいってしまった。 それだというのに、目の前の男は茫然自失といった様子で立ち竦むばかり。 まったく……世話の焼ける。 「おい!!」 「え?」 「幻想郷にいることを、魔理沙の隣にいることを後悔してんのかい?」 「してない!!」 俺の問いに、さっきまでの様子がうそみたいに力強い返事をする。 いやはや、お熱いことで。 羨ましい限りだ。 「上等。じゃあ伝えにいってこい」 「いってくる!!」 ものすごい勢いで走り去っていく男の背から空に目を移す。 梅雨の晴れ間は短い。この晴れ間が続く間にあの二人の問題が片付くことを祈りながら掃除を再開した。 「まったく、道化ねぇ」 「いい男だろ?」 「道化ね」 「二回も?」 「道化としか言いようがないわね」 「何とでもいえ」 「道化、道化、道化、道化」 「何度も言うな」 「好きなんでしょ? 魔理沙」 「まぁな。でも、あの二人の間に入る余地なんざないしな」 「道化ねぇ」 「慰めようって気はないのかよ」 「あとで、お茶くらい入れてあげるわよ?」 「涙が出そうだよ」 こんなヤツが一人くらいいてもいいと思うんだ 8スレ目 44 ─────────────────────────────────────────────────────────── ●○「これでお前とお揃いだぜ」 ○○「というかそれで誰だか解ってしまうお前って・・・」 ●○「いいだろ。ほかの奴じゃ絶対真似できない。私だけの特権だぜ」 そう言うと●○は自分と○○の手を絡めて、そのまま箒に乗り・・・ 167 :名前が無い程度の能力:2007/06/26(火) 21 30 40 ID 6.qytjAM0 163 @「あらあら、私を差し置いて何を言っているのかしらね」 ⑨「記号表現でも抜かり無し!あたいってば最強ね!」 ●○「……何か違う気がするんだぜ?」 8スレ目 163 ─────────────────────────────────────────────────────────── 魔「なぁ、○○」 ○「ん? 何、魔理沙」 魔「お前、霊夢に告白したんだって?」 ○「うん、したよ」 魔「…で、振られたんだよな?」 ○「うん、振られたね。あなたとは良い友達でいたいって言われたよ」 魔「……よく分からないんだぜ」 ○「何が?」 魔「振られたのに、なんで今も一緒に神社に住んでるんだ?」 ○「何かおかしい?」 魔「普通、気まずくならないか?」 ○「なんで?」 魔「なんで、って……」 ○「……うん、多分、魔理沙の言うとおりなんだろうね」 魔「……○○?」 ○「普通断られたら気まずくなって、少なくとも一緒に住んではいられないよね」 魔「まぁ、普通はそうだと思うぜ」 ○「うん。だけどね、僕は別にどうでもいいんだ」 魔「どうでもいい?」 ○「霊夢が僕をどう思っていようと、周りがどう思っていようと、 僕が霊夢を好きなのに変わりはないから」 魔「…まだ、諦めてないのか?」 ○「少し違うね。最初から返事なんて期待してなかったんだよ。 告白したのも、その場の流れみたいなものだったし」 魔「……よく、分からないぜ」 ○「そうかな?」 魔「自分の好きな奴には好きになってもらいたいって思うんじゃないのか?」 ○「見返りを求める愛は愛じゃないよ」 魔「…よく、分からないぜ…」 ○「そう? 僕からすれば、好きですだから付き合ってください、っていう方が分からないな」 魔「…………」 ○「確かにそうなれば嬉しいけどね。 だけど、好きになったのは僕の勝手。 その勝手を相手に押し付けるつもりはないよ。 幸い、霊夢も友達として、同居人としてなら僕のことは好いてくれているみたいだし。 それで十分じゃないか」 魔「…霊夢も、贅沢な奴だぜ。こんなに想われてるのに、答えてやらないなんて。馬鹿だぜ」 ○「そういうこと言わない。……じゃあ、僕はそろそろ帰るよ」 魔「おう、分かったぜ。途中で襲われてもちゃんと逃げ切れよ」 ○「相変わらず送ってくれるって選択肢は無いんだね。分かってる、じゃあまたね」 魔「…馬鹿だぜ、お前も霊夢も……でも、一番の馬鹿は私か……」 8スレ目 280 ─────────────────────────────────────────────────────────── 魔理沙は家に鍵をかけない、深い意味はなく恐らくは忘れているだけなのだろう 「あいつ鍵って何なのか解かってんのか?」 悪態吐きながらドアを開ける、結界が張ってあるわけでもない 「おーい、魔理沙ー?」 呼び掛けるが返事はない、仕方ないので部屋を見て回ることにした ~青年探索中~ 「寝室か・・・入るべき場所ではないが・・・うぬ」 軽くノックしてドアを開けた 「まりさー?」 ベットが盛り上がっているので恐らく寝ているのだろう 仕方ないので掛け布団?を少しめくってみた 寝息を立てて静かに眠るっている 「人と約束しておいて・・・寝てんじゃねー!」 布団をがばー!っと剥ぎ取って・・・魔理沙を起こそうと試みたのだが ○○の思考は停止した 普通寝るときってパジャマじゃね?何でこの娘下着姿で寝てるんですk 今起こった事をありのまま話すぜ!パジャマだと思ったら下着姿で(ry 「こ、このバカ娘、まだおきない・・・悪戯しちまうぞコラ」 いや、○○にそんな度胸ないんだけども 「ちっ、書置きでもして行きゃいいかね」 仕方ないのでメモ紙を探そうとおもったときだった 「悪戯・・・しないのか?」 「ま、魔理沙・・・起きてたんなら声かけろよ」 「ごめん、それで、その、悪戯は?」 「いや、まて、落ち着こう、あれは出来心だ、ちょっと魔がさしただけだ」 「別に私は・・・その・・・お前なら」 「ッ!バカ!そういう事を口にするな!本気にするぞ」 「だから私はお前なら」 ○○はベットに魔理沙を押し倒した、両手首を掴んで馬乗りになる 魔理沙は眼を硬く閉じて震えていた 「私は、お前の事、最初にあった時から、好きだったぜ」 震える声で、告白された 押し倒している場合じゃない、された側は、返事をする義務がある、と思う 「ずるいな、先に言うなよな、出遅れたみたいじゃ無いかよ」 「○○?」 「俺は霧雨魔理沙のことが好きだ、愛してる」 「ははは、なんだ、悩んでたのがバカみたいだ・・・○○も私の事好きでいてくれたんだな」 「魔理沙」 「うん・・・いいよ」 俺達の初めてのキスは少々乱暴な体制だった 8スレ目 330 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「今日は七夕か・・・」 誰と過ごそうかな 霊夢 →魔理沙 アリス 「なぁ魔理沙」 何だ○○ 「七夕だぜーって言いながら家の窓を割って入ってくるのはいつもの事だから置いておくが」 「うんうん」 「なぜお前が来た後に集中豪雨だ!しかも割れた窓から降り込んで来るし!」 「あははー」 七夕だぜーと言いながら我が家の窓をブレイクした魔理沙、その後集中豪雨で横殴りの雨が降り続いているのがいま そしてベニヤ板で窓を塞いでいるのが現在進行形 ~青年奮闘中~ 「あーあ、せっかく○○と天の川を見ながら短冊書いて弾幕ごっこだとおもったのに」 「ちょっと!?最後しゃれになんないのが入ってるよ!!?」 「・・・あーあ・・・○○と七夕を、なぁ」 「まぁしょうがない、雨が降ってるのは仕方ない、どうしようもない事だよ」 不貞腐れる魔理沙を放置して風呂に入る用意をする 「?なんだ、風呂に入るのか?」 「ああ、お前が割った窓の修理でずぶ濡れだからな」 「・・・ごめん」 魔理沙らしくない、魔理沙らしくない、こんな可愛い女の子みたいな(失礼)魔理沙を見るのは初めてだ 「○○・・・許してくれるか?」 落ち着け○○!此処で熱く迸るリビドーを爆発させたら御終いだ!いろんな意味で! 「あ、ああ別に・・・怒ってないから、そんな落ち込むなって!じゃあ俺は風呂入ってくるから」 そう言って足早に風呂(五右衛門風呂)に入った 「あーあー温まるぅぅぅ!」 風呂に入るとテンション上がるな、でも・・・ 「魔理沙と七夕か・・・雨が憎いのは久しぶりだな」 あの娘の笑う顔が見たい、女の子らしい魔理沙もいいがいつもの元気な魔理沙が好きだな しゅるっ、ぱさ 「?衣擦れのお・・・と !!??」 戸一枚隔てた向こうから衣擦れの音がする、服を脱ぐような・・・ 「HAHAHA何を考えているんだ俺は、思春期じゃ有るまいし」 なんて思っていると扉が開いた、立っているのは魔理沙で・・・ 「ばっ、お前!何で!?」 後ろを向いて魔理沙を見ないようにと― 「○○、私は」 ~とぅーびーこんてぃにゅ~ 8スレ目 356 ─────────────────────────────────────────────────────────── 魔法の森。俺と魔理沙はある開けた場所の切り株に背中合わせで座っていた。 「何でいきなり星を見ようなんて言い出したんだ?」 「たまには○○とサシでゆっくり話をしようと思ってな。」 四半刻前、俺は急に森の外れの家から魔理沙に連れ出された。 「全く、漫画や映画じゃあるまいし。こんなじめじめした所で。」 「うちの中もじめじめしてるのは一緒だ。晴れてるし、どうせなら星空の下ってのもいいだろ。」 今日は七夕。ではなく一日後。昨日は生憎の天気だったが今夜は雲一つ無い。 「ま、いいや。それで何の話だ。」 「まあそう堅くなりなさんな。ほれ一杯どうだ?」 魔理沙は懐から酒瓶とグラスを取り出す。俺は苦笑しながらグラスを受け取る。 「わざわざこんな所に酒飲みに来ることもないだろうよ。しかも二人っきりで。」 「○○は宴会はうるさくて苦手なんだろ?」 「なかなかするどいな。」 「そりゃ毎回端の方で黙って一人で飲んでるほうが変だ。」 「お前だって分かるだろ?最近は誰の近くに行ってもお惚気話の嵐、良くて従者の優秀さ加減について延々と語られるんだ。 霊夢も酔えば××について語りだすわ、紅魔館メンバーも同じようなもんだ。 白玉楼組もだし迷い家一家も他にも天狗もみんなそろってお惚気話だ。鰻一匹すら食ってねえのに五分でおなかいっぱいだ。」 「あ~あ、私もお惚気話ぐらいしてみたいぜ。」 すこし話が読めてきた。酒の勢いで口説き落とす気のようだ。 単刀直入に言わない所をみると、こっちから言い出すのを待っているようだ。 別に魔理沙が嫌いではないが少し焦らしたくなる。とりあえず酒をちびちび飲みつつ時間を稼ぐ。 「で、昨日何したよ?」 「は?昨日どうしたって?」 「だから七夕だよ。俺は家で内職してたが。」 「はっはっは。私は宴会に行ってたぜ。永遠亭から竹が配られてな。短冊も書いたぜ~♪貧乏暇無しってヤツだな、お気の毒に。」 少しむっと来た。俺をどこぞの巫女と一緒にするな。こうなったらとことん焦らしてやる。 「で、願い事何にしたよ。魔理沙は多分、『霊夢に勝てますように』とかじゃないのか?」 「な、何で分かるんだよ、そんなの。」 「いや、お前いっぱいいっぱいだぞ?色々と。」 「色々と、って何だよ色々って!」 「ははは、全部ってことだ。」 向こうも少し熱くなってくる。わはは、そっちから言うんだ意地っ張りめ。 「そっ、そういえば昨日は曇りだったけど、大丈夫かなぁ。」 「どうした?急に。」 魔理沙が話題を少しそらしてきた。体勢を立て直す気か。 「いや、昨日曇りだったからさ。『七夕の日が曇りだとその年は織姫と彦星は会えない』って永琳が言ってたんだ。」 「そーなのか?天気一つで一年に一度の逢瀬が潰れるとは…仕事ほっぽり出して遊んでたとはいえ哀れだな。」 「ああ、願い事もかなうかどうか…」 「人の色恋事には興味が無いんだな。恋色魔砲使いのくせに。」 「っ、なんだよ!人が悩みの相談に来たのに○○は!」 「何だよ、急に怒ることねえだろ。」 「うるさい!もっ、もともとは××にどうやったら気に入ってもらえるか相談しようと思ってたのに!」 「……は?なにいってんだ?××は霊夢の彼氏だぞ?」 「まだ霊夢が酔った勢いで言ってるだけじゃないか!まっ、まだチャンスはある!」 「ま、それでも時間の問題だろうな。」 「もういい!○○に相談した私が馬鹿だった!」 そういうと急に箒にまたがって猛スピードで帰ってしまった。 ……だいぶ怒らせてしまったらしい。酒瓶もグラスも置いていった。 貰ってしまおうと思ったが、流石にまずいか。ちゃんと返したほうがいいだろう。 魔理沙の家が何処にあるかは知っている。そう遠くは無かったはずだ。 「ったく、どーせ俺なんか眼中にねえんだろ。いいさ、今年ももてないリーグでビールかけ合ってやるさ。」 愚痴を呟きながら暫く歩くと魔理沙の家が見えてきた。明かりが点いているところをみると、まだ起きている様だ。 中に入ることは躊躇われたので、扉の前に置いておくことにする。わざわざ取る暇人もいないだろう。 ふと家に立てかけてある竹に気づく。おそらく永遠亭から配られた竹だろう。短冊も吊ってある。 少し気になって短冊を見てみる。どうやら十数枚あるようだ。 「『霊夢に勝てますように』…『霊夢より先に異変を解決できますように』…ほとんど霊夢関係だな…ん?」 そんな中で一つの短冊に目がとまる。 「『○○と仲良くなれますように』か…あの意地っ張りめ…。」 苦笑しながらあることを思いつく。 確かポケットに…あった。昨日の内職―――七夕セット作り―――で余っていた黄色の短冊と、鉛筆、それからひもを一本取り出す。 「……これでよし、と」 出来たものを酒瓶にかけてそっと魔理沙の家を離れた。 『魔理沙と仲直りできますように。』 空を見上げるとおくればせながら、天の川の上で白鳥座が一際光っているように見えた。 8スレ目 389・390 ─────────────────────────────────────────────────────────── 唐突だが、ホッケーマスクをかぶった白黒がやってきやがった 「何のつもりだ魔理沙」 「よう○○、これから納屋でギシアンやってるカップルを殺しに行こうぜ」 「危ないネタは止めなさい」 「じゃあフ○ディーと対決しようぜ」 「宇宙でも行ってろ、と言うか何処でそんなネタを仕入れてきた」 「☆ヒ☆ミ☆ツ☆」 「間に星を入れるな、いい加減ホッケーマスクをとれ、マチェットも下ろせ」 ぶーぶー言いながらホッケーマスクとマチェットを机に置いたのはいいんだが 「じゃあカップルのほうだ」 「は?」 「納屋でイチャイチャしよう」 「納屋は無い」 「なら此処でかまわないだろ?」 けっきょく魔理沙は俺とイチャイチャしに来ただけだった・・・ ほんとに出ないよな?安心してイチャイチャしていいよな!!? ~終~ 8スレ目 447 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「魔理沙、魔理沙、起きろー風邪ひくぞーおーい?」 「ん・・・んー」 きのこ狩りに来ていた俺らだった、分かれて探していたはずだが 「人にだけ探させといて自分はお昼寝ですか、いいご身分だなこの魔法使いは」 鞄を枕に、草をベットに、羨ましいぐらい気持ちよく寝てやがる 「おーい、魔理沙さん?起きてくれないと日が暮れるんですが」 「んーむにゃむにゃ」 ああもう、可愛いなぁこのまま悪戯してしまいたい 余談だがいたずらって漢字で書くとエロくない? 「ん~○○・・・あは○○だぜー」 こう、ぎゅーっと、抱きしめられたわけですよ、エロゲみたいな展開に狂喜乱舞していたんですがね 「○○、○○」 「どうした?俺は此処にいるぞ?」 このままルパンダイヴでもいいかな、何て思っていたが 彼女の瞳からこぼれた涙に、体が固まった 「お、おいおい、何で泣いてんだよ!?」 彼女は何も言わない、聞こえるのは寝息だけだ、僅かに上下する胸 「わけわからんぞ、ちくしょう」 唯彼女の涙に、魅せられた事は確かだった 「あー・・・惚れた弱みかね」 結局背負って帰った、彼女は驚くほど軽かった 「こんなもんかな」 魔理沙をベッドに寝かせ、自分で茶を入れ、自分で飲む 広く感じる、こんな静かな家に一人で住んでるのか、あいつは あいつの茶はすっかり冷めたな・・・ 「あー・・・○○・・・その・・・おはよう(笑」 「魔理沙、起きたのか・・・この莫迦、人にきのこ拾いさせといて自分はお昼寝か!?」 「うーすまない、ちょっと寝不足だったんだぜ」 「それで・・・すっきりしたか?」 「もうばっちりだ!寝たらすっきりした」 いつもの元気な彼女が其処にいる、先ほど抱えた時に驚くほど軽かった 此処にいるのは俺と魔理沙、ここに住んでいるのは魔理沙 「なぁ・・・お前ここに独りで住んでて寂しくないか?」 「ん?別に、もう慣れたよ、それに・・・霊夢やアリスや○○が遊びに来るからな」 慣れた、その言葉が辛かった、俺は寂しくないかと問うた、魔理沙はそれに慣れたと答えた、ソレが寂しかった、苦しかった 目の前にいる彼女を、魔理沙を抱きしめたくなった 俺は思うままに動いた 「○、○○!?」 ああもう、何でコイツはこんなに細っこいんだ、抱きしめたら潰れそうだ チクショウ、何でコイツはこんなに暖かいんだ、俺の理性をぶち壊す気か? 「寂しさに慣れたなんて言わないでくれよ」 「○○・・・」 「俺がいるからさ、ずっと一緒にいるからさ」 「ああ、そうだ、それならさびしくないぜ」 迷いの森の小さな屋敷、真暗闇のなか、其処にだけは、灯りが灯っていた 「よう魔理沙!」 「な、なんだこの荷物は!?」 「俺の着替えとか、家財道具もろもろ」 「なんで!?」 「ずっと一緒にいるっつったろ?今日から俺もここに住む」 「な、なにーーーー!!?」 それでも森は静かなまま、それでも小さな館には、アカリが灯った 8スレ目 892 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「霧雨のお嬢さん・・・か」 「何だ、魔砲使いに惚れたか」 仕事仲間に冷やかされつつも買い物をする霧雨魔理沙に見とれる俺 「やめとけって、俺らみたいなただの人間が相手にされるわけねぇって」 んなこたぁ解ってる、しょうがないだろ、彼女はかわいいんだから 「大体魔法使いなんてキチ○イだって、ろくな連中がいると思ってんのか?」 「おいテメー、彼女を何も知らないで決め付けんな」 「あ?やるかコラ?タッパあるからっていつも見下ろしやがって、きばって(ry」 もうなんでうちの店は893予備軍みたいなのばっかりなんだろうね、親父に人は選べって言いたいよ 「五月蝿せーよ、俺の事はどうでもいい、魔法使いを莫迦にするんじゃねぇ」 「はぁ?餓鬼が何を「おいおい喧嘩か?止めとけよ、ろくな事ないぜ?」 き、霧雨魔理沙さん!!? 「女は黙ってろ!このガキが!?あぁ!!?がっ!」 五月蝿い、霧雨のお嬢さんが来てんだ、黙っとけ 俺はおっさんを投げ飛ばして何事も無かったように話しかけた 「御見苦しい所を見せてしまって申し訳ありません」 「別に良いけど・・・そっちの兄ちゃんは大丈夫か?」 「お気になさらずに・・・今日は何をお求めですか?」 「ああ、今日は・・・」 彼女は必要なものがそろうと風のように帰っていった ちょっと残念・・・まぁいいや 「はぁ・・・緊張した、死ぬほど緊張した」 心臓がバクバクいってる、彼女の話をしてるときに、だもんな 「あの~若旦那?」 「ん?どうした?」 「この人どうします?」 すっかり投げ飛ばしたおっさんを忘れていたのだった 道端で転んだ女の子、膝をすりむいたらしく泣いていた そして傍らに白黒の魔法使い、泣き止まない子供に悪戦苦闘しているようだった 必死にあやしたり、飴をあげたり、色々頑張っていた その女の子が泣き止んだとき、彼女はすごい、笑顔だった そして俺は惚れちまった、霧雨魔理沙に、白黒の魔法使いに 霧雨魔理沙はうちの常連客で、俺はその店の若造、若旦那、一従業員 このまま時間が流れて、俺は店の主になる、彼女は恐らく魔法使いのままだろう 俺はそのまま年取って、死ぬ でも、告白だけはしようと思う、何もしないで諦めるよりはいいはずだ さて、今日も彼女は来るのだろうか、明日来た時に・・・いや、明後日・・・ 考えているときが一番楽しい、未来は決定していない、自分の想像を張り巡らせる 「俺は、君の事が、好きだ・・・なんてな」 一人で呟いた、応えるものは誰もいない 明日にしよう、ぐずぐずやっててもしょうがないからな 俺は明日、霧雨魔理沙に、告白する・・・予定だ 9スレ目 409 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「おい○○!邪魔するぜー!」 今日も勝手に他人の家に不法侵入する白黒 流石にもう慣れた 「そろそろ鍵をつけて良いかな?」 「扉ごと壊すぜ」 向こうの部屋から声は聞こえる、この時間ということは昼飯でも作っているのか 「今日の飯はなんだ!?」 そういえば朝飯を食べていないのでお腹が・・・ 「よう魔理沙、今日はパンだ」 パンツ一丁で昼飯を作る○○、さして気にしない様子で魔理沙の問いに応えた 「ななななななそ、そんな格好でうろつくなバカッ!」 「いや、ここ俺の家なんだけど・・・」 「う、うるさい!少しは気を使え!」 「・・・お前に言われたくない台詞だな」 コイツに気を使えとわ言われたくないな 魔理沙は後ろを向いて、怒っている?様だ いやこれは恥ずかしがっているようなものか 「・・・服着りゃいいんだろ?」 しょうがないから箪笥からジャージを取り出す 「あ・・・」 「何だ、じろじろ見るな」 「み、みてない!莫迦なこと言うなっ!」 「・・・じろじろ見てたじゃん」 「もういいから服を着ろ!」 可愛いなぁ、魔理沙をからかうのは凄く面白い 思わずやりすぎちまったりするけども、しょうがない 「どうした?顔が赤いぞ?」 「ななななんでもないぜ!?だいじょうぶだぜ」 面白い奴だ、初心な所がたまらん・・・俺はおっさんかよ 「それで、今日は何しに来た?お前の好きそうな向こうの本も読みつくしたと思ったが・・・」 「え、ええと・・・」 「なんだ?もしかして俺に会いに来てくれたのか?」 からかうつもりで言った、特に深い意味はなく、だ だから魔理沙が真っ赤になって逆に驚いたぐらい 「えー・・・あー・・・うー」 どもってる、しかも真っ赤で、これは・・・ソウイウコトデスカ? とんがり帽子を目深にかぶって真っ赤な顔を隠そうとしている、らしい 「じゃ、邪魔したぜっ!」 咄嗟に、腕をつかんだ 「魔理沙・・・」 「な、なんだ?」 どうしよう、いうこと考えてなかった、こういう場合、う~ん何も思いつかない 「お、俺も、お前を待ってた、ぜ」 俺何言ってんの?脊髄反射で言った台詞にしちゃ恥ずかしすぎるんだけど 互いに真っ赤になって見つめ合うという不思議で珍妙な状況 「・・・飯食うか」 「そ、そうだな」 まぁその状況も空腹に打破されたのだが ちょっと気まずいまま飯を食った そういえばいつからか二人分用意するようになってたな 「なぁ○○」 「なんだ」 「明日も・・・来るぜ」 「そうか・・・じゃあ待ってる、お前を」 「ばか、恥ずかしいぜ」 「お前は何しに来るんだ?」 「えっと・・・お前に、会いに、だぜ?」 そう言って恥ずかしがりながらも笑ってくれるのだった さて、明日の二人分の用意をしておこう 材料だけ買ってきてあいつに作らせてみようか なんにしろ明日が楽しみだ、いや、明日だけじゃ無い、これからが 9スレ目 437 ─────────────────────────────────────────────────────────── 魔理沙「おーい、そこのビーカーとってくれ」 俺「ほらよ」 外の世界から迷い込み行き場のなくなった俺。 小さな魔法使いに拾われ、現在住み込みでお手伝いさんをしている。 魔理沙「うしできた、透明になる薬。 ほら飲んでみろ」 俺「やれやれ、また人体実験しやがって……」 魔理沙「まぁいいじゃないか、万が一のために解毒薬も作っておいた」 俺「ふぅ……」 俺はビーカーに注がれた刺激臭のする琥珀色の液体を一気に飲み干す。 俺「ううっ!?」 魔理沙「ど、どうした……?」 俺「うあああああああ…………」 うずくまり、床に倒れこむ俺。 魔理沙「げ……解毒薬……あっ!」 よほど動揺したのか、魔理沙は誤って解毒薬を床にこぼしてしまう。 俺「う……くうううう……」 魔理沙「おい……しっかりしろよ……」 掠れる俺の視界には、何も出来ずに涙をこぼす魔理沙が見える…… 俺「なーんてな」 魔理沙「え…?」 俺はすくっと立ち上がって両手を見る。 俺「味はけっこうキツかったけど、服用後は中々いい感じだ。 んー、やっぱり耐性付いてるのか? 俺相手でも透けるくらいだな……」 魔理沙「バカ!!」 そう叫んで半透明の俺に抱きつく魔理沙。 魔理沙「心配……するだろ……」 まだ身体が震えている。 俺「…ごめん。 さ、続き始めようぜ」 小さな身体を抱きしめながら、俺は作業の続行を促した。 9スレ目 802 ─────────────────────────────────────────────────────────── 魔理沙ー!好きだー!結婚してくれ! お前の為に男になってもいいんだよぉおおお 10スレ目 23 ─────────────────────────────────────────────────────────── お前は何のために生まれてきたんだ?と○○が聞いてきたとき私は上手く答えられずにまごまごしたので、 ○○は私の手のひらを取り優しく笑った。 「お前は幸せになるために生まれてきたんだ。そうだよな?魔理沙」 私は○○の笑顔が物凄く綺麗でまさに幸せをボンドで固めて形にしたかのようだったので、寝惚けたようになって頷いた。 少し目の覚めた今もあるいはそうかもしれないと感じる。 だって私はとりあえずいつだって出来れば幸せでいたいと願っている。 良い気分でいたいと思っている。友達と楽しく遊んでいたいと思っている。 痛い思いをしたいとは特に思わない。 「じゃあ、○○は何のために生まれたんだ?」 ○○は私の問いに答えず繰り返した。「お前は幸せになるために生まれてきた。そうだよな、魔理沙?」 私はまたうっとりとして寝惚けたような頭で頷く。 私の頭はすぐに寝惚けてしまうのだ。恋をしているからに違いない。 「不幸になるのに俺たちはどうして一緒にいるんだろうな」 「私たちは不幸になるのか?」 ○○は部屋の中を歩き回った。「このままじゃ駄目だな」○○はそう呟いている。 私と○○のどこにいけない所があるのか私にはよく分からなかった。 我々は大変よくやってきたのだ。 私はよく色んなことを失敗するけど○○がその度に助けてくれた。その逆もあった。 キスだってたくさんした。 私が○○を拒んで○○が私を拒んだことはまずなかった。 私たちは求め合い双子のようにくっついて眠り翌朝○○が朝食を作って私は風呂を掃除した。 夢のようにそんな日々は過ぎた。 「提案があるんだが」 「なんだ、○○」 「俺はお前のことを出来れば幸せにしたい。でもこれは叶わぬ夢だ。 何故なら俺は、”誰かを幸福にするようには出来ていない”んだ。 これはすごく些細なことのように聞こえるかもしれないけど、致命的で絶望的だよ。 俺たちは離れたほうがいいだろう」 私は○○が何を言っているのかよく分からなかったから、台所に行きフライパンに油をしいてパンケーキを作った。 私はもともとちまちました料理という家事は苦手だったので、パンケーキくらいしかまともに作れなかったのだ。 ○○はパンケーキの種の横に、卵を片手で割ってとろりと落として、フライパンの端っこで器用にスクランブルエッグを作った。 私と○○はひとつのフライパンでふたつのメニューを作ることが出来た。 パンケーキとスクランブルエッグ。 私は蜂蜜をかけ○○はコーヒーを飲み、お腹がいっぱいになった私たちはやはり寄り添って眠った。 私は○○のどこが誰かを幸福にするように出来ていないのかさっぱり理解が出来なかった。 私たちは絵に描いたように幸福そうだった。 やがて○○が目を覚まして、私の耳たぶを口に挟んでちゅうちゅうとしゃぶった。 だしが出てしまいそうなくらいしゃぶられたので私の耳たぶはふやけて真っ赤になってしまった。 「○○?」 「なんだ、魔理沙」 ○○の歯がちくちくと私の耳たぶに当たるようになった。 私は彼が私の耳たぶを狙っているらしいことを悟った。 私は彼の柔らかい唇と鋭い歯から逃れて、ベットからも転がり落ちた。ごつんと頭をぶつけた。 見上げた○○は私を見てにやにやと変な笑顔を浮かべていた。 「言っただろう、魔理沙」「俺たちは離れたほうがいいって」 ○○がベットを飛び降りて、私にのしかかってきた。 荒い息が私の耳ばかりをくすぐる。 「お前が幸せになりたくないならずっと一緒にいようじゃないか。 俺は幸せになるために生まれてきてはいないんだ。お前とは違う。 俺は幸せじゃなくたっていい、他にすることがたくさんある。 だがお前に何がある?ただ痛いだけに耐え切れるか?ただ寒いだけに耐え切れるか?幸せじゃないまま生きていけるか?不幸のまま死ぬことは可能か? どうしても俺がいいとお前には言えるか? 魔理沙、人は忘れることが出来る生き物だな。きっとお前は俺を忘れてしまえる。 お前は幸せになるために生まれてきているんだ。お前は俺から離れればきっと幸せでいられるだろう。 魔理沙、お前はきっとしあわせになれるよ」 ○○が私の耳たぶをがりり、と食いちぎった。 私は大きな悲鳴をあげて、小屋を飛び出て、森の奥深く深くまで逃げていった。 つもりだったのに気が付いたら私は森を抜け、裸足で、傷だらけで、右の耳たぶを失って泣いていた。 何で泣いていたのか知らないけれどとにかくシクシクと泣いていた。 とても怖い思いをいっぱいした。 蛇がいた。蜘蛛がいた。お腹がすいた。 夜は墨のように暗くざわめきは嘲笑と罵倒のようだった。 だけど私は生きていた。なんのためか知らないけど生きていた。 呆然とする私を見つけた若い男が私を医者の所まで連れて行ってくれた。 私は全部「なにがあったかわからない」と答えた。 本当に何も分からなかったのだ。 私は記憶を喪失した可哀相な少女として扱われた。 耳たぶは生えてこなかったけど、もともとそんな形だったみたいに綺麗に綺麗に治っていった。 私を助けてくれた若い男(その頃私はもう彼の名前を知っていた)は、 今まで見た耳の中で一番綺麗な形だよ、とほんとだか嘘だかたぶん嘘だろうなというお世辞を何回も繰り返して言った。 やさしいひとだった。 私はそれをずっと黙って無視し続けていたのだけどある日、昼ごはんにパンケーキが出てご機嫌だったので男に「ありがとう」と言ってみた。 男は、わっと喜んで笑って、そのあと急に苦しそうに泣き出して、私を捕まえて、花に止まる蝶々みたいなキスをした。 私は○○ほど綺麗でないその男のめそめそ泣く顔を、寝惚けたようになって見ていた。 私は本当に幸せになるために生きているらしかった。 少なくとも私は一度だって○○のために生きていたことはなかった気がした。 そしてこの男のために生きていくことも決してないだろうと思う。 私は本当に自分が幸せになるためにだけ生きているのだ。 時々彼にかじられた耳たぶのことを考える。 ○○はあれを飲み込んだだろうか?それともティッシュにくるんで捨ててしまっただろうか? ぺっと床に吐き出したりしなかっただろうか。そうだとしたらとても大変だ。○○は掃除が下手だから。 ああだけどあなたはとても料理が上手だった。 私をいつもあたたかくしてくれた。 本当に誰かを幸福にするように出来ていないのは私なのだと思う。 私は○○の美味しい部分をちゅっちゅとしゃぶって、何の役にも立たない耳たぶだけ置いて逃げてしまったのだ。 あのままあそこにいて、いたくてもさむくてもふこうでも、○○のそばにいます、と私が言うのを、 ○○が心のどこかでほんの少しでも願っていたらと仮定すると私は胸が死ぬほど痛くなる。 きれいじゃない顔で泣く。 でもそういうとき私はひとりじゃないのだ。 若い男が今度私の耳たぶのなくなった耳に優しくキスしてくれて、私は○○を悲しませてしまったかもしれない恐怖に慄きながら自分の幸せをかみ締め暖かさにまどろむのだ。 よっぽど私が誰より悪魔だ。しあわせなにんげんは、悪魔だ。昔に絶対悲しませた人がいる。 報いを受けていない。 私は自分の顔が醜く膨らんで、にきびだらけになってしまえばいいと思う。おなかが出るとか。 でも本当にそうなったら私はきっと絶望して、哀しくて死んでしまうかもしれない。 だって、私は幸せになるために生きているのだから。 みんな幸せになるために生きているんだから。 わざわざいたい思いをすることはない。あたたかいお布団でおねむりなさい。 夢の中で私は何度も○○に耳たぶを差し出して泣くのだけれど、それでも私はまだ幸せといえるんだろうか。 私はきっと○○と一緒にごろごろ眠るために生きていたのだと思うよ。 11スレ目 220 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「うーさみー」 西洋風の家にあるべきではない炬燵に独りでぬくぬく温まっている。 そんな中のふと発した言葉が、止まっていたかのような時間の流れを戻した。 気がつけば12月も終わりに近づいていた。 あと1週間もすれば新しい年が明ける。 「……俺この1年で何かあったかー……?」 ……ここの世界の住人になったこと以外、何もなかった。 これは意外だ。 「あー切ねぇ」 流れる時間の大切さを後悔と共に噛み締めながら小さくボヤく。 「うーさみー、今帰ったぜ」 「おお、お帰り」 主がいつものように蒐集してきたものを入れた袋を背中に抱えて帰ってきた。 「……あれ?」 あの格好……どこかで見たか……? 「ん? どうかしたか?」 几帳面に手を洗い終えて俺の所へやってきた彼女。 よほど険しい顔をしていたのだろう。 心配そうに顔を覗き込まれている。 「いーや、何でもないけど」 「そっか」 彼女は俺と同じく炬燵に入る。 入るのだが。 「だから何度も言ってるだろ? よく見ろ。 炬燵はまだ3辺あるじゃないか」 「こっちのほうが断然暖かいぜ」 胡坐をかいた俺の脚の上に乗ってくる。 幸せそうだ。 「ふぅ……ところで、なんだけど」 「ん?」 おかしい。 昨日までと様子がおかしいぞ。 「今日は……何の日だったっけ?」 まずい。 時間の感覚がなくなってる。 ここ1年ずっと彼女の家の掃除なんかで祝日なんか忘れるぞ…… 「えーっ……とぉー」 曖昧な返事。 「ひどいぜ、私がせっかく用意してきたっていうのに」 「何をだ?」 「今日のアレだ」 アレ……ああ、アレのことか。 「ああ」 オーバーなリアクションでうなずく。 「その……あれだ。 メ、メリークリスマス……」 彼女はこっちを見ずに俯き、聞こえるか聞こえないかのか細い声で囁いた。 耳が真赤になっている。 「うん。 メリークリスマス、魔理沙」 「やっぱり口に出すと……は、恥ずかしいな……」 魔理沙がどんどん縮こまっていく。 「あー……クリスマスの……プレゼントなんだがー」 「『私』だろ?」 あてずっぽうで繋いでみる。 さぁ派ずれろ俺の勘! 「…………そう」 おおっと。 弾幕でも何でも数撃ちゃ当たるものなのだろうか。 「よし、俺からもクリスマスプレゼントだな」 炬燵に突っ込んでいた腕を抜き出し、そっと魔理沙を抱きしめる。 「わ、わ、何すんだよ」 口では嫌がってるようだが抵抗してこないし、声も甘くなっている。 そしてトドメの一言。 「大好きだ、魔理沙。 これからもずっと一緒にいてくれるか?」 耳元でそっと囁く。 「…………うー……」 恥ずかしさやらが混じって返答できないようだ。 耳にそっと息を吹きかける。 「ぅひゃあん!」 おおそこはかとなくエロい。 こんな声が大好きだ。 「どう? 俺からのクリスマスプレゼント」 「あの……ありがたく受け取らせていただきます……」 まずいたまらなくなってきた。 抱きしめている手にも力がこもる。 もう1度、囁いてみる。 もうおちょくるどころかいじめたくてしょうがない。 「魔理沙、好きだよ。 大好き」 「………ぅゃ………あ…………」 言葉になってない。 今度は耳を甘噛みしてみる。 「ふぁあああああ……やめ……」 ピクピクと体を震わせてる。 流石にこれ以上いくと自制ができなさそうなので止めておく。 「全く……いきなり不意打ちなんて……」 照れ隠しなのが見え見えな声色だ。 「いやースマンスマン。 あまりにも愛おしくてな」 笑い混じりに話してみるも、やっぱり。 「……改めて口に出して言うとやっぱり恥ずかしいな」 「だろ?」 12月25日、クリスマス。 幻想郷にもサンタはいるのだろうか。 少なくとも、俺のそばにはいるようだ。 黒と白の服、大きな袋を持った魔法を使うサンタが。 うpろだ697 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「あんた、こんな寒いのによく来るわね……」 博麗神社の巫女博麗霊夢はため息をつき呆れ顔で来客を迎えていた。 「そういうなって、今日は蕎麦をもってきたんだからよ」 「それとおまけの餅と茶もな」 神社の来客である霧雨魔理沙と○○は笑みを浮かべた。 「まぁ、それなら言うことはないわ。ちょうど今から用意しようかとおもったころだし」 それに釣られてか微笑を浮かべ○○から荷物を受け取る。 「じゃあ、じゃまするぜ」 「麺とかは作っているからあとは軽く湯がいて食べるだけにしているから」 「ありがと。それならすぐできるから奥で待ってて」 「わかった――って、魔理沙はもういるみたいだけどな」 「ったく、あいつは……。いくらお腹があれだからって少しは遠慮しなさいよ……。何ヶ月だっけ?」 先ほどの魔理沙の膨れたお腹を思い出す。 ○○との子供ができたときはこれ以上とないくらい大騒ぎした。 これで少しはおとなしくなるかと思いきやいつもどおり神社に奇襲をかけてきていた。 さすがに宴会のときは酒は抑え目にするように○○に抑えられたが。 「そろそろ予定日だって永琳は言ってたよ。だから年明けは忙しくなりそうな気がするな」 「よかったじゃない。でも、あの家で子守することできるの?」 「なんとかした…。まさか、掃除に月単位かかるとはおもわなかったけど……」 「……ま、ドンマイ」 「お~い、蕎麦まだか~?私の子供もそういってるぞ~」 「はいはいはい。今から準備するから!じゃ、準備してくるわ」 「わかった。じゃあ魔理沙の相手をしとく」 「あまりイチャイチャしすぎて部屋を甘ったるい空間にしないでよ」 「それは魔理沙に言ってくれ…」 「おまたせ~。年越し餅入り蕎麦できたわよ。って、甘ったるくするなって言ったでしょ!」 「へへへ、細かいことを気にしすぎると禿げるぞ」 「あ~、その。すまん……。俺じゃ無理っぽかった」 霊夢がどんぶりに入った蕎麦を持って部屋に入ったとき見た光景は胡坐をかいた○○の上に寄りかかるようにして座っている魔理沙であった。 しかも魔理沙は体を横に向け○○の胸板に頭を預けて○○の手をしっかりと握っている。 「なんだ、おまえは私にこういうことされるの嫌いなのか?」 「いや…、そういうわけじゃないが……」 「ったく……。あまりやりすぎると外にほっぽりだすわよ」 膨れつつ蕎麦を置く。 二人の分をバラバラに置いたのはいい加減離れろということなのだろう。 「そう言うなって妊婦は大事にするもんだぜ?」 「と、とりあえず食べようか。早く食べないとのびちゃうし」 ・・・少女 s、青年食事中 「年明けはもうそろそろかしらね」 食後たわいのない会話をしつつ霊夢がつぶやいた。 ちなみに二人は食事前の状態に戻っている。 というよりも魔理沙が一方的にくっついてきたという状態だったが。 「そうだな。今年は本当にいろんなことがあった…」 「○○と会って、喧嘩して、告白して、そしてプロポーズ…。お前といると退屈じゃなくて楽しかったぜ」 顔を赤くしながら○○の手を握る。 「俺も、魔理沙と会っていろいろと大変だったけどよかったと思ってる」 「はいはい、ごちそうさま。でも、あんたのおかげで私もイロイロと楽しませてもらったしね」 魔理沙達が持ってきた緑茶をすする。 上等なものだったのか自然とほほが緩み、もう一杯とおかわりをつぐ。 すると遠くから響く鐘の音が響いてきた。 「おっ、年明け―――」 突如、魔理沙が言葉を切る。 そして、目に見えて汗がだらだらと流れ始めた。 「ま、魔理沙どうした?」 「餅でものどにつまったの?」 「きた…」 「は?」 「きたんだよ!お腹が―イタタタタ!」 「ちょ!まじか!」 「い、医者を!はやく、永琳を!」 「えーりん!えーりん!たすけてえーりん!!」 「落ち着きなさい!早く永琳をつれてきなさい!!」 「お、おぅ!!」 そういうと○○はこれ以上ないくらいの速度で出てった。 まだ痛がっている魔理沙の手を握りつつ、ひとことつぶやく。 「今年はさらに騒がしくなりそうね…」 11スレ目 713 ─────────────────────────────────────────────────────────── 諸君 私は魔法使いが好きだ 諸君 私は魔理沙が好きだ 諸君 私は霧雨魔理沙が大好きだ 黒白が好きだ 魔女っ娘が好きだ 力強さが好きだ 蒐集癖が好きだ レーザーが好きだ マスタースパークが好きだ ドロワが好きだ 恥じらいが好きだ 優しさが好きだ 森で 人里で 神社で マヨヒガで 永遠亭で 霧雨亭で 香霖堂で 白玉桜で 無縁塚で 妖怪の山で この幻想郷で行われる ありとあらゆる盗難行動が大好きだ 戦利品をならべ 丁寧に飾り 満面の笑みと共に私に向かって 自慢してくるのが好きだ 空中高く放り上げられた私が 彼女のスペカでばらばらになった時など 心がおどる 魔理沙の操る ノンディレクショナルレーザーが 敵を撃破するのが好きだ 余裕の表情で 燃えさかる弾幕から 飛び出してきて 敵をなぎ払った時など 胸がすくような気持ちだった あてもなく空を飛び 面白そうな物を見つけると 何でもかんでも 私に見せてくれるのが好きだ 精神不安定な私に 「元気が出る魔法だ」と言って 何度も何度も抱きしめてくれる様など 感動すら覚える 泣いて帰ってきた私に 「泣くなよ……私まで悲しくなるだろ」と 共に悲しんでくれる様などはもうたまらない 魔法実験の時 私の振り下ろした手の平が薬瓶に当たり零れ 「何やってるんだぜ……」と言いつつも 結局は許してくれるのも最高だ 酔った魔理沙に キス攻撃で滅茶苦茶にされるのが好きだ 必死に守るはずだった魔理沙がひとり弾幕に飛び出して 自分は残機0で動けない様は とてもとても悲しいものだ 意味もなく抱き合って お互いの存在と愛を確かめるのが好きだ 褌野朗に魔理沙を盗られ 害虫の様に地べたを這い回るのは 屈辱の極みだ 諸君 私は魔理沙を 私にベタ惚れで天使の様な魔理沙を望んでいる 諸君 私の同士兄弟戦友諸君 君達は一体 何を望んでいる? 更なるネタを望むか? 情け容赦のない キャラから引っ張りだこのような世界を望むか? 鉄風雷火の限りを尽くし 鴉天狗の記者をも寄せぬ 嵐の様な愛を望むか? 魔理沙!! 魔理沙!! 魔理沙!! よろしい ならば求婚だ 我々は満身の力をこめて 今まさに振り下ろさんとする決断の時だ だが この暗い闇の底で 何十年もの間 堪え続けて来た我々に ただの魔理沙ではもはや足りない!! 私に超ベタベタに惚れている魔理沙を!! 見返りを求めぬ愛を!! 魔理沙「おーい、何書いてんだー?」 私「何でもないって」 魔理沙「そっか。 じゃ、実験の続きでも始めるか♪」 私「おう」 10スレ目 501 ─────────────────────────────────────────────────────────── 魔理沙、俺に一生ついていかないか? 10スレ目 914 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「魔理紗、お前の集めれない物を俺が手に入れてやるよ。 そう、お前の恋愛をな!」 10スレ目 990 ─────────────────────────────────────────────────────────── 手を繋いでふたり並んで、本当に氷のように、冷たい波に逆らいながら奥へ奥へと進んでいく。 隣を見たら○○は酷く優しい顔をしていて、私は寒くて震えてた。 ごぶんって水の音がして、肩のところで髪の毛が海水に晒されて浮き上がる。 口元まで迫った水をどうにか避けて、最後に「○○、」と呼んだなら、○○の色を失った冷たい唇が、私の同じく冷たい唇に触れた。 離れないよう必死に握り合っている手は、強く絡めすぎたせいで少し痛い。 目の前に広がる海は、黒だ。空の闇に溶け込んでしまいそうな、黒。 「・・・心中?」 「・・・それっぽいよなー」 「魔理沙一人で死ぬならまだしも、俺まで巻き込まないでくれる?」 「いやてか、ただの夢だからな?」 私がずずーっと音を立てて○○の淹れてくれた暖かい紅茶を啜ったら、○○に「下品」と冷たい声で言われた。 いや、思いっきりテーブルの上に足乗っけて更にそれを組んでるお前に言われたくないぜ○○。 さっきまでどこの令嬢かと見紛うほど繊細で格調高い空気を醸し出しながら紅茶をいれてたくせに、今はただのヤンキーじゃないか。 私はティーカップを持ち直して、今度は全く音を立てずに上品に紅茶を啜る。 ○○はそんな私を見て少しだけ目を細めて、「やれば出来るじゃないか」と微笑んだ。しかし嘲笑いっぽい笑顔で。(・・・) 私も○○と同じ笑顔を浮かべて、「○○もな」と言った。 今この家に来客が来たら、何故か嘲笑いあっている二人という異常な光景に驚愕するかもしれない。 まあ、私がいるときに○○の家に来客が来たことなんて一度も無いから、ありえない話であるけれど。 「夢には深層心理が現れるんだよ 魔理沙」 「・・・それは私が心の奥底では○○と心中したがってるって事か?」 「そういうことに、なるね」 ○○は何故か楽しそうに笑っていたけど、私は思わず黙ってしまった。 ・・・だって、そんなこと、ある訳がない。 私は死にたいなどとはこれっぽっちも思っていないし、第一もし死にたかったとしても○○を巻き込むことは絶対にない。 さっき○○が言ってたみたいに、ひとりで勝手に死ぬだろう。 更に○○が私の言うことをおとなしく聞いて一緒に死んでくれる可能性はほぼ無い、というか全く無いし、私がそんな世迷言を言ったが最後、 「そんなに死にたいなら俺が殺してあげるよ」とか言われて酷く嬉しそうな○○に戦いを挑まれそうだ。 その事をこんなに、それこそ痛いほど理解している私が、「○○と心中したぁい」とか乙女ティックかつファンタスティックかつセンチメンタルなことを思うだろうか? いや、思うわけがない。あれは、夢だ。紛れも無い。 「いや、ナイナイ。ほんとありえない」 「・・・ふぅん?」 「なんだ、その不満げな顔」 「お前が心中したいなんて下らないこと言ってきたら、すぐ俺の手で殺してあげようと思ってたのに」 「・・・言うと思ってたぜ、○○」 私が苦々しく言ったら、○○は「へぇ、よくわかってるね」と笑って言って、いつの間に出したのか、鈍い銀色に輝いているナイフの手入れなんか始めていた。 ・・・なんで私はこんな物騒な奴と茶なんか飲んでいるんだろう。 今まで私たちの関係はその、いわゆる、「恋人同士」だと思っていたが、獲物と狩人に認識を改めないといけないかもしれないな。いや本気で。 「ねぇ、昔から、心中した男女は、来世双子に生まれかわるって言われてるだろ?」 「・・・明らかに迷信だろ」 「俺だって信じてなんかいない。でも面白い話だとは思う」 「おもしろい?」 「そう。今が辛いから、来世で結ばれることを願って二人で死んだのに、恋焦がれた相手とは双子になってしまった。 一緒にはいられるかもしれないけど、一生気付かないで終えるかもしれない。 もし気付いたとしても、決して結ばれることは無い。・・・愛し合うことは出来るかもしれないけど・・・不可能だから、どっちにせよ不幸だ」 ○○が、静かな声で淡々と話す。 足はテーブルの上に気だるく組まれたままで、ふてぶてしい態度はさっきと全く同じだけれど、私のほうをじっと見ている○○の鋭い目線に、心臓がどきりと高鳴る。 それが異常な反応なのか正常な反応なのか私には判らないけれど、普通の人なら絶対に見惚れてしまいそうなほど綺麗な○○にこんな真剣な顔で見られているのだから、たぶん正常な反応なんだと自分では思う。 ・・・奴は私をどきどきさせたくてこんな話をしている訳ではないだろうに、うっかりどきどきしてしまっている私はやっぱり何だかんだ言って○○に惚れているのだと思った。 それが、例え本当にただの獲物と狩人の関係でも。 狩人がもし恋した人ならば、仕留められるのも悪くない・・・って、この思想じゃ本当にいつか私は心中を企てそうだ。 もちろん、奴と二人で死ぬためじゃなくて、奴に殺されるためにの。 「ねぇ魔理沙」 唐突に、○○が私の名前を呼ぶ。 切れ長の目は細くなって、いつも結ばれている綺麗な形の唇は上につり上がって。 ああ、こいつ笑ってるんだ。と思った。それも、とても優しく。 「俺は魔理沙と心中する気はないけど、魔理沙が俺と生きていくなら、絶対に幸せにする自信があるよ」 私は、夢の中で私の手を引いた、あの○○を思い出していた。 紅茶、おかわりいる? ○○が立ち上がって、自分から質問したくせに、私の返事も聞かずテーブルの上に置いたままになっていた空のティーカップを持ってキッチンへ行ってしまった。 私はソファーに座ったままで、私の紅茶をいれている○○の背中を眺めた。 ここはとても明るくて、寒くなんかない。あたたかい。 今なら手だって繋いでも痛くないだろうし、キスしても唇は人の体温を持っているだろう。 私は立ち上がって、最後じゃなく、はじまりみたいに、「○○、」と呼んだ。 私のほうを振り返らないで、「なに」と面倒そうに返事をしてくれる○○と過ごす未来を想像したら、これは○○に殺されたくても、心中したいなんて絶対に言えないと思った。 そもそも、私があいつの近くにいられて、死にたいなんて思うはずがまずないのだけど。 名前は分からないけれど、柔らかい紅茶の匂いが部屋に満ちていく。 あとで、何ていう葉っぱなのか、○○に聞こうと思った。 12スレ目 267 うpろだ802 ─────────────────────────────────────────────────────────── 目が覚めるとなにやら暖かくてやわらかいものがあるのに気づいた。 布団をはがすまでもなく自分以外の誰かが入っているのがわかる。 恐る恐るめくると自分が幻想郷に来て以来何かと世話になったりしている霧雨 魔理沙がいた。 「……魔理沙、おまえは何やってる」 「クリスマスの日はプレゼントを渡すのが風習なんだろ?」 「あぁ、そうだが?」 「なら、わかったよな?」 「……わかったが、マジか?」 「大マジだぜ」 魔理沙は顔を赤くしながらも笑みを浮かべ、さらに言葉を続けた。 「私というプレゼントを受け取ってくれ」 11スレ目 488 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「なー、○○」 「ん、なんだ魔理沙」 魔法の森にある魔理沙の家。 相変わらず散らかった部屋の中で、 居候の俺と家主の魔理沙はちょっと離れてそれぞれ本を読んでいる。 「もしさ、私とお前の子どもができてさ」 「~~~~ッッ!!?」 俺は声にならない叫びを上げた。 確かに魔理沙とは恋人同士だが、 子どもができるようなことはまだしていないはずだ。 ……いや待て、この間の神社でやった宴会、 萃香に5杯目を飲まされた辺りから記憶がない。 まさか…… 「できたのか!?」 「……できるようなことはまだしてないぜ」 ああ、ほっとした。 「それでな?もし私と○○の子どもができてな」 「あ、うん。それで?」 「もしその子が年頃になって、 『魔法使いになりたい』とか言い出しても… …ちゃんと祝福して、送ってやってくれよな」 ああ。 以前霖之助さんから聞いたことがある。 魔理沙はもうずいぶん前に、魔法使いになることを父親に反対されて 家を出たきりになっているとか。 「よっ、と」 床のガラクタを押しのけ、魔理沙の隣に腰掛ける。 「大丈夫だよ。こうして普通の魔法使いに惚れてここにいるんだ。 子どもがそうなりたいって言ってもちゃんと受け入れられる」 「○○……」 「でもさ、逆にその子が 『道具屋になってまじめに働きたい』とか言い出したら どうするんだ?」 ちょっといたずら心を出して聞いてみた。 それは嫌だぜとか言うのかと思ったのだが。 「そうだとしても、私は笑って 送り出してやるぜ?」 予想に反してさらりと返された。 「だってな……」 ぐいっと、魔理沙が身体をすり寄せてくる。 「私と、私の愛する○○と、 二人の間にできた子なんだぜ? 時々けんかすることぐらいはあっても、 幸せな家族でいたいじゃないか」 そう寒いわけでもないのに、 温もりを欲しがるように密着してくる。 「別に後悔してるとか、 そんなんじゃないんだ。 ただお前と私が家族を作るとしたら、 似たようなことになるのも 芸がないと思ってさ」 ……確かに魔理沙なら過去を後悔などしないだろう。 でも心なしか、強がるような口調には未来への不安が感じ取れた。 だから俺は肩の辺りに寄りかかってくるふわふわした頭にそっと手を置いた。 「大丈夫だって。魔理沙を見て育ったら ……えーと、とりあえず元気な子にはなるから。 良い家族になれるさ、うん」 「なんだか私にろくな取柄がないような言い方だな。 もっと何かないのか?」 「…可愛くて、元気で、皆に好かれて、実は努力家で、太陽みたいな子になると思うよ」 「……そこまで言われるとかえって恥ずかしいな。 大雑把で、部屋が散らかってて、人の迷惑を省みなくて、 借りた本を返さない子どもになるかもしれないんだぜ?」 「そんなところも含めて、俺は魔理沙のこと愛してるよ」 「……ん」 今日も、ゆっくりと時間が流れる。 12スレ目 517 うpろだ841 ─────────────────────────────────────────────────────────── どっちの方がすき? ~霧雨 魔理沙~ ○○の家の物を盗みにきたとき。 1 普通の魔理沙 よ、○○じゃないか。 今日はお前の本を借りにきたぜ。(ずがずがと入り込む) えっ、前借りた本はどうしたって? すまんな、まだ見ているんだ。(本棚からちょいちょいと盗んでいる) ……おい、今日はいつもの○○らしくないぜ。 いつもは早く返せとか勝手に取るなとかいうのによ。 一体何なんだ? 黙ってちゃこわいこわい、何か言いたい事ありゃいいなよ。 ……なんだって!? 俺を盗めってどういう風の吹き回しだ。 えっ…? 私の事が好きだって? ば、馬鹿を言うんじゃない。 私みたいな泥棒をどうして好きになるんだよ? …俺の心はお前に盗まれた? ―っぷ、フハハハッ! うまい事言ってくれるじゃないか! やれやれだぜ、○○、お前の負けだ。 私もお前の事が気になってあいつ(=パチュリー)の本を盗みにいけれねぇ。 だから、お前の家に来るようになったのさ。 ほ、本当のことなんだぜ!? ……○○、私はお前の事が大好きだ。 嘘は言わない。 だからさ、私は…○○の持っているものしか、盗まないぜ。 何を盗むかって? そ、それはだな。 たとえb――ッ!!?(言うている最中に抱きしめてキスをした) …ぷはっ、はぁ、はぁ……酷いぜ/// 私みたいな乙女にいきなりキスするなんて。 それに…○○に先に盗まれたぜ……私の唇を/// 覚えてろ、今度は私が先に○○の唇を奪ってやるからな!! 2 実はシャイな魔理沙 きょろ、きょろ…(○○の部屋の中へ進入) ……い、いないよな。 よし、○○。 今日も本を借りに来たぜっ、っと。(本を数冊頂戴する魔理沙) ♪~♪~……うわっ!(後ろから何者かに首筋を捕まれる) ま、○○じゃないか! い、いつここにきたんだ!?///(首筋を離した後、じりじりと近づく○○) あ…え、えっと、ほら、なんだ。 わ、私は本を盗りに来たんじゃなくて、借りに来ただけだからな!? う、うぐ…○○、そんな顔で見るなって、怖いじゃないか。(近づく○○に対して後退する魔理沙) ……わ、私が悪かった、本を戻すから許してくれよ~!(はわわ、○○の顔が近いよ~///) どさっ(ベットに引っかかってそのまま後ろに倒れこむ) ひゃぁっ!(小さく悲鳴を上げる魔理沙にマウントを取る○○) ……なぁ、○○。 お願いだから許してくれよ…な? な?(真っ赤な表情+涙目で訴える魔理沙) ちゅぅっ。(訴えを無視してディレイなし+前兆なしのキスをかます○○) ……☆◎@*+#%&!!!?(突然の事で訳のわからない叫びを上げる) な、何乙女の私にき、キスをするんだよ!?(パニック状態な魔理沙) ……私の普段見ない表情がすごく可愛かったからって? ば、ばかやろう。 乙女の前で堂々というんだよ/// えっ? 私の事がすきだって……? も、もぅ。 恥かしくて私、死んでしまいそうだ/// ……私はどうなのかって? ○○!! 私をどこまで恥かしい思いをさせりゃいいんだ! いくら本を借りたからってあんまりだ! 勘弁してくれ!!/// ……ま、まぁ。 わ、私だって……恋する乙女なんだぜ? ○○の事、嫌いに思う訳が無いじゃないか!/// …なぁ、お願いだから、さっきの事、許してくれよぉ~。 えっ、無理だって? じゃぁどうすりゃ許してくれるんだよ? これから一生愛し合って、毎朝キスしたら無かった事にする!!!?(むちゃくちゃな条件に驚く魔理紗) ……わ、わかった。 私は○○の事、一生愛する。 毎朝キスをする…。 ぅ~……すごく、恥かしいぜ///(帽子で顔を隠す魔理沙) 12スレ目 634 うpろだ858 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「魔理沙。」 「何だ?」 「好きだよ。」 「はいはい・・・ってえぇ!?」 「いや、だかr「いやでもな私は嬉しいんだがそのなんだあのお互いのことをよく知らないといけないというかなんというか亜qwせdrftgyふじこlp;」 ‐3分後‐ 「……返事は?」 「え、えと、その、私でよかったら……。」 無言で抱きしめてみる。 耳まで朱に染まった魔理沙が可愛かったもんだから愛してる、と耳元で囁いたら紅まで染まった。 12スレ目 81 ─────────────────────────────────────────────────────────── とんとんと包丁の小気味良い音が響く。 コトコトと味噌汁の煮立つ音がする。 今日も家へ戻ると食事の準備がされていた。 「おお、遅かったな」 「ああ、少しアリスの家に行って糸繰りを教わっていたんだ」 「へえ、最近アリスの奴と仲がいいんだな」 「何だ魔理沙、妬いてるのか?」 「そんなことはないぜ。ほうれ、もうじき出来るぞキノコ尽くしだ」 「うへえ、今日もキノコか」 「昨日はエリンギ、今日は違うキノコだぜ」 言いながら食卓に手際よく皿を置いていく。 程なくして夕食の準備が整った。 「それじゃ『いただきます』」 挨拶し食べ始める。 「味はどうだ。今日採ってきたんだが」 「うん、結構いけるな。初顔だがなんていうキノコなんだ」 「森の奥に生えるキノコでな」 森、魔法の森だろう。あまり良い場所ではない。無論植物にもだ。 「毒があってな。自白になるんだ」 「魔理沙、何を言って……」 「美味いんだろう。食べればいいじゃないか」 「魔理沙、お前何を」 「アリスとは何もないんだろう! なら食べればいいじゃないか!」 非常に強い口調で言われる。 これほどまでに魔理沙を不安がらせていたのかと今更気づく。 だが問題ない。魔理沙がいかなる疑義を掛けようとアリスとの間には何もないのだ。 ならこれを食べて魔理沙の疑いを晴らしてやればいい。 何の問題も無い。 真実密通しているのは霊夢となのだから。 12スレ目 408 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「なぁ魔理沙。恋色ってどんな色なんだ?」 「こんな色だぜ」 そう言ってキスをして来た後に照れ隠しに帽子を構いながらこうつぶやく。 「やれやれだぜ……」 12スレ目 440 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「よう執事、邪魔するぜ」 「こらこら、勝手に入るな、それと俺は執事じゃ無い」 いつもどおりに窓から侵入してきた魔理沙、コイツになに言ってもどうせ聞きはしないと解っていても、言わざるを得ないのである 「そうそう、今日は本の貸出禁止だ」 「な、何でだ!?ぜ?」 「とにかく今日は駄目だ、どうしてもと言うなら実力行使で逝かせて貰うぜ?」 実力行使と言っても咲夜さんを呼ぶかレミリア様に報告するかの二択なのだがね 「ふぅ、しょうがないな・・・今日は大人しく帰るぜ」 「うむうむ、素直で宜しい事・・・そうだ、魔理沙」 「ん、なんだ?」 「今夜お前の家に行くから」 わぁっと? 違う わーい? お、落ち着け私!○○が今夜?私の家に?・・・おk把握・・・把握・・・ な、何しに来るんだ?ナニしにくるんだ? も、もしかして、○○も私の事・・・そ、そんなはずないぜ、こんながさつで乱暴者をす、すきに、なるはず、ない・・・ぜ ででででももしかしたらもしかしてと言う事もなくは無い筈な事もないこともry 「魔理沙?どうした、気分が悪いなら医務室に」 ○○の顔が、凄く近かった、のでびっくりした 「ひゃぁっ!?」 「うを!?ど、どうした?」 ま、まだ慌てるような時間じゃ無いぜ! 「かか帰る!よ、夜にまたっ」 侵入した窓から、逃げるように紅魔館を後にした こんな真っ赤な顔を○○に見られたら、さらに赤くなって収拾がつかなくなりそうだからだ ~そして日が暮れて~ 「魔理沙ー、まーりさっ」 玄関から声がする、間違いなく○○の声だ ベットシーツも新しいのに代えて、お風呂に入って、ええと、その・・・大丈夫! 深呼吸をして、気持ちを落ち着けて ○○を出迎えた 「こ、こんばんわだぜ!夜遅くにご苦労だぜ!」 「お、おう・・・随分機嫌がいいな」 ○○が持っている風呂敷に目が行った なんだかでこぼことゴツゴツとしたものが・・・はっ さ、流石っ!出来損ないとはいえ吸血鬼、人間を超えた存在・・・色欲においてそんな域まで到達しているとは・・・ は、初めてなのにそんな、その・・・ 「だ、だめっ!む、無理だぜっ!?」 「ど、どうしたいきなり・・・?」 「え?あ・・・・・・・なななななななんでもないぜーHAHAHA」 まだ二月だと言うのに、わたしの頭はすっかり春だった 魔理沙の様子が凄くおかしい 赤くなって俯いたかと思うと身体をくねくねさせたり、いきなりニヤニヤしたり、独り言も多い 一言で言うと不気味だ なんか変なきのこでも食べたんではなかろうか? まぁとりあえず放っておいて、俺は俺の仕事をしようではないか 風呂敷を広げて、パチュリー様に頂いた金属探知機のような棒を取り出す この棒をかざすとパチュリー様の本かそれ以外かが判るらしい、らしい とりあえずくねくねしている魔理沙を放置して本棚をあさり始める ええと、これと、これと、これも・・・・・・・・・・・ 「あっ、でも・・・そんなの・・・・・・・ん?○○、何やってるんだ?」 「お前が借りたままで返さない本を強制回収してるんだ」 「なっ!何の権利があって!?」 「いやいや、貸主の要望でな、と言うか借りたらちゃんと返しなさい」 「も、もしかして今夜来たのは・・・」 「ん?だから本を返してもらいに来たんだ、俺は日光駄目だし、だから夜」 なんだかパキンと言う何かが割れる効果音がした 魔理沙は一時固まっていたが、凄い勢いで寝室に飛び込んでいった 「な、なんだ?」 「ぎゃぁぁぁぁあああ!?恥ずかしい!恥ずかしい! さっきまでの春な頭を黒歴史にしてしまいたいぜ!ぜっ! 何を一人で勝手に盛り上がって、盛ってる訳でもあるまいし!うあぁぁぁぁああ」 ベットにダイヴしてごろごろと転がって、身悶えた 勝手に花咲かせてた自分の頭、思考回路を燃やしてしまいたいぐらいだぜ 思春期でもあるまいし・・・ああ、チクショウ 馬鹿だな、私は 「おい魔理沙、本の選別が終わった」 嗚呼そうかい、ならさっさと帰ればいいだろ?こんな妄想過多な春娘はほっといてさ 「おい、入るぞ」 「ちょ、ちょっとまっ」 問答無用、待ったなしでドアが開けられた、鍵した意味が無いじゃ無いか 「・・・なんか変だと思ったら、顔が真っ赤じゃ無いか・・・熱があるなら寝てろ」 「ち、違」 おでこに触れた○○の手は、ひんやりと冷たかった 「熱はないか・・・ほんとに大丈夫か?」 「大丈夫だから、離れてくれ」 「あ、ああ悪かった」 これ以上そんな近づかれたら熱暴走して液体窒素で冷却しなきゃならないぜ 「あー・・・その、今まで悪かったな、今度からは、その・・・」 違う、私が言いたいのはそんなことじゃ無い 私がお前を嫌悪する分けないじゃ無いか 「○○っ!お前に言っとかなきゃならない事があるんだっ」 「な、んだ?」 さぁ問題だ ここで私の想いをぶちまけるのか 拒絶を恐れて何も言わず、誤解させたままにするのか 告白とは、とても怖い まず言葉にするだけでも大変だ そして相手の反応が怖い 最悪の状況まで考えてしまう、拒絶されるのではないか、彼には他に意中の人が居るのではないか しないなら想いは想いのまま、壊れず、怖い思いもしなくて済む さぁ問題だ 私らしいのは、どれだ? 「○○、私は・・・私はお前が好きだ、好きでたまらないんだ」 「・・・は?ちょ、ちょっとまて、ええと・・・あ、うん、俺も好きだ・・・」 嫌われてるんだと思った、それが凄く寂しいと思った 魔理沙の事は好きだ 紅魔館によく侵入してきて、それで話すようになって お茶したり、探している本を一緒になって探したり いろんな事は出来ないが、それでもコイツが、凄くいいやつで、可愛い奴だというのは知っていた 「待ってくれ・・・魔理沙、お前の事が好きだ・・・こんな俺でよかったら、恋人になって欲しい」 かなわないならそれでもいいと思っていた 恋なんていつかは消えてしまうと でも、それでも、コイツなら、恋色の魔法使いなら 「私のほうこそ、その・・・よろしく、だぜっ」 そういえば、今日始めてこいつの笑顔を見れた気がした 「なんか綺麗にまとまったと思ったのに・・・」 「どうした○○?」 「日が昇って外に出れない、屋敷に帰れない」 「そんなに落ち込むなよ、一日私と過ごせると思えば」 「嗚呼、それもそうだな」 「で、でもまだそういうのは早いぜっ!もうちょっと順序を追ってその、いや別にしたいとかそういうのじゃなくて、したくないと言えば嘘になるかもしれないけどry」 「魔理沙ー?おーい」 だめだ、何処か遠くの世界へ旅立ってるみたいだ、目の前で手を振っても気付かない 遠くから窓を見ると、上った朝日が辺りを照らしている 「まぁ・・・今日は久しい休暇と言う事でいいかな」 いまだクネクネ身をよじりながら独り言を言っている魔理沙 キスでもして驚かせようかとも考えたが、面倒なのでとりあえず放置して紅茶を入れることにした end 12スレ目 771 うpろだ874 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「あれ、魔理沙もう寝るのか?」 「おう、○○おやすみ」 軽く挨拶して魔理沙が俺の前を通り過ぎた。 手には一升瓶をぶら下げて―― 「って待てや。なんだその酒瓶は」 魔理沙は手にした一升瓶を持ち上げて 「なにって飲む以外になにがある? 消毒にも使うけど今ケガしてるようにはみえないだろ?」 「いや、飲むのは構わないんだがそれ丸々一本飲むつもりか?」 「おう。これだけ寝酒として飲めばぐっすりと眠れるぜ」 「いやいや、それ位飲まないと眠れないって方が問題あると思うが」 「冗談だ。せいぜい3杯くらいしか飲まないよ。○○にだってあるだろ? こう眠れないときに一杯やりたいって時が」 「ない。眠れないときは読みかけの本とか読んだりするし、そもそも眠れないって事のほうが少ない」 「むぅ。お前そういうところドライだよな。もっと飲めるようになれよー」 「お前らがザルなだけだ。俺だってそれなりには飲めるんだから」 といっても精々ウイスキーのシングル水割りを2杯くらいで程よく酔っ払うので決して強いわけではない。 なので宴会をやっているときには端の方でなるべく静かにしているのだ。下手に飲まされてぶっ倒れてゲロ吐くなんて醜態は晒したくない。 「でもその分きっちり片付けしていってくれるのがすごく助かるって霊夢が喜んでたぜ」 「騒げないぶんそういう後始末くらいはしておかないとな。で、話は戻るがやっぱり瓶ごとはやめておけよ」 「ふっ、私はちゃんと自分の限度はわきまえているからな。心配はいらないぜ」 「あれ~? この間度数見間違えて飲んでひっくりかえって一日俺に二日酔いの看病させたのはどこの誰ですか?」 「そっそんな前の話もちだすなよっ!」 「というわけでこの酒瓶はぼっしゅう~」 そういって俺は魔理沙の手から一升瓶を取り上げる。 「あっ、なにすんだよー。かえせよー」 身長差があるためいくら魔理沙がはねても高く上げた俺の手には届かない。 「だ~め。眠れないんだったら眠れるまで俺が話し相手になってやるからそれでいいだろ?」 「えっ?」 急に飛び跳ねるのをやめ、顔を赤らめて上目遣いで俺を見つめてきた。 「あ、あのさ、それはいいんだけれどできれば一緒のベットに入って話してくれるといいんだけど……」 こいつめ。その表情に俺が弱いこと知っててやってるな。 「まぁいいけどさ。そうすると俺そのまま寝ちまうかもしれないぜ?」 「かまわないぜ。むしろ願ったり叶ったりだ」 「よし。じゃ決まりだな。酒瓶置いたら部屋にいくよ」 「ああ、じゃ先に部屋いって待ってるからな」 さていったい何を話すとしますかな―― 12スレ目 776 うpろだ878 ─────────────────────────────────────────────────────────── 魔「あー、飲みすぎたー」 調子の悪そうな顔をして魔理沙が部屋から出てきた ○「まったく昨日あんなに飲むからだ。少しは自重しろ」 魔「へいへい。なぁ腹へったから何か食べるものないか?」 ○「バナナでいいか?」 ――ゴンッ 魔「あのなー、病人相手にそれはないだろー?」 ○「冗談だ。しかし二日酔いは病気じゃない。ほれおじや作っておいてやったから」 魔「おっ、○○の作ったおじや出汁がきいててうまいんだよなー」 しばらく魔理沙のおじやをすする音しかしなくなる―― 魔「なぁ、○○」 ○「なんだよ」 魔「好きだぜ」 ○「そいつはどうも」 二日酔いにやさしいようにすっきりじたてにしてみました 12スレ目 600 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「○○は……まだ来てないな。 おーい、香霖」 魔理沙は香霖堂のカウンター前にいた。 手には何か薄い紙の束らしきものを持っている。 奥から出てきた店主の霖之助が何か言う前に、 魔理沙は口を開いた。 「香霖、チョコをくれ」 「いきなりだね魔理沙。 バレンタインは明日だし、僕は男なんだが」 「そんなことはわかってるぜ。 ほら、これだこれ」 持っていた紙を広げる。 どうやらそれは外の世界の雑誌だったらしい。 開いたページには市販の菓子の写真が載っている。 柄がビスケット、傘がチョコレートでできた、 きのこの形をした菓子だ。 「幻想郷で、きのこと言えば私、霧雨魔理沙だぜ。 香霖、入荷してないのか?」 「さて、どうだったかな…… 倉庫で見たような気がするんだが」 「―おはようございます」 ドアを開け、○○が入ってきた。 外の世界から来て、今は香霖堂を手伝っている彼は、 魔理沙の恋人だった。 「ああ、ちょうどいい。彼に聞いてみよう」 「あっバカ、せっかく内緒に……」 「○○、ちょっとこれを見てくれ。 在庫の中にあったかな?」 「おっ、懐かしいですね。 でも俺は『きのこ』より『たけのこ』の方が……」 「……たけのこ?」 「ん、どうしたんだい、魔理沙?」 「……蓬莱月人か!?私を捨てて蓬莱月人に走るのかあー!!!」 「うわ!?落ち着くんだ魔理沙!店を壊さないでくれ!」 「おい魔理沙、スペルカードは、スペルカードはやめt」 ~恋符「マスタースパーク」~ 結局、在庫調査は霖之助が行い、○○は壁に開いた穴の応急処置をすることになった。 「す、すまない○○……ちょっと取り乱したぜ」 「あのな魔理沙……あんまり⑨なこと言わないでくれよ? 俺が魔理沙を捨てて他の誰かを好きになることなんかありえないだろ?」 魔理沙の頭を撫でながら、○○は臆面もなく言ってのけた。 「……うん」 良い雰囲気だったが、ちょうどそこへ霖之助が戻ってくる。 「似たような感じだが、これは違うかな? しばらく前に幻想郷に入ってきたんだが」 そう言って霖之助が差し出したのは 「……『すぎのこ』?○○知ってるか?」 「いや……あまり聞かないな」 その時、轟音が響いて地面が大きく揺れた。 「何だ!?」 「外だぜ!」 店の外に出ると、そこには空から降ってきたと思われる 巨大な柱が突き刺さっていた。 「これはいったい……」 「待つんだ○○、何か書いてある。 何々……」 『杉と聞いて、古き縁を結びにオンバシラ』 「……神か!?私を捨てて神に走るのかあー!!!」 「おい魔理沙、俺は何も言ってな…… ちょ、ラストスペルは、ラストスペルはやめt」 ~魔砲「ファイナルスパーク」~ ―バレンタイン当日。 魔理沙は倉庫に一箱だけあった目的の品を手に入れていた。 代金は払っていない。 ちなみに、香霖堂は吹き飛んだ店の一角の修理に入ったため、 ○○の仕事は休みになっており、魔理沙の家に来ていた。 「そういうわけで○○、私からのチョコをやるよ」 「これ一箱にずいぶん大きな犠牲を払った気がする……」 箱を受け取ろうとする○○の手を、 魔理沙は押しとどめた。 「なんだよ。くれるんじゃないのか?」 「チョコをやるとは言ったが、これを全部やるとは言ってないぜ」 そう言って魔理沙は箱の中身を一個取り出すと、 柄の部分を口にくわえた。 「ほふぁ、ふぁへふぉよ(ほら、食べろよ)」 チョコでできた傘の部分だけを、この状態から食べろということらしい。 「……じゃ、お言葉に甘えて」 ○○は、チョコの部分だけをかじり取ろうとするが、なかなかうまくいかない。 時々、唇や舌が魔理沙の唇に触れる。 結局、ビスケット部分を少し一緒に食べてしまった。 「あー、失pむぐっ!?」 一瞬の隙を突いて、魔理沙の舌が唇を割って入ってくる。 それはしばらく○○の口の中で暴れ回り、 やがてカメレオンのような器用さでビスケットだけを絡め取って離れていった。 「チョコだけと言ったはずだぜ?」 頬を赤く染めながら、魔理沙はニヤリと笑った。 だが○○も、負けてはいない。 「待て魔理沙。……今のは少しチョコが残っていた気がする」 結局、二人は一箱分これを繰り返すのだった。 12スレ目 968 うpろだ922 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「○○、いるか?」 「あぁ、いるぞ。それと呼び鈴くらい押してから入れ」 「そんなことはどうでもいい、今日は何の日だか知ってるよな?」 「あー・・・・・・、バレンタインだっけ?」 「そう!だから私がチョコを作ってきたやったぜ、喜べ」 「そうか。で、チョコは?」 「これだぜ。」 「開けていいか?」 「おう」 箱を開けると、4×4の大きさの升目に一つづつチョコが入っていた。 「○○! その中に一つだけ凄く甘いチョコがある。それを当てられたなら私がご褒美として・・・その、キ、キスをしてやろう!」 「は?」 「う、うるさい! 早く選べ!」 OK、頭を一度整理するんだ。魔理沙がくれたチョコの中から凄く甘いチョコを当てられたらキスをしてもらえるだと? こういう恋愛事には恥ずかしがって中々してくれない魔理沙からのキスだ。必ず当てねば! かといって、どれが凄く甘いチョコなのだろう。確立は16分の1だし、適当に選んで当たるとは思えない。 あれこれ思考を続けていると、魔理沙が言った。 「は、早くしろ! え、えーと、後10秒だ!」 「ちょ、それは理不尽だろ!」 「9・・・・・・8・・・・・・7・・・・・・」 カウントは進む。もう考えている暇などないので一番右上のチョコをとって言った。 「じゃあこれにするよ、これが甘いチョコだったらキスしてもらうからな?」 「お・・・・・・おう」 「それじゃ、食べるぞ」 チョコを口に含む。 これは・・・。 とてつもなく甘い。砂糖を直接食べている気分だ。 「魔理沙・・・・・・これ、甘いぞ?」 「そ、そうか。あ、当てられたんなら仕方ないな」 魔理沙が俺に近づいてくる。そしてそのまま、唇に軽く触れる程度のキスをした。 「そ、それじゃあ私は帰るからな!」 「待てよ、残りのチョコくらい一緒に食べてこうぜ」 「い、いや、私は遠慮しとくぜ!」 走って逃げ出したので、手首を掴んで聞く。 「・・・・・・さては何かあるだろ?」 「な、何も無いぞ!」 チョコに何かあると思い1つ食べてみる。 ・・・・・・あれ?甘いぞ? もしや、と思いもう1つ食べてみる。 ・・・・・・甘い。 なるほど・・・そういうことか。大方バレンタインを口実にしてキスがしたかったのだろう。 「魔理沙、チョコ全部甘くしただろ?」 「う・・・・・・、その・・・・・・」 もじもじしながら場を切り抜ける為の言葉を考えている魔理沙が可愛かったので、悪戯心からこんな事をいってみた。 「魔理沙、今2個食べて2個とも当たったよな。2回キスしてくれるんだろう?」 「え!?ちょ、それは・・・」 「最初の1回だけとは言ってないよな。あぁ、そういえばチョコが後13個も余ってるな。」 「う・・・○○の意地悪! 腹黒! 鬼!」 「はっはっは。なんともでも言え。だがルールは守ってもらおう!」 終わり。 12スレ目 974 うpろだ929 ─────────────────────────────────────────────────────────── ここは魔法の森にある古道具屋、香霖堂。店主の霖之助さんは奥で新聞を読んでおり俺は魔理沙に呼び出され今に至っている 「……で、俺を呼び出して何のようだ?」 「まず落ち着いてくれ、このキノコはサービスだ」 何のつもりか知らないが赤い傘に水玉の斑点が入ったキノコを魔理沙は手渡した。 「○○、お前の全てを私にくれ」 「いきなりだな。何か欲しいもの、俺が持ってたっけ?」 「わからない奴だな、お前が…、あ~その、好きなんだよ……。こんな事何度も言わせるんじゃないぜ」 「魔理沙……」 俺はこれまでの魔理沙との思い出を思い出した初めて出逢って、そして今の関係になるまで…… 正直魔理沙の事は俺も好きだった、明るく気まぐれでそれで負けず嫌いの、笑顔が可愛い子だ。 でも人気者の彼女が俺にはふさわしくないとも思ってた、だから傷つかないようにしてた、今の関係を保っていた 「魔理沙……」 でも 許される なら 「○○……」 俺が魔理沙を好きで魔理沙も好きなら…… 「好きだよ、魔理沙」 その時香霖堂の扉が吹っ飛び、破片が粉々に飛び散ったが店主は気にも留めず天狗の新聞を読みふけった。 吹き飛ばした入り口からはアリスとパチュリーが現れる。 「アンタに魔理沙は渡さないわ!」 「待ちなさい、アリス。今消極的にあの男を消し飛ばす方法を考えているから……」 「「アンタは今ッ!『魔理沙を遠くから愛でる会』の会長を怒らせたッ!」」 「……会長は私よ?」 「あなたに譲った覚えは無いわ、それより……」 「「魔理沙独占禁止法を無視した報いッ!とくと知るといい」」 「お前らキモい」 魔理沙は異質なものをみるような目でそう言い放った 「むきゅんッ!」 「大丈夫ッ!?パチュリー!しっかり! 魔理沙あんまりよ、この子のハートは体と同じくらい脆いんだから!」 「いや、私は女だし……」 「そういう問題じゃないわ!」 すると魔理沙はこちらをチラリと見てから高らかに言い放った 「面倒くさい……、よぉし、わかった!お前たちがそこまで言うなら私も女だ! 勝った奴の嫁になるぜ!」 すると今まで虫の息だったパチュリーが何ともないように起き上がる 「愛は貧血すら凌駕すると知りなさい……」 「パチュリー、ちょうど良かったわ。これで心置きなくアンタを消し飛ばせるわね」 既に辺りには恐ろしい程の魔力が渦巻いており、霖之助さんは溜め息をつき奥へ引っ込んでいった。 「さぁ、○○!愛は勝ち取るものだぜ。私をさらってくれよ」 とウインクした魔理沙には特に考えがなさそうだ 「おい、ちょっと待t……」 「ねぇ、パチュリー。まずは邪魔な○○を片づけておかない?」 「奇遇ね、アリス……。私も同じ事を提案しようと思ったのよ……」 「俺はただの人間だぁ~ッ!」 俺の叫び声は魔法の森に大きく響き渡っていった。 ~終~ 13スレ目 59 ───────────────────────────────────────────────────────────
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■魔理沙1 魔理沙へ 「俺に毎朝味噌汁を作らせてくれ!」 1スレ目 4 ─────────────────────────────────────────────────────────── 魔理沙へ 「俺の為に毎朝、味噌汁を作ってくれ!」 返答は当然「断る」 理由を400字以内で尋ねたら「めんどい」 1スレ目 12 ─────────────────────────────────────────────────────────── 53 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/08/05(金) 04 13 29 [ xjW.N./2 ] なんだか「プロポーズの反応を予想するスレ」になってるが、それはそれで面白いな。 明らかに未満なのも混ざってるけどw 魔理沙へ 「魔理沙!お前が好きだ!!お前が欲しい!!!」 魔理沙 「え!?あ、その、ちょっと、そんな、いきなり、私にも心の準備ってものが、その、あるでしょ!?」 直球ど真ん中を投げられ、男言葉も忘れてアタフタする魔理沙に萌え。 54 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/08/05(金) 18 01 48 [ vwrCXCmk ] 53 視線があっちいったりこっちいったり、 おさげをクルクルいじったり帽子をいじったりしながら 頬を赤く染めつつ上目遣いでこっちを見て 魔理沙「……………………うん。……いいよ」 とか言ってる魔理沙が脳内に浮かんで萌え死んだ 1スレ目 53-54 ─────────────────────────────────────────────────────────── 不思議な森に迷い込んでからもう丸一日たとうとしていた。 どうしてこんな場所を歩いているのかよく覚えていない。 草木は故郷のそれに似ていてまったく異質、昼なのに薄暗く静か 生き物の声は聞こえないが森中に強い意志のような不思議な気配を感じる。 ここはきっと御伽噺の魔法の森。 迷い込んだ僕は魔法使いでも英雄でもないけれど、 僕はこの白と黒の影に包まれた異界の森の中心で ひときわ大きな木にもたれかかる金色の姫を見つけた。 その美しさに吸い寄せられるように、僕は彼女の前に立った。 彼女は大きな瞳で僕を見ると眉を悩ませて言った。 「珍しい、私を迎えに来た死神か? 最近の死神は間抜けな顔なんだな・・・ッ!!」 彼女は小さくうめき声をもらし手でわき腹を押さえている。 よく見ると黒いドレスに染みができている。 「怪我、してるのか?」 「ちょっとしくじっちまったぜ、でも、問題ない」 衣服の染みは広がっていく、とても平気にはみえない。 このままでは危ない、僕はそう直感した。 「失礼します、お姫様」 僕は彼女の服をめくりあげわき腹の怪我を見る。ひどい・・・ 「姫?っておい、何するんだよ」 彼女は抵抗するが弱々しい。 「大丈夫です、医者ですから」 本当は嘘だけど、簡単な応急処置なら僕にだってできるはず。 消毒できるようなものは持っていない、とりあえずは止血しなくちゃ。 僕は上着を脱ぐと破って丁度いい長さにし、包帯代わりに彼女の傷をふさぐ。 てきぱきと動く僕を見て彼女は抵抗をやめた。 「この辺に、家とかありませんか?」 「ん、私の家ならもう少し先に」 僕は彼女を背負って歩き出した。 すこしして森が少し開けた場所に家が見える。 「あれですか?」 …返事がない、気絶してしまったらしい。迷ってる暇はない。 「失礼します!」 大声をだし返事を待たずに家に入る、 ベットがすぐに見つかったのでそこに彼女を寝かし僕は部屋を見回す。 散らかっている・・・机の上にある液体の入ったビンの匂いをかいで見る。 多分、アルコールだ。 僕はそれで彼女の傷を消毒し、再び傷口を縛った。 それから一晩、して、苦しそうだった彼女の表情も安らいだ寝顔に変わっている。 もう大丈夫だろう。 急に疲れが押し寄せてくる、僕は彼女のベットの横でそのまま寝てしまった。 鳥の声、朝の光、窓から差し込む光が僕の目の前で金色にキラキラ反射している。 「お、起きた」 彼女の顔が目の前にある。キラキラは彼女の美しい髪。 御伽噺のようなその美しさに惑わされて、僕はおどけて言った。 「お姫様、お加減はもうよろしいのですか?」 「ん、まぁな。助かったぜ」 彼女は少し顔を赤くして、髪の毛をかきむしりながら言った。 「それと私は姫じゃないぜ、普通の魔法使いの魔理沙だ、おまえは医者?」 「いえ、実は僕は普通の・・・迷子です(泣」 「おいおい、泣くなよどういうことだ?」 僕は、この森に迷い込んだこと、元の世界に返れなくて困っていたことを話した。 彼女、魔理沙にはここが幻想郷と呼ばれる場所であること、 稀に僕のような外の人間が迷い込み、帰るのは難しいことを教わった。 「はぁ、僕どうしよう・・・」 僕がこの先のことを考えて暗くなっていると、 魔理沙は髪をいじりながら少しぶっきらぼうに言った。 「行くとこないなら、しばらくここにいるか?」 「え、でも」 「私は独り暮らしだし、まだ怪我が全部治るまではあまり動き回れないし、 その間誰かいてくれると助かる」 「独り暮らしの女性のところに世話になるわけには・・・」 「ぁぁ、もうめんどくさい。お前は行く場所がない。そうだろ?」 強く言われて頷く。 「じゃぁ決まりだな。私はもう少し寝るから、その辺の掃除を頼むぜ」 彼女はそう言ってすぐに寝てしまった。まだまだ本調子ではないようだ。 それから数日僕は魔理沙の家でガラクタの掃除をしたり、 食事の用意をしたりしてすごした。 怪我のほうはもうほとんど治っていた。 よく考えると、助けたのは僕なのに、体よく家事手伝いをやらされている気がする。 けれど、無邪気な表情でベッドで寝ている このぶっきらぼうで口の悪い姫を見ていると、こういう暮らしも悪くないと思い始めた。 その日、僕が倉庫のガラクタ整理をしていると、ぼろぼろの縄を見つけた。 長さ1メートルともう少しくらいの赤い縄。 ゴミなら少しでも減らしたいのだが、しかしここにあるのは魔法の品ばかり、 魔理沙に確認とるために見せて見た。 「・・・わすれた、ちょっとかしてみてよ」 魔理沙に縄を渡す、丁度、縄の両端を僕と魔理沙で持つ形になった。 とたんに縄が勝手に動き始めた。ぐるぐると僕と魔理沙の腰に巻きつき 手錠のように互いを縛ってしまう。 「なんだこれ・・・とれねぇ」 僕と魔理沙をつなぐ部分は30センチほどしかない。 縄は苦しくはないがぴったり腰に巻きついて解けない。 「あーーー、切るか」 刃物を取りに魔理沙が台所へ向かう、けれどつながれた僕は引っ張られ バランスを崩し転んでしまう、結果魔理沙もバランスを崩すわけで・・・ 僕たちは廊下で重なり合って転んでしまう。 魔理沙の顔が至近距離に・・・大きな瞳、白い肌が赤く染まる。 やば、つい見つめてしまった。 あわてて起き上がるが、つながれてるため体が持ち上がらずしりもちをつく。 「あぁぁ、ごめんなさいごめんなさい」 「はぁ、いいからまず落ち着こうぜ。ゆっくり、タイミング合わせて立ち上がる」 魔理沙は帽子で顔を隠しながら言った。 もしかして嫌われたかな・・・などと考えてしまい、余計に僕も赤くなった。 結局、はさみでもナイフでも縄は切れなかった。 強い魔力を秘めたものらしい。 よく縄を観察すると、つながれた中央に平らな部分があって、数字が浮かんでいる。 「20」 「なんでしょうね・・・?」 「さぁな・・・」 二人でため息をつく。 お互い離れられず、向かい合うと至近距離なため僕たちは背中合わせになってベッドに座っていた。 「魔理沙、いるー?」 誰か尋ねてきた、この声はアリスさんだろう。 時々遊びに来るので何度かあっている。 「いるぜ」 「おじゃましまっす・・・って魔理沙たち、変わった事してるのね」 「はい、魔法の縄っぽくてどうしてもほどけなくて困ってるんです」 「切れないしさぁ、アリス、この縄何か知らない?」 アリスさんは僕たちをつなぐ縄を見ておかしそうに笑った。 「へ~、魔理沙と君がねぇ。アハハ」 「おいおい、そんな風に笑うと不気味だぜ、何か知ってるなら教えろよ」 「はいはい、その縄はね、恋人同士の遊び道具よ、真ん中に数字があるでしょう? つながれた二人が、お互いに相手の気持ちを言い当てると数字が減るのよ、ただし 気持ちを教えたりヒントを出したりしてはダメよ、それに、つながれてから半日以内に 解かないと、取れなくなるわ」 「ええええ、そんなの難しいって」 「大丈夫よ、恋人同士なら見詰め合ってるだけで勝手に解けるわよ」 アリスさんはクスクスと笑い続けている。 「ででででも、僕と魔理沙はそんな関係じゃないし・・・」 「そ、そうだぜ」 「あら、そうなの、それは困ったわねー。でもためしに見詰め合ってみたら?」 ぜんぜん困ってない口調でアリスさんは言った。 「さぁって、今日は取り込み中みたいだから私は帰るわね。ふたりともがんばってね~」 アリスさんは終始笑いが止まらない様子で帰っていった。 取り残された僕と魔理沙。 「あはは、どうしよう」 「とりあえず、何か言ってみたらいいんじゃないか?」 「んーーー、魔理沙は今お腹すいてる」 「あたりだぜ」 中央の数字が19になっている。 「お前もお腹すいてる」 18になった。それもそうだ、もういつもの夜ご飯の時間は過ぎている。 「なんだ、これなら簡単だぜ」 「そうだね」 「先に食事にしようぜ、腹が減ったら戦はできぬ、それじゃ頼んだぜ」 やっぱり僕が作るのね。でも、このままだと。 「このままだと、魔理沙と一緒じゃないと作れないよ」 「大丈夫だ、私は横で見ている、ときどきつまみ食いする」 「それ、ぜんぜん大丈夫じゃないよ」 「そういうなよ、本当は嬉しいんだろ? ちゃんと味に文句もつけるから」 「ぜんぜん嬉しくな、い、」 結局魔理沙は言葉どおり、横にいてつまみ食いして文句をつけた。 最低だ。味付けも間違えたし、 ずっと横にいて僕を見ている魔理沙を意識して手元が狂ったのだ。 ときどき魔理沙を見るとにこっと笑う。意外に楽しそうだ。 「楽しいの?」 魔理沙は答えなかった 食器を運ぶとき、歩調が合わなくて一回転んだことを除けば食事は普通に終わった。 洗いものは後でもいいだろう、先に縄を解かなくては。 数字が16になっていた。 なんとなく気恥ずかしくてそのことには触れなかった。 魔理沙も触れてこなかった。 再びベッドに背中合わせに座る。 困った、いざ考えようとすると魔理沙の気持ちなんて思いつかない。 僕が黙っていると、魔理沙はいろいろ言ってきた。 「蕎麦が食べたい?」 「食事したばかりです」 「弾幕ごっこしてみたい?」 「死ぬから嫌です」 「前に話した大きな図書館、面白い本が結構あるんだけど、行って見たい?」 「吸血鬼がいるからいやです」 「難しいなぁ・・・ヒント教えろよぉ」 「それじゃ、数字減らないってアリスさんが言ってたでしょう。 あ、もしかしたら今言ったの全部魔理沙がしたいことだ」 15 「何で分かったの?」 答えずに僕はため息をついた。 それから10分ほど無言が続いた。 「んー」 魔理沙が何か言いかけてやめる。 「何?」 言いにくいことなのだろうか? 「あのさ、やっぱりもといた世界に帰りたいって、そう思ってるだろ?」 「え、それは・・・」 答えに詰まる。 15 数字は減らなかった。 「あれ?」 魔理沙が不思議そうな複雑な顔をする。 「えっと、ほら、僕こういうのんびりした暮らしにあこがれてたから、それで、えっと」 「そ、そうか。私も今みたいな暮らしは嫌いじゃないぜ。お前がきてから楽しいし・・・」 「・・・」 「・・・」 「そういう意味じゃないよね?」 「ああ、別に変なことは言ってないぜ」 ・・・ 「こんなことになって、魔理沙は迷惑してる?」 「自由にお茶が飲めないのは迷惑だぜ」 15 「たまには悪くないぜ」 再び沈黙。先ほどとは少し雰囲気がちがった。 「初めて会ったとき、姫っていったよな? あれ、なんで?」 「金髪がきれいだったし、服装も、おとぎの国みたいで」 「ふぅん・・・」 会話が続かない。 「そ、そういえば、そのあと魔法使いって言ってたけど、 初めて空飛ぶの見るまでは信じられなかったよ」 「ん、そうか? こっちじゃ飛べないほうが珍しいぜ。飛んでみたい?」 「飛んでみたいなぁ。魔理沙と一緒に自由に飛び回れたら楽しいだろうな」 14 「じゃぁ、今度教えてやるよ。大丈夫、飛ぶくらいならきっとすぐだぜ」 「やった、あ、でも僕が箒に乗っても似合わないかな」 「そんなことないと思うけど、別に箒じゃなくてもいいんだぜ。そこのちゃぶ台とか」 「それはもっとかっこ悪いって」 「そうだな、そんなのと一緒には飛びたくないぜ」 魔理沙は肩をすくめて首を振る。 僕はつられて笑った。 いつの間にか、背中合わせじゃなくて正面を向いて話していた。 そのことに気がついても、わざわざ背中向きなおすのが不自然な気がして そのままタイミングを逃した。 「14、かぁ」 「先は長いなぁ」 「アリスのやつ、見詰め合ってればすぐだとか言ってたけど・・・」 「本当かな?」 「…試してみるか?」 「え」 「何か簡単に解けるヒントがあるのかもしれないだろ?」 「う、うん」 「大丈夫、私は負けないぜ」 「にらめっこじゃないんだから…」 魔理沙に促されるまま僕たちは見詰め合った。 綺麗な金色の髪、大きくて意志の強そうな瞳も金色で、 白い頬には朱がさしていく。 そして、花のつぼみのような唇…、吸い込まれそうになる。 その距離30センチ弱。 ふいに、魔理沙が目を閉じた。 心なしか距離が近づいているように感じる。 これって、もしかして…でも、どうして… ほんの少しの時間がひどく長く感じる。 魔理沙は少しだけあごを上げ首を傾けた。 僕がほんの少し顔を近づければそれできっと唇が触れ合うだろう。 けれど、触れるか触れないかの直前に魔理沙は目を開けた。 僕はあわてて顔を離す。 「魔理沙、いったいどういうつもりで」 「どうもこうもないぜ、それよりお前、今私にキスしたかっただろ?」 なるほど、そういうことか…卑怯だよ魔理沙、 だってそんなに頬を赤くして、瞳を潤ませて…だから言い返してやった。 「違うよ! キスしたかったのは、魔理沙のほうでしょ」 「そ、そんなことはないぜ…たぶん…絶対」 あからさまに動揺している魔理沙。 縄の数字は12だった。 さっきは14。 「二つ、減ってる…」 「ははは…参ったなぁ…」 どうやら、そういうことのようだ。 僕は魔理沙の肩を抱き寄せ、顔を近づけた。 魔理沙は抵抗せずに瞳を閉じた。 初めての魔理沙とのキス。 、、、、 永遠にも思えたキスを終えて僕は魔理沙を抱き寄せたまま聞いた。 「こんな、勢いみたいな形で、もしかして後悔してたりしない?」 魔理沙は優しい笑顔を浮かべ言った。 「バカだなぁ、そんな言い方じゃ意味がないぜ。 お前は、私とキスして後悔なんてしていない」 11 そっか、そういうことか。分かったよ魔理沙。 言わなきゃいけない、でもちょっと変則的。 普通に言うよりものすごく恥ずかしい気がする。 ドキドキがとまらない。でも言わなきゃ。 「魔理沙は…僕に言いたいことがあるよね?」 「奇遇だな、お前も私に言いたいことがあるんだろう?」 9 僕と魔理沙は頷きあって笑った。 そして想いを伝える。 「魔理沙は、僕のことが好きだ」 「お前も、私のこと愛してるだろ?」 7 ちょっと負けた気分。 でもいいや、これからなら何度だって言えるんだから。 ゼロ距離で見詰め合う。 「魔理沙はまた僕にキスしたい」 「それは自分の気持ちだろ?」 僕たちはずっとお互いにキスしあった。 ・・・・・、0 次の朝、縄は解けていた。 それでも離れたくなくて、僕はまた魔理沙にキスをする。 そんな現場をアリスさんに見られてしまった。 「やっぱりね~」 「アリス、勝手に家に入ってくるのは泥棒だぜ?」 「あらぁ、何度も声かけたわよ? それよりも、二人ともおめでとう、かしら」 「アリスさん、やっぱりって。こうなること知ってたんですか?」 もしかして、こういうことになったのは魔法の縄のせいかなと疑問がよぎった。 それくらい信じられないくらい幸せだった。 「あら、だってその縄の魔法は、 初めからお互いのこと好きじゃないと発動しないのよ? ね、魔、理、沙?」 「偶然だぜ…」 魔理沙は帽子で顔を隠してしまった。 疑問が解けた。 僕は、この可愛くて少し意地っ張りな魔法使いのお姫様を一生守ることを心に誓った。 1スレ目 318 ─────────────────────────────────────────────────────────── 498 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/10/03(月) 18 03 45 [ ZxyDMBY6 ] 495でフランに告白するために紅をやりまくったが 結局まだ会えてすらいないへたれプレーヤー そんな俺の今の気持ちをうけとってくれ! 魔理沙、俺とうわきしないk(ファイナルスパーク 500 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/10/04(火) 21 01 03 [ uh.p0cSk ] 498 魔理沙「ああ、いいぜ。浮名を流す相手ならパチュリー、霊夢、チルノ。それにフランドールにレミリアといるからな。もう一人増えてもたいしたことないさ。え?本命は誰かって?そ、それは…………その………誰にも言うなよ。あの…………実は香霖なんだ」 501 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/10/04(火) 21 18 51 [ D3moUM7. ] レミリア様がなぜか混ざっているのに出てこないアリス超カワイソス。 502 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/10/04(火) 21 55 14 [ sNZ5ZiMQ ] 魔理沙「アリス?ああ、そういえばいたな。でも、あいつと私ってあんまり仲良くないぜ。いや、何かアリスの方がこっちを避けてるみたいなんだ」 そのころアリスは………… アリス「ああ、私ったらほんとに素直じゃないんだから。どうして魔理沙の前だといつも正直になれないんだろ。魔理沙…………でも、私はあなたのことが大好きなの」 ツンデレも時と場合によりけり。ツンは伝わってもデレが伝わらなければ片手落ちだってけーねが言ってた。 1スレ目 498-502 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「…何じゃこりゃぁぁぁぁああ!?」 とある俺の一日は、そんな叫び声から始まった。 ここは魔法の森、大声を出して迷惑する奴なんてさっぱりといない。 しかし、今の俺は叫ばずにはいられなかった。 魔法の森では、様々なものが取れる。 そう、例えば怪しいキノコとか、怪しい薬草とか、怪しい花だとか。 もしかしたら、俺はそんなやばい物を食ってしまったのかもしれない。 今の状況を説明するなら、まずベッドには俺がいる。 目の前には鏡がある。その鏡には一人の子供が写っている。 俺が手を上げれば、鏡の中の子供も手をあげて、俺が頬を抓れば その子供も、抓って痛みに顔を歪める。 そう。 朝、起きたら俺は縮んでいたのだ。 高校生探偵が薬を服用させられ眼鏡をかけて無茶苦茶な偽名を 名乗ったどこかの漫画の様に。 「…どうなってんだ、こりゃ?」 服のサイズはぶかぶかだ、そもそも俺の今の身長はせいぜい 小学校に通う人間のサイズ――普段の俺に合うはずがない。 「ちくしょう…頭も痛ぇし…こりゃ、やばいか?」 体が縮んだ上に風邪のような症状、俺は少年探偵じゃないんだけどな… こんな時に頼みの綱は…… ガチャ 「邪魔するぜー」 来た。 それはもう、ありがたいくらいに普通に来た。 霧雨魔理沙だ。 彼女ならこの状況を打開してくれるかもしれない! 「魔理沙ー!助けてー!」 恥も外聞もあったもんじゃない。 この姿になってから、そんな物は捨てた。今は一刻も早く元に戻りたい。 「どうしたんだ…って、何だお前もか」 俺は目の前に呆れ気味に呟く少女に対して、目を疑った。 少女――霧雨魔理沙は心なしか、昨日会った時よりも背が縮んでいた。 …それが意味するところは、つまり。 「…魔理沙も縮んだって事か」 「あぁ、ちょっと色々あってな」 「風邪も引いた。助けてくれ」 何度も言うが、既にプライドなんてない。 プライドって美味しいのか? 「まぁ、助けるのは構わないんだが…どうせ私が原因だし」 「…おい、何か重要な事を言わなかったか?」 「あー、別に何でも無いぜ?」 …間違いない。俺をこんな風にしたのは魔理沙だ。 原因は昨日、多分夕飯にそれとなくあった、あのキノコか… 困ったな。 まさか魔理沙も縮んでいるとは思わなかった。 「…とりあえず、風邪薬くらいは頼みたい。どこぞの薬剤師でも 兎でもいいから、クスリー」 自分で言ってなんだが、どこかのジャンキーのようだ。 だが、それだけ風邪が辛い。 縮んだ事と、風邪による二重の苦輪だ。 「仕方ないな、少し待ってろよ。すぐに元に戻りそうなのと、クスリを調達してくるぜ」 クスリの部分を強調して言われた。 …このままだと本気でやばい薬を持ってきかねないな。 「待て、やばそうな薬は持ってこなくていい。とりあえず元に戻る方が先だ」 十中八九、また元に戻るためにはキノコを食べるだろう。 「それじゃ、行ってくるぜ」 魔理沙は子供が被るには大きい帽子を押さえて出て行った。 「…大丈夫か?」 そんな一抹の不安が過ぎったが、俺はひとまず彼女に色々任せる事として 眠る事にした。 『よっ、遊びに来たぜ』 あぁ、これは昨夜の出来事か。 「遊びに来たじゃなくて、俺のところの、魔導書を取りに着たんだろ?」 『ちゃんと色々払うって。そうだな、夕飯で手を打たないか?』 「…じゃ、それでいいや」 そうして振舞われた、いくつもの料理。 彼女は楽しそうに料理を作っていた。 『ほら、これでいいか?』 「あぁ、ありがとう魔理沙。本を借りるなら勝手に持っていけ」 あぁ、俺はこんな彼女に惚れていたのかもしれない。 『まったく、栄養くらいちゃんと考えて摂るべきだぜ』 「…心に深く刻んどくよ」 もっとも、彼女の顔を見ていて、あまり話は聞いていないが。 「それじゃ、お前も食うだろ?」 『あ、あぁ、いただくぜ』 挙動不審だったのは、縮む恐れがあったからか? …ちょっとだけ抜けているかもしれない。 「よっ、起きたか?」 目の前にはちっちゃくなった魔理沙がいた。 「…何とか病状は持ち直した」 というほど、重症ではないけど。 彼女は手にお盆を持っていた。 …キノコだった。 お盆の上の皿、それに乗っているのは、まるでどこかの配管工兄弟が 好んで食べるような、そんなキノコ。 「単なる巨大化狙いか?魔理沙」 「1UPはしないぜ?」 会話がかなりずれている。 ともかくそのキノコは半分に切られているため、恐らく、半分は 彼女が食べるのだろう。 そのキノコ、味は普通だった。 普段食べているキノコと何ら味は変わらない。 無論、生で食うわけもなく、焼いて食べた。どこかの配管工兄弟は 生で食っているらしいが。 「ほら、薬」 永遠亭まで行って、わざわざ薬を貰ってきたらしい。 それにしても、小さくなった魔理沙に違和感を持たなかったのだろうか? 俺なら多分、持つけど。 薬は普通の錠剤だった。 苦い。苦しい。喉が痛い。 さっきのキノコとは大違いだった。 「さ、寝るぜ」 「は?」 「このキノコの効果が現れるまで時間がかかるんだ。だから寝て待つ」 そう言いながら、魔理沙は俺のベッドに入り込んできた。 「…おい。何考えてるんだ?」 「はぁ、お前もうるさいなぁ。第一、お前は病人だろ?病人は寝るもんだぜ」 「風邪がうつるぞ」 「その時はその時だぜ」 帽子を取ってわきに置く。そして俺の枕を取ると、勝手に横になった。 添い寝という奴か。 「…俺が襲うとか考えてないのか?」 「お前なら襲わないぜ。それに、この姿で襲ってもしょうがないだろ?」 それもそうだ。 そんな背徳的すぎる事、チキンな俺には出来そうもない。 「それに、お前じゃなかったら、私もこんな事しないぜ」 「はいはい…お休みなさい」 最後の一言はかなり嬉しかったが、あえて顔に出さないようにして 俺は目を閉じる。 「ん…」 最後に魔理沙は俺にキスをした。 こんなことなら、たまには風邪や、変なキノコも悪くないかもしれない。 後書きと言う名の遺書。 とりあえず、リクエストにお答えして書いたものです。 587の方が、ひらがなでまりさと書かれたので、 敢えて身体を縮ませました。 …別に他意はありませんよ? そして、巷の看護ブーム(?)によって看護ネタです。 587の方、期待していたら申し訳ありません。 自分の力量ではこのくらいが精一杯でした。 それでは次は霊夢を書こうと思います。 多分、今度は看護ネタじゃないと思いますけど…看護ネタで見たい人っているんですかね? 是非に看護ネタでという人はどうぞ。 いざとなったら、今暖めているネタと同時に書きますから。 1スレ目 633 ─────────────────────────────────────────────────────────── 637 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/10/25(火) 13 09 25 [ 6tVzlnh6 ] 魔 理 沙 と で き ち ゃ っ た 結 婚 し た い 642 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/10/25(火) 21 01 24 [ JZA.osNU ] 637 魔理沙「あー、なんだその、責任は取るぜ?」 643 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/10/25(火) 21 20 37 [ 6tVzlnh6 ] チガウチガウ!俺が責任をとるんです 645 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/10/26(水) 02 03 20 [ 2pdjPE8U ] 「魔理沙、あなたおめでたよ。」 「「は?」」 数時間前、魔理沙が気分が悪いというので永琳さんを呼んで診てもらった結果がこれだった。 思わず魔理沙とハモってしまった。 確かに俺と魔理沙は付き合っている。付き合っているからそのゴニョゴニョなこともあるわけだが・・・。 まさか妊娠しているなんて・・・。 「そっか・・・、子供か・・・。へへへ・・・」 魔理沙はいとおしそうにお腹を撫でている。 こんな姿みたら覚悟決めないとだめだよなぁ。 「なぁ、魔理沙。えーと・・・その・・・け・・・結婚しない・・か?」 言ってやった言ってやった。 「何言ってるんだ?」 え、なにその反応。 「こっちははあの時からずっと一蓮托生のつもりだったんだがな。」 そういって屈託なく微笑む。 「そうだな、そうだよな。これからもよろしく頼むよ、魔理沙。」 「それはこっちのセリフだぜ、紅魔館だけじゃなく、たまには家も片付けに来てくれよ?」 「それは勘弁こうむるぜ。」 魔理沙をやさしく抱きしめる。 逃げて流れてこんなとこまで来てしまったけれど、大丈夫。魔理沙がいるならもうくじけることはない。 随分短いけどこれでよかったか? 637 最後の一文は締めたかっただけで、あまり意味はないでs(マスタースパーク 1スレ目 637 642-643 645 ─────────────────────────────────────────────────────────── 魔理沙妄想。 「よぅ、遊びにきたぞ」 「……毎度毎度毎度毎度言ってるんだけどな、魔理沙? 家壊すな突っ込んでくるな一言くらい詫びろっ!!」 「私の魔砲で壊れる家がヤワなんだ。お邪魔ー……しようにも家が無いな」 「…………また立て直すのかよ……」 * * * * * 「いやー。悪いな晩御飯までご馳走になっちゃって」 「確信犯だろお前。しかも勝手にご飯よそうな! 普通お代わりって自分でやる!? ってか大盛りだし!! 三杯目だろ!!」 「うるさいなー。育ち盛りなんだよ。ほら、お前も食べな」 「……いやそれ俺の米なんだけど。ついでに言えば焼き魚も」 「これは私の勝ち分だ。いやー、弾幕ごっこっていいな♪」 「二度とやんねぇぞ。このクソ餓鬼……」 「マスタースパー……」 「ごめん悪かったからソレはやめてソレだけはやめて」 * * * * * 「おー、ぬくぬくだぜー」 「……毎度にして最大の疑問なんだが。どうして俺の寝床に入ってくるんだ?」 「私は冷え性なんだよ」 「俺もそうなんだけど……って、擦り寄るな!!」 「へへん、照れるな照れるな。うりうりー」 「っこのっ!! こしょこしょこしょこしょ!!」 「だ!? あはっははははは苦しい苦しいやめれー!!」 「弾幕ごっこの負け、ここで晴らす!」 「なにをー!!」 * * * * * 「…………なぁ、もう寝たか?」 「どした」 「あのさ」 「なんだよ」 「好きだって言ったら……どうする?」 「……とっとと寝ろマセガキ」 「私は餓鬼じゃない」 「…………」 「餓鬼じゃ……ない。私だって……女、だぜ」 「……あー、そうかそうか」 「分かればいいんだ。で、答えは?」 「…………俺も好きだ」 「両想い成立だぜ♪」 「いいから寝ろ」 * * * * * 「むにゃ……すきだぜー」 「ぐー……おれもだ……」 目指したのはぜんぜん恋愛してない恋愛。 …… 766氏には遠く及ばないことを実感した。 1スレ目 781 ─────────────────────────────────────────────────────────── @ @ @ @ @ @ 本屋 @ @ @ @ @ @ @ いつもと同じ静かな朝、そこに彼女はやってくる。 「メイド小隊A,B、ゆけー!」 ワー、キャー、ドスン、ドガン 「駄目です!抑えきれません!」 遠くでそんな声が聞こえる。にしても毎日ご苦労なこった。 「くそっ!黒い悪魔はゴキブリか!?」 いや、聞かれましてもね、人によっては違うと思いますけど。なんて思いながら俺はゆったりと仕事をやっていた。 ここは紅魔館の中の大図書館。大図書館なんていうけどその広さはどこぞの神社よりも広いかもしれない。外見は神社以下だが。 そこで俺は本の整理をしている。元々本が好きなのであまり苦にはならなかったけど。 思えば、外からやってきた右も左も解らない俺を助けてくれて、今ここに住まわせてもらっているレミリア様と咲夜さんには感謝している。 助けてくれなければ妖怪にでも食べられていただろうか・・・。 それはともかく、朝から聞こえた騒々しい音が止まった。 次に来るのは決まっている、その先を考えてため息が出た。 扉が勢いよく開かれた。こんな空け方をする人妖は紅魔館にはいない。・・・・・・例外はあると思うけど。 扉の方を見てみると、金色の長い髪に色白の肌、それと黒と白だけの服と帽子。 一見するとフランス人形の様に見えなくも無いが、黒と白の服でそのようにはあまり見えなくなっている。 「また来たの?」 この図書館の主、パチュリー様のいつもと同様の言葉、返って来る言葉はいつも同じ。 「また来たぜ」 そういいながら本棚から本を物色する。俺はため息をついて 「見るのは別にいいけど、毎回毎回散らかさないでくれ。片付けるのが大変なんだ」 毎回毎回散らかして、その上何かを持っていくんだから手におえないったらありゃしない。 そりゃあ蚊取り線香で毎回やられるリグルも切れるって。関係ないか。 「努力するぜ」 絶対しないな、こいつ。家の片付けもろくにしない人間ができるものではない。 「これと、これと・・・あとこれだな」 三冊を選んで図書館に一つしかない机に持っていく。それ以外にもあるがそこは図書館ではない。個室である。 「ほら、何してんだ?さっさと仕事しないと終わらないぜ?」 魔理沙を見ながら考え事をしていた俺に魔理沙はそっけなく言った。俺は我に返って適当に「ああ」と、答えた。 っていうか仕事が終わらないのは、あんたのせいなんだがな。 「あ、そうだ。○○、紅茶くれ」 「・・・はいはい、わかったよ」 「私のもお願い」 この本の虫型魔法使いは・・・。まぁどうせ命令だろうし、逆らったら焼かれるな。そう思いつつ紅茶を取りに行った。 「ふああ・・・、おはようございますー」 眠たそうな挨拶とともに、小悪魔がやってきた。前の時に「あんまり寝ていない」と話していたので手伝ったら、それ以来仕事のほとんどが俺に回ってきた。 「ん、おはよう。今日はA-300の本の整理だっけ?」 ここの図書館は広すぎるのでA-Zと1-500までの組み合わせで位置訳をしている。しかもまだまだ増える予定らしい。鬼か。 「・・・たぶん。それじゃあいってきま~す」 あれは絶対寝ぼけてる、足フラフラだし。水でもかけてやろうか。 「お~~~~~い!まだか~~~~!?」 おっと、そうだった。まずこっちが先だな。俺は急いで魔理沙たちがいるところへ向かった。 「遅い、遅すぎて死ぬかと思ったぜ」 「そんなことがあるのかしら?」 「あるぜ、たまにだけどな」 「あら、ぜひ聞いてみたいわね」 発言に突っ込みを入れたりトゲを入れたりしながらパチュリー様と魔理沙は紅茶を飲んでいる。 さて、俺はそこら辺で休むとするか・・・。極稀に来る暇な時間はすべて休憩に当てるのが俺流だ。意味無いけど。 「あ、そうだ。どうせならここで一緒に紅茶を飲みながら休むか?」 「いえ、お断りさせていただきます」 魔理沙の近くで紅茶を飲んだらどんな薬品を盛られるかわからん。前の時は犬耳が生えたな。あの時は咲夜さんに殺されかけたな。 なぜか俺が、だが。それはもう鬼神のようで・・・トラウマトラウマ。 「そういえば、なんで俺に紅茶を淹れさせたんだ?咲夜さんの方が、美味しいじゃないか」 ただ淹れるだけなら誰にもできるが、不味いよりは美味い方が良いだろう。 「あー?なんとなくだ」 「なんとなくで、淹れさせる人がいるかしら?」 「ここに居るぜ?」 また下手すれば弾幕ごっこスレスレの話がはじまったので意識を別のところに移す。そこで 「○○さ~ん!ちょっと来てくださ~い!」 遠くから普通の人では全く聞こえない音量の小悪魔の声が聞こえた。ここ幻想郷に来てから、凄く耳が良くなった。犬耳が原因だったりして。 とりあえず、ほんの少しの休み時間を惜しみながら暗闇の中へと進む。 「えっと、これをD-480までお願いしますね」 「ん、わかった」 と言われて渡された十冊の本。これじゃあ前が見えないです、鳥目以下。BGM ~もう本しか見えない~ つってもこれは仕事なのでやらなければいけないんだよな。 それで、運んでいってちょうどB-480に差し掛かったところで 「○○~。『メルランのめるぽと力の関係』を持ってきてくれる~?」 「そんな声じゃ、聞こえないと思うぜ」 残念ながら聞こえています。小悪魔と話しているときも聞こえていたんだけど。 あの本は確かSの・・・200だっけか?遠いなぁ・・・。 まずはこの本から持っていかないと、本気で。出ないと消し炭にされて浄化されてしまう。 「お、本当に持ってきたんだな。ってことは、聞こえていたのか」 「だからいったでしょ、たとえでは無しに地獄耳はいるって」 失礼な、俺の聞こえる範囲ではここから地獄まで聞こえるほどよくはない。 「たとえよ、たとえ」 俺の心を呼んだか読まないか、そんな事を言った。ちなみに魔理沙は俺が持ってきた本を読んでいる。 「ふむふむ、ワーハクタクも稀に暴走する・・・か」 なんか題名と全く違うんですけど。 「さて、そろそろ帰るかな。パチュリー、これ借りていくぜ」 「持っていく、の間違いじゃない?」 「じゃあ持っていくぜ」 「持ってかないで~」 どっちですか。何て思いながらも仕事に戻る。あの本は返ってくるのか解らんな、なんて考えながら。 夜だろうと昼だろうと図書館には関係無い。窓なんて無いから。パチュリー様曰く、紫外線は本の天敵らしい。 そういえば、ここ最近外に出てないな、何て思いながら咲夜さんが作ってくれたご飯を食べる。うん、不味いもう一杯って言おうとしたら ナイフが頬を掠った。あっちの方が地獄耳だわ。それはともかく最近食べる時間がなくなって租借が早くなったのは内緒だ、なんとなく。 「毎日毎日ご苦労様ね」 後ろから声をかけられたので振り向く。そこには幼いながらも威厳というかオーラらしきものが漂う、レミリア様であった。歩く音は前から聞こえていたけど。 ついでにレミリア様を見て、今が夜だという事に気付いた。 「いえ、コレが仕事ですから」 「そういえば、寝てる?あなた最近寝てないでしょ」 「でも、なれちゃいましたよ」 それでもたまに眠気が来ることがあるが、その時は根性で。 「慣れって言うのが一番怖いのよ。時にそれが命取りになるかもしれないから気を付けることね」 そのあと「それじゃ」といって出て行った。とりあえずは俺を気遣ってくれた、そう解釈していいのか? そうだな、今は仕事もないし。たまには寝ておこう。 眠気はなかったがベッドに入ったらすぐに意識が切れた。 @ @ @ @ @ @ 本蟲 @ @ @ @ @ @ 今俺は魔理沙に頼まれて一番遠いところ。つまり、Z-400まできている。まったく、読みたいって気持ちもわからんでもないが もう少し近いところにしてほしい、っていうかなんで知ってんだ。 えっと、『幽々子の胃袋は宇宙』は・・・あったあった。 「んで、パチュリー。少し頼みがあるんだ」 「何?アナタからの頼みごとなんて珍しいわね」 遠くからなのではっきりとは聞こえないが声が聞こえた。面白そうだったので少し聞いてみる事にしてみる。 「少し貸してほしいものがあるんだ」 「借りていいものと悪いものがあるわよ」 「実は、・・・だ」 ん?よく聞こえなかったな。 「あなた、それは論外よ。人に聞くもんじゃないわ」 「それでも許可が必要、だろ?」 きょ、許可!?あの本なんて有無を言わさずに持っていく魔理沙が許可だと!?幽々子が小食になるくらいおかしいよ! 「そうね、駄目かしら?」 「そうか・・・」 少し残念そうに言った。・・・ように聞こえた。 「でも、・・・・・・・だし」 いまいちよく聞こえない。元々小声だし。 「そうか!?じゃあそうさせてもらうぜ」 「犯行予告はあんまり言わないほうがいいと思うわ」 「犯行じゃないから関係ないぜ。それよりも・・・、おーい!まだなのかー!?」 あ、終わったか。これは探るのはやめた方が良いな、そう思いながらパチュリー様のところに向かう。 「遅すぎるぜ。もう少し早くならないのか?」 「そうだな、魔理沙がもう少し近いところを選んでくれれば早くなるな」 なんて言いながらも本を渡す。すると魔理沙は申し訳無くなさそうに。 「あ~、すまん。用事を思い出したから私は帰るぜ」 そう言って愛用の箒を持ってそそくさと外に出た。・・・俺の苦労は? 「丁度良いわ、○○。あなたには重要な仕事があるのよ」 「な、なんですか?」 重要な仕事って・・・魔道書の封印解いてその中の魔物を倒すとか?そういうのは小悪魔にやらせましょう。 「簡単よ。それは」 そう言って言われた仕事が、神風特攻隊よりも酷い仕事だった。 「あの本一万冊を、書いてあるところにしまって頂戴」 ぜぇ、ぜぇ。こ、コレで何往復目だろう・・・。結局一万冊といわれた量に唖然として、流石に一人では無理だという事で小悪魔と一緒に やら何やら反論して一緒に仕事をする事になったのだが、小悪魔も丑二つ時には寝てしまい、残り百冊を一人という、まだできる仕事になったわけである。 次第に数が減っていき残り十冊前後!ってところで来客が来た。 ガチャ「よう」 いや、「よう」じゃ無いって。何で魔理沙がここに居るの?良く見ると少し変だ。 「ちょっと来てほしいんだが・・・いいか?」 「来て欲しい?なんで?」 「なんでもいいだろ。YESかNOか、半分かだ」 たぶん半分は無いだろう。まぁ残り十冊だし、いいか。 「ん、まぁ別に良いよ」 「そうか!よし、それじゃあ善は急げだ!」 「うわっ!」 急に俺の腕を掴み箒に乗ってそれはもうブレイジングスターをぶっ放す勢いで紅魔館の廊下を進んでいく。 「ちょ、ま、りさ。い、くっ、てど、こ、へ?」 「決まってるだろ?外さ」 いやいや魔理沙。決まっては居ないと思うぞ? @ @ @ @ @ @ 恋色 @ @ @ @ @ @ 「はー、こうやって久しぶりに見ると星が綺麗だなー」 今俺は魔理沙につれられて紅魔館の屋上の上の箒、つまりは空中にいる。 「お前、最近外出てなかったのか?」 「見てれば解ると思うが?」 「え、あ、そそ、そうだな」 なんや今夜の魔理沙は変だ。 「それで、なんで俺をここに連れ出したんだ?」 「ん?ああ、それはだな・・・」 そこでいったん区切って、口を開けたり閉じたりしながら「あ、ええと、そのだな・・・」なんて言ったりする。早くしてくれ。 「ああ、もう面倒だ!いいか、よく聞けよ?単刀直入に言わせてもらうぜ」 なんかもったいぶった言い方に思わず息を呑む。 「私は・・・・お前の事が好きだ」 正直驚いて何がなんだかわからない。なんだって魔理沙が俺のことを好きだって?ハハハ、冗談はよしたまえそんな事がありえるわけ。 「ほ、本当だ!はじめてあった時から・・・・好きだったんだ」 「な、何で?」 頭の中がショートしている状況でようやく食いえた言葉がこれ。理由がわからなければ人に聞くべし。 「ななな何でって・・・。解らないんだよ!けど、なんか見るたびに胸がこう変な感じにだな・・・え、ええとそれと なんだ、なにかと・・・恋をしている感じ・・・なのか?」 いやいや、聞かれてもね?してないから実際わからないんだよ?なんて俺が返答困っていると。 「で?答えは?」 こっちに顔を真っ赤にしながら近づいて聞いてきた。お、落ちるって。 「こ、答えって言われても・・・」 「今言え。今言わなければ落とした上にマスタースパーク打ち込んでなかったことにしてやるぜ?」 それだけは絶対嫌だ。けどもう心の中では決まっていたのかもしれない、あとは言語化するだけど。 「そうだな、俺の答えは・・・・・・ノーだ」 「えっ・・・」 そう言って、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした魔理沙に、軽く口付けしてこう言った。 「なんて言うわけ無いだろう?・・・俺も、もしかしたら魔理沙のことが好きだったのかもしれない」 「・・・・・・よ」 「よ?」 「・・・よっしゃーーーー!!」 「うわっ!お、落ちるって」 無邪気に大声を出してはしゃぐ魔理沙。落ちる、死ぬ。 「決まりだな!決まりなんだな!」 「男は一度言った事を曲げないさ」 「っしゃー!」 横で騒ぐ魔理沙を軽くスルーしながら辺りを見る。そこで良いものを見つけた。 「魔理沙、あれ」 「ん?おー」 目の前に写るのは眩しい日の出。 「こういうのもいいかもな」 「どういうことだよ」 「さあね」 そんな何気ない会話をしている遠くで 「若いって良いわね・・・」「急に老けないでください。それに日が出てきましたから、館に入りますよ」 そう聞こえた気がした。 happy end 「・・・・・・・・・・あ」 「どうした?」 「・・・・仕事、忘れてた・・・・」 happy end ? @ @ @ @ @ @ 蛇足 @ @ @ @ @ @ 「それじゃあ○○は私が持っていくぜ!」 「持ってかないで~」 「なんだよ、良いって言ったじゃないか」 「私は言ってないわ」 「こういうの早い者勝ちだぜ?」 「意外とそうでもないわ」 「なんだ、やるか?」 「今日は喘息の調子が良いわ・・・」 「ハハハ、まいったな。・・・・逃げるか」 ガシッ! 『逃がさない』「ぜ!」「わよ!」 「この鬼ーーーーー!!!」 「へくしょんっ!!」 1スレ目 783 ─────────────────────────────────────────────────────────── 1 「しかし、お前が私のうちに来るなんて珍しいな。明日は雪だ、洗濯は控えにゃ」 キッチンのほうから声がする。 指先で弄んでいたマジックアイテムをテーブルに置いたのと、魔理沙がを持ってきたのはほぼ同時だった。 「そういう迷信を信じるなって。……それにしたって、この部屋、いや、もはや家中だな、少しは片付けようという気にはならねぇのか?」 そこら中に魔理沙の蒐集品が散りばめられているので足の踏み場どころか人間の暮らせそうな場所もない。 こういう場所こそ、あるいは混沌と形容すべきなのか。 「こういうの、『生活感がない』っていうんだろ?」 「ベクトルが真反対だけどな……」 差し出されたマグカップを受け取ってコーヒーを啜る。 ……コーヒー吹いた。 苦い、熱い。もともとコーヒーとはそういうものではあるが、これはどっちの限度も軽く二百由旬は超えている。 何の意趣返しだこれは。どこの世界にこんな煮え立った地獄の釜のようなコーヒーを飲む奴がいるんだ。 とりあえず人間の飲むものではない。そうかこいつ魔砲使いだからか。 「……で、その珍しいお前が来たということは何か面白い話でもあるんだろう?」 どういう発想をしたらそうなるんだ。 まあ実際俺も用があったから来たわけなんだが。 「紅魔館の門番の武勇伝かドジっ子メイド・マジ狩る☆咲夜ちゃんの話。両方実話」 「ありえないな」 軽い冗句を一蹴。さすがに厳しい。つーか根本から嘘だし。 「いや何、お前の顔が見たくなってな」 「面白くもない冗談だな……で、どうしたんだ?」 これもダメ。俺はもはやあきらめに近いものを感じ、ストレートに切り出すことにした。 瞬間的に魔理沙は凍りつく。 取りそこねたコーヒーカップが落下するが、テーブルの低空をさまよっていたのが幸いした。 「……はは、すまないな、聞き逃しちまった。もう一度、言ってくれるか?」 「帰るって言ったんだよ」 今度ははっきりと。口ごもる様なへまはせず、言葉の内部には拒絶を内包して。 「どういうことだよ……。ずっと、ずっと一緒だって、言ったじゃないか!!」 後ろ半分は涙声になりながら、叩き割らんかの勢いでテーブルに両手を叩きつける。 コーヒーメーカーが揺れ、カップが落下し甲高い音を立てて砕けた。 それでも俺は動じない。動じてはいけない。感情を殺せ。 「はぁ? まさか本気にしてたのか? おいおい、これだからガキは嫌なん……」 と、言い終わらないうちに軽快な音とともに左の頬に盛大な衝撃。ぐっと足を踏ん張って衝撃に耐える。 ゆっくりと魔理沙に視線を戻すと、やはり彼女は、泣いていた。 「……さっさと外でもどこでも帰っちまえよ!! この最低のろくでなし!!」 最後はもう絶叫に近かった。 これで良い。 「ああ、言われるまでもねぇよ。じゃあな。こんな男、さっさと忘れちまえよ?」 これで思い残すことなく現実へ帰れるのなら、安い痛みなのだ。 2 翌朝。 気分を害する程の快晴である。 吸血種であるレミリアお嬢様には昨晩のうちに挨拶を済ませておいたので、後はこの部屋を引き払うだけである。 紅魔館執事としての生活も、悪くは無かった。と思う。 「……さて、と。こんなもんか」 来た時よりも美しく整頓された寝室。 俺のような流れ者には私物はほとんどないが、幾つか愛着のある品物はある。 そういったものを小さな鞄にまとめていると、ふと一つの写真立てが目に留まった。中身は烏天狗の新聞記者に頭を下げて撮ってもらったツーショット。 恥ずかしそうにはにかむ俺と、もう俺には直視できないほどの眩しい笑顔で俺の首にぶら下がる魔理沙。 フラッシュバックする、昨日の出来事。 ……もう俺には不必要なものだろう。そのまま写真立てはチェストに伏せる。 「あら、そんなもの置いてかれても困るだけよ」 後ろから声。部屋に入ってくる気配もさせないのは当然だろう、彼女は時間を止めるのだ。メイド長、十六夜咲夜がドアのすぐ側に立っていた。 「そう言われても、俺にも不要なものなんですよ」 「ふーん。……なら、どうして今まで置いてあったのかしら?」 彼女のナイフが問答無用に、一片の容赦もなく心を貫き、抉る。 この人はっ…… 「単なる気まぐれですよ。ここに残していくものは好きに処分してくれて構いません」 「ええ、解ってるわ。だからこの写真は貴方の鞄へ」 「……勝手にしてください」 「勝手にしたわ」 そう言い終るが早いか、彼女の姿は消えていた。 多くの関係者に丁寧に別れを告げ、大きな紅い門をくぐると、いつものように門番は門柱に寄りかかっていた。 「ああ、帰るって本当なんだ。……門番隊に引き抜こうと思ってたのになあ」 「勘弁してくださいよ。不老不死でもない普通の人間なんだから、いくつ身があってももちません」 この人もいい人だった。気を使う程度の能力は平坦に読まねばならないだろう。 「お嬢様は冗談だと思ってたみたいだけど、私は本気だったよ? なんだかんだであの白黒とまともに渡り合ってたのはアンタと咲夜さんくらいだったし」 私の面目なんてないよねー。と困ったように笑いながら頭をかく。 「そういえば、アンタ、あの白黒が来たときはえらく嬉しそうに迎え撃ってたよねぇ」 その無邪気にも取れる笑顔が今、この一瞬はどれほど憎く感じられるだろう。 「……渡り合えたのはスペルのお陰ですよ。それに、仕事は多少難しい方がやりがいがある」 心象の変化を気取られぬように、出来る限り感情を殺して言う。 「成る程ね。確かに私のと違って地味だけど、アンタのは実用一点張りだもんなぁ。私も少し考えた方がいいのかな?」 解っているなら改善すればいいのに。……とは言ってもあの色とりどりの弾幕を棄てるのは惜しいと思うけど。 「ん、じゃあ、これ使ってくださいよ。どうせ外に戻れば紙くずも同然になりますから。使ってもらえるのが美鈴さんなら本望だ」 といって、内ポケットから数枚のカードを取り出す。 トランプ大の大きさのソレは、俺がこの館に就職した後に作ったスペル。 最も愛着のある品物ではあるのだが、幻想が力を失う外の世界に持っていくよりは、幻想は幻想のまま置いていくのがいいと思ったのだ。 「他人のスペルを使っても効果が薄まるわけでもないしね。……うん、ありがたく使わせてもらう」 「それじゃあ、俺はこれで」 大橋をゆっくり歩き出す俺に、美鈴さんはずっと大きく手を振っていた。 俺は一度だけそれを確認すると。踵を返して二度と振り返らなかった。 3 「よう、大嘘つき」 「なんだ酔っ払い」 大橋を越えて紅魔湖の岸に着くと、見えないところから伊吹萃香が話しかけてきた。 一瞬で目の前に現れる咲夜さんとは違ってこれはこれで気味が悪い。 「そもそも何で俺が嘘つきなんだよ」 「そりゃそうさ。アンタは人間として一番いけない嘘をついているんだ」 背中を縦横無尽に駆け巡る寒気。 これ以上は聞きたくない。 やめろ、耳をふさげ それを聞いたら俺は―― 「アンタは、自分の心に対して嘘をついているのさ」 心を覆う硬い殻にヒビが入る。 全てを見透かされたかのような悪寒。 姿は此処に居ないのに、これほどまでに感じる威圧感の前では、どんな虚言空言も灰塵と帰すだろう。 「仕方ないだろう……」 震える言葉を必死でつむぐ。 「『貴方が居ると幻想郷の秩序が崩れてしまう。幻想郷で生きられるのは幻想だけなのよ』なんて言われたら……」 自分が居ることによって彼女に害が及ぶのならば、潔く身を引くほうが良いと思ったのだ。 しかし 「……大丈夫。アンタはもう十分に幻想だよ。スペルを撃って、妖怪と互角以上に戦える。そんな人間が外にゴロゴロしてるかい?」 そんな不安をこの子鬼は、まさに一言で吹き飛ばしてしまった。 萃香はいつの間にか俺の前に現れて、あきれたような顔で腕を組みこちらを見ていた。 「大体さ、紫の言葉なんて話半分に聞かなきゃダメなんだよ。さあ、魔理沙のところへ行ってやりな。紫には私と霊夢から話をしておいてあげる」 走る。走る。野を越え、川をまたぎ、走り続ける。俺を浮かせる熱を動力に足は動き続ける。 ここは魔法の森。うっそうと木々が繁茂し、太陽が最も精力的に活動する昼でも、なお地表から大半の陽光を奪う。 薄暗い森の中をひた走る。目的地は解っている。後は到着が早いか遅いか。 「ねーねー」 頭上から降って湧いた呼びかけに思わず足を止め、自分の愚かさに思わず口元が苦笑にゆがむ。 どうやら俺は、とんでもないことを忘れていたらしい。 ここは魔法の森。うっそうと木々が繁茂し、太陽が最も精力的に活動する昼でも、なお地表から大半の陽光を奪う。 「貴方は食べられる人類?」 魑魅魍魎が住み、妖怪が跋扈する森に俺が一人で中へ入っていけば、それは彼らにとって食事と同意義だろう。 「さあな。食あたりしても知らんぞ」 森に入って十分弱。残りの行程と体力を考えれば、撒き方しだいで十分逃げ切れるだろう。 手持ちの中で最も相手を束縛出来るスペルを選ぶ。 カードを内ポケットから取り出し、宣言する。 この魔力にあふれる森の中なら、俺の能力も存分に発揮できる。 「樹海『ロスユアウェイ――――」 あれ? 内ポケットに入れてあるはずのスペルが、無い。 仕事中はもとより、外出するときでも必ず持っているのに……。 『ん、じゃあ、これ使ってくださいよ。どうせ外に戻れば紙くずも同然になりますから。使ってもらえるのが美鈴さんなら本望だ』 この光景は今でも鮮明に思い出すことが出来る。当然である、つい小一時間前の回想なのだ。畜生、誰のせいだ。 自己嫌悪に陥る暇も無く、横合いから滅茶苦茶な振りの右腕が襲い掛かる。 抵抗する手段すら持たない俺は、不本意ながら完全な狩られる側に回ってしまった。 後ろに飛んでかろうじて身をかわす。 刹那遅れて、その細腕にはあるまじき轟音とともに、俺がいた場所を正確に破壊するために盛大に空振る凶器。 「一食いで人食い~」 どこの戯言ですかそれ。あんなものをまともに受ければ食われるとかそういう話の前に俺が消し飛んでしまうのではないだろうか。 素手では抵抗できない。しかし、だからといってただでは死んでやることもできない。今の俺には目的がある。 4 男が森の中で宵闇の妖怪と死闘を繰り広げるころ。魔理沙はベッドの上でひざを抱えて、鬱々とふさぎ込んでいた。 普段の傍若無人、疾風怒濤の様子と違い、明日にでも世界が消滅しそうな雰囲気さえ醸し出している。 もちろん理由は昨夕の一件にある。あの男が放ったたった一言の言葉は魔理沙を失意と絶望のどん底に叩き落すには十分すぎるほどの破壊力を持っていたのだ。 男が空気に耐え切れず家を去った後からずっとこの調子である。 彼女には、何故自分がここまで苦しんでいるのか解らなかった。解らなかった、が、この吐き気がしそうなほどのストレスは確かに彼女が今まで味わったことのない極上品だったのは間違いないだろう。 「よう。まるで沈没船みたいじゃないか」 漂っていた極薄の妖気が集まってどこからとも無く伊吹萃香が姿を現す。 散らかっているのもお構い無しに部屋の真ん中に胡坐をかいて座ると、さも当然といわんばかりに一杯やりだした。 「……なんだよ、アル中の出歯亀」 心なしか、彼女の軽口にもトゲがあるような気がする。 「なに、出歯亀だからね。最新の知らせを持ってきてやったのさ。……良い知らせと悪い知らせ、どっちを先に聞きたい?」 「……どっちでもいい」 魔理沙の目に光は無く、その声に覇気は無い。 声には微かだが、しかし、はっきりと解る苛立ちが含まれていた。 「おいおい、つれないねぇ。じゃあ良いほうから聞かせてやるよ。……あの男は外に帰らないってさ」 いままでうずくまった形の銅像の様だった魔理沙が、一瞬、凝視しないとわからないほどの反応を見せた。 「そんな奴、知らないな。……もう、私には関係の無いことだ」 魔理沙の言葉は無視して萃香が続ける。 「次に悪い方だ。あいつは今全速力でここに向かってるよ。でも、途中で妖怪につかまってたね」 もう一度。今度はそれとわかるほどの、明らかな反応。 「……どういうことだよ」 「あいつは自分の気持ちに気付いたんだ。いや、むしろ始めから変わっちゃいなかったんだ。ただ、少しその気持ちが強すぎただけ。……さあ、今度はあんたの番だよ、魔理沙」 それを聞いて、不意に涙がこぼれた。 先ほどまでの悲しみを満たす涙ではなく、喜びから芽生える涙。 アイツは自分のために率先して悪役の衣をまとっていたのだ。 自分がいなくなっても大丈夫なように、あえて自分から離れるように仕向けたのだ。 「で、どうするんだい?」 呑むだけ呑んで満足したのか、床に散らかった蒐集品を無造作に手で除けると、横になりながら訊いた。 「……決まってるだろう?」 魔理沙は勢いよく立ち上がって二・三度袖で涙を拭くと、外へ駆け出してゆく。――もちろん右手には彼女の愛機(箒)を持って。 箒にまたがりあふれんばかりに魔力を注ぐ。逆立つ穂の一本一本に魔力が充填されていく。 外へ外へと向かいたがる魔力を十二分に凝縮するとともに限界まで加圧し、一気に吐き出すその推進力から生み出されるスピードはまさに、幻想郷最速。 「彗星『ブレイジングスター』!!」 そして高らかにカード宣言。 一条の光の矢となった彼女の瞳に憂いは無く、その言葉に影は無い。 問1:次の式を解け (1)人間-スペルカード =餌 5 さあ絶体絶命である。 死の間際かもしれない状況でこんな冗談を考えられるくらいだから俺も結構危機感が無いのかもしれない。 やれることは全てやった(と思う)。 この容姿端麗な妖の類は、その少女の姿からは想像もつかないような腕力で俺を組み伏せると、恍惚の表情を浮かべ――恍惚の表情を浮かべ――ること十分弱。 こいつは一体何をしているのか。 「あの……つかぬ事をお尋ねしますが……一体何をしているのでしょうか?」 解らないことがあったら人に訊く!! ただしひたすら腰は低く。これ、世界の真理也。オトナとはへりくだる事と見つけたり。 「えー? 久しぶりの人肉だから、どうやって食べようか考えてたの~」 ……どうも見事にピラミッド大の墓穴をスコップ一丁で掘った気がする。絶対コイツ人の命を転がしてたいそう楽しんでやがる。 「煮て良し、焼いて良しな俺だけどたたきは止めて。ワサビがしみる」 「でも決めた。やっぱり丸かじりに決・定!!」 彼女の目は一段と輝きが増し、押さえつけられて紅い爪が食い込んだ腕の皮膚がぷっつりと裂けたのが感覚できた。 「それじゃあ、いただきまー……」 突然、突風のような魔力の奔流が洪水となって俺を飲み込んだ。 そして食前の挨拶は言い終わることなく、俺の上に乗っかっていたものは瞬間的に消失した。目を見開いていたにも関わらず一体何が起こったのか把握できない。ただ一つ言えるのは――とんでもなく速い何かが目の前を通り抜けていったということだけ。 「よう。何寝てるんだ?」 あまりの眩しさに視力が落ちている。俺の枕元に誰がしゃがんでいるのか解らない。 姿ではわからないけど、この声と口調、どうして忘れることができるだろう。 「おい、何で泣いてるんだ!? さっきのでどこか痛めたか?」 声を聞いた途端、突然涙が溢れてきて止まらなくなった。 涙腺の緩むままに、恥も外聞も棄てて、嗚咽を漏らして、泣いた。 「……もう、会えねぇかと思った。もう一度会えないまま、死にたくなかった……」 上半身を起こし、ゆっくりと目を開けて体後と彼女の方を向く。だんだんと視力が戻ってきているらしい。涙のせいか光のせいか、まだ薄らぼんやりしている視界に彼女を捕らえ 「なあ、こんな俺だけど、ずっと一緒にいてくれるかな?」 「……私でよければいつまでも一緒にいてやるぜ?」 俺の些細な勘違いで反故になってしまった約束をもう一度、交わした。 そしてどちらからともなく目を瞑ると、そのままゆっくりと唇と唇が触れた。 了 おまけ 「……そこよ!! いけ、押し倒せ!!」 …………ありえない声に目を開け、仰天してそっちの方向を振り返る。 後方数メートルの至近距離に、ぱっくりとスキマが開いておりましたとさ。 「……なにやってんですか」 「あら? 私を起こしておいて『やっぱりなかったことに』なんて言うんだからこれ位は役得じゃない?」 黙れ年増。お陰でムードもへったくれもあったもんじゃない。 「大体……アンタだけならともかく、これじゃあ幻想郷勢ぞろいじゃないですか」 スキマ妖怪の隣には白玉楼の亡霊嬢が扇で顔を隠しながらも目はしっかり笑ってるし。 人形遣いと庭師と図書館の主と月の兎と美鈴さんは、顔を真赤にしながらも食い入るようにこっちを見つめているし。 巫女とレミリアお嬢様と咲夜さんはあきれた様子で緑茶を啜っている。貴方達は幻想郷の最後の常識なのですね。 ……でも最初に『押倒せ』って言ったのは咲夜さんだろ。 こちらからはこれ以上伺えないが、きっとほとんど集められているに違いない。 「まったく……プライバシーの欠片も無いのかよ、なあ、魔理沙」 魔理沙のほうを見返す。……と。下唇をかんで小刻みに震えている。 構えられたミニ八卦炉がオーバーフローを示すかのようにウォンウォン唸っている。 魔理沙も顔を真っ赤にして怒りのオーバーフローを示すかのようにフーフー唸っている。 「ちょっとまて!! その角度だと俺にも当た……」 「他人の恋路を邪魔する奴は……魔砲に撃たれて地獄へ堕ちろぉぉぉぉ!!!」 恋心『ダブルスパーク』 ギャー おしまい 後書きにかえて キャラがいっぱい出ているのは仕様です。 めっちゃ時間がかかった。 半分くらいはテンションに任せて一気に書きなぐったけど……疲れたorz このスレと住人に幸あれ。 1スレ目 882 ─────────────────────────────────────────────────────────── 俺のベッドの上で、普通の魔法使い――霧雨魔理沙が陣取っているのは そう珍しい事じゃない。 つーか、いつもの事だ。 「なぁなぁ、この枕もらってっていいか?」 目の前の少女は年相応の笑顔で、枕を抱きかかえていた。 初めて彼女と出会い、色々あって今は恋人同士…らしい。 らしいというのも、いまいち俺に実感が無い為だが。 「…枕なんて何に使うんだ?お前のって確かあっただろう?」 「あぁ、でもこれにはお前の匂いがするからな」 「…ほとんど居候同然のくせに、これ以上物をもらっていってどうする?」 彼女の枕もあるし、第一この家は霧雨邸の近くの納屋を俺が改装したものだ。 彼女からちゃんと許可ももらって、既に俺のものになっている。 「…貰っちゃダメか?」 上目遣いに訊ねられたら…俺も流石に断るのは難しいぞ。 …きっと分かってやってるに違いない。悪魔っ娘め。 「いいよ。…まったく、好きにすればいいって」 「あぁ、ありがとう」 あぁ…やっぱりこういう笑顔に俺って弱いんだな。 と改めて実感させられる。 恋か愛か知らないけど、まぁきっと恋だと信じよう。 「眠い」 魔理沙がそういう事を言ったのも、俺が片付けを始めてからだ。 いつも遅くまで起きて、何かしらやっている為だろう。 昼寝とか、彼女には必要なのかもしれない。 「…寝ればいいだろ。ベッドの上に居るんだから」 とりあえず、片付けは一時中断。 「あぁ、軽く寝るから…」 「待て、何故俺に擦り寄る」 いつの間にか、俺は魔理沙の近くに寄らされて、彼女が擦り寄っていた。 まるで猫だな。 と思う反面、こんな姿を誰かに見られたら…それこそ、ヤバイなぁ。 などと、下らない考えをしていた。 「よし、寝ようぜ」 「…今ここで寝るのか?」 幸いにも眠気はあるが、今から寝ると夜に寝られない恐れがある。 「日が出ている内に寝てもバチは当たらないぜ」 「…それは良いんだけどな」 悪魔的猫っ娘、魔理沙は俺から離れる気は毛頭ないらしい。 「ちょっとくらい離れないか?」 「いやだぜ」 こう言いだした魔理沙は聞く気はないだろう。 まぁ、俺もそれなりに嬉しいといえば嬉しいんだけど… 甘い匂いや、柔らかい感触に耐える拷問で、果たしてどれだけ俺の理性を持たせてくれるか という疑問が有ったり無かったりするのですが、如何なものでしょうか? おーばーひーと かくん。 俺の視界は完全に閉じた。安心して眠ったというよりは、気絶して眠ったとか ブレーカーが落ちたとかそう言う感じの方があってるかもしれない。 起きてみると、あたりは夕暮れになっていた。 うん、やばい。 片付けは済まなかったけど、それよりも晩御飯の支度をしていなかったという事が 最大の落ち度である。 今から準備して間に合うかどうか疑問だが、まぁ、何とかなると信じてみよう。 ふと、視線を感じた。 …魔理沙が起きている訳でもないし、鳥とか自然物が見るような視線ではない。 では? と己に問い掛けて、該当しそうな人物が数人いた。 …とりあえず、消去法を図り残った奴を考えて―― 「アリス=マーガトロイド!貴様、見ているなッ!」 と窓に視線と指を向けると、そこには確かに、金髪の少女が居た。 「!」 急に魔理沙が起きだし、八卦炉に光が点る。 まずい。 あれはまずい! 魔理沙は俺の家を破壊してもアリスの口を封じる気だッ! 「恋符――『マスター…』」 「ストップ魔理沙!」 何とか前に立ちはだかり、彼女を逃がすチャンスを与えた。 その隙にちゃんとアリスは逃げてくれたようだが。 「はぁ、何で邪魔したんだ?」 拗ねた子供のように、彼女は呟く。 その様子がおかしくて、思わず軽く笑ってしまう。 「む、何が――」 「…魔理沙って可愛いな」 「――っ」 素直に言ってみると、彼女は顔を紅くして、俯いてしまった。 「ほらほら、許してやれ。友達だろ?」 「…~、お前の頼みだからアレは不問にするけど、それでも 次は許さないつもりだからな」 今この場に居ない少女に向かって、魔理沙は怒る。 あとで、それとなく伝えてやろう。 「さて、晩飯にしよう。何がいい?」 「その前に」 何かあるのか、彼女は俺の前に立った。 俺と彼女の身長差はそれほど無い。 頭一つ分といったところか、それ以上か。 ともかく彼女が前に来ると首を下に向けるしかない。 ――唇と唇が触れた。 「…恋の魔砲を撃とうとしたからな。魔力補給だぜ」 撃っても無いのに、彼女はしゃあしゃあと言う。 やっぱり、彼女に惚れてしまったのには間違いないようだ。 改めてそう思う。 願わくば、この日々が続きますように―― 後書き ===チラシ寿司の裏=== チラシ寿司食いたいです。こーりん堂を読み直して再びそう思いました。 ===チラシ寿司の裏ここまで=== シリアス?なにそれ、おいしいの? と言うくらい、シリアス度があまり無いですけど。 て言うか、デバガメっていうネタも書いたことが無く。 要修行ですね。 リクエストに答えたのか?これは… まぁひとまず、申し訳ありませんが、これで許してください。 土下座してゴメンなさい orz オマケなギリギリネタ 「…それで、とりあえず魔法を開発中なんだ」 「いい予感はしないが、とりあえず聞こう、どんな魔法だ?」 あの後の話だ。 アリスをどうとっちめるか彼女のアイディアをずっと聞いていた。 「その魔法を放つと、何が起きるか分からない」 ……パルプンテ そんな言葉が俺の頭を過ぎった。 「んじゃ、実験台になってくれ」 あぁ、そんなオチだろうと思っていた。 仕方あるまい、こうなった彼女は聞きはしない。まぁ彼女の魔法に興味があるって 言うのも有ったけど。 「…ー…~」 魔力の収束を感じる。 それほど、高い魔力ではないが、人を傷つけるよりも、むしろ 人を治す方が、光としては近いのかもしれない。 「ハァっ!」 魔法陣が開かれて、俺達の身体を飲み込んでいく。 あまりの眩しさに、目を閉じた。 ようやく、目のチカチカが取れると、彼女は下着姿だった。 …よく見ると、俺もだったが。 某魔界村の騎士のように、見事下着一丁だ。 「…魔理沙」 「………」 彼女は帽子を深く被り顔を見られないようにしている。 「魔理沙、服先に着とけ」 俺は彼女に一応親切として言ってやった。 八卦炉をぶつけられたが。 オチリ 2スレ目 23 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「はい、お茶。熱いわよ」 「おう、さんきゅ」 「魔理沙が改まって頼みごとだなんて、ずいぶん珍しいじゃない? 明日は雨かしらね」 「降らないって。意外と普通だと思うぜ?っと、熱ちちち」 「あんたの普通は普通じゃないのよ。やっぱり雨だわ。 で、どうしたの?」 「いやあ、実は…最近ちょっと…アレがなくてさ」 「あら、普通じゃなくて不通なのね。そりゃ普通じゃないはずだわ」 「フツーフツーじゃないってわけわからないぜ」 「不通じゃなけれは不順ね。…家に篭って変な研究ばかりしてるから体調崩すのよ。 永遠亭印のピンクの小粒があるから今出して…」 「あーあー違うんだ。体調はたぶんフツーなんだ。 もっと…その…なんだ、別の理由で…な?」 「な?って言われても。 ……あ、まさか彼の…?」 「ああ、そのまさかだぜ。まーなんだ、いわゆる恋の魔法ってやつか?」 「…あんたの魔法は壊すだけが能だと思ってたけど。へー、あんたたちがねえ…」 「へへ、ついに人体の錬成に成功だぜ。おそれいったか」 「…はいはい、おそれいったわよ。不順でもなくて不純だったのね。長いこと家に篭ってると思ったら、何してたんだか…」 「いやいや、私は純情だぜ。あと、家の中だけじゃなくて外でも…って、もう!こんなこと言わせるなよー、恥ずかしいぜー」 「…否定する場所をことごとく間違っているのは恥ずかしくないのかしら。あと、嬉しそうに語るな変態カップル」 「いや、たぶん結構それなりに普通のカップルだぜ?」 「だからあんたの『多分結構それなりに普通』は、って…はあ、もういいわ。 で、話はそれだけ?私は医者でも産婆でもないんだけど」 「巫女だろ?巫女なら姓名判断くらいはできるだろ? 頼まないが」 「巫女よ。巫女だからできるわよ。しないけど」 「まあ頼みたいのはそんな事じゃないんだ」 「…前置き長いわよ、らしくない。」 「・・・ああ、らしくなくもなるぜ。まだあいつにも言ってないしな」 「あらそうなの。さっさと言えばいいじゃない。止めないわよ」 「ああ、それで、だ。霊夢…あいつのとこまで…その…一緒に、来てくれないか?」 「それが本題?…んー、まあ気持ちはわからないでもないけど。一応理由を聞いておこうかしら」 「おいおい…ずいぶん意地悪だな」 「こんな弱気な魔理沙が見られる機会なんて、滅多にないもの。見返りとしては安いもんじゃない?」 「おいおい……ずいぶん意地悪だな」 「いいから話す。普段のあんたなら、真っ先に彼の家を壊す勢いで報せに行くはずよ?今ならドアしか壊せない勢いよ」 「壊さないって。…いやな、パチュリーから『借りた』本に、デキちゃった恋人を捨てて他の女に走る男の話がたくさん載ってて……」 「…あの図書館はジャンルを選ばないのか?それとも、ある意味呪いの本なのかしら」 「それでな……あ、いや、あいつはそんな奴じゃないって分かってるんだぜ? 分かってるんだけど…頭から離れなくて…不安で…あいつの反応が怖くて…その…うう…」 「…はいはいそこまで。マタニティブルーをごちそうさま。それ以上は胃にもたれるわ」 「…とまあ、そんなわけで頼むよ!たしかにお前からしたら馬鹿馬鹿しいかもしれないが、本気で悩んでるんだ!この通り!」 「だが断る」 「おいおい、ずいぶん意地悪だな!」 「そうでもないわよ。理由は簡単。行く必要がないから。 ―――ねえ、全部聴こえてたんでしょ?」 「…ま、こういう事よ」 「…○○!?な、なんでここにいるんだ?」 「あんたの先客。ちょっと野暮用を頼まれてね」 「あ、ああ…でもなんで、ずっと隣に隠れてたんだ?おかしいぜ」 「そりゃあ、あんたに見られちゃ困るからよ。 …っと、この言い方は誤解されるわね」 「まさか…お前達!」 「ほら誤解した」 「どういう事か説明しろよ霊夢!○○! なんで隠れてた! 私に知られちゃ困るような事してたのか? 私は邪魔だったのか? 邪魔って事はお前達やっぱり……!?」 「ちょっと落ち着く。それ以上は怒るわよ」 「だって……だって…ひっく…!だってぇ…!」 「あらら…まあ、元はといえば、隠れた私たちが悪いんだし…。 ○○さん、もう今ここでいいんじゃないかしら?渡しても」 「ぐすっ…うう……ん?○○、これは?」 「あんたが来る前に、頼まれて一緒に香霖堂に行ってたのよ」 「…これ……指輪?」 「あんたへのプレゼントを選ぶ為に、ね」 「○○!これってもしかして…!」 「ま、順番は狂っちゃったみたいだけど」 ―――――魔理沙、結婚しよう。 「ぐすっ…○○…ほんとに?……ぅわあああああん!うん、する!結婚する!しまくる!! もう嫌がっても離さない!逃げても追い掛けるから!」 「…今泣いたカラスがなんとやら。めでたしめでたし、かしら」 「○○、大好きーーー!んん~~~~っ!…ぷはぁっ! もういっちょ!んん~~~~~!」 「…はあ、今日はやけにお茶がぬるいわね」 @@@@@@@@@@@おっさん後書中@@@@@@@@@@@ 軽口を叩くことの難しさよ・・・(´・ω・`) 通勤中に携帯で作る、という暴挙をやらかしました。 でも私は謝らない。 読んでくれた方ありがとう。 少しでも楽しんでくれる部分があれば幸いです 俺=読者な感じを書きたかったんですが・・・ それ以前に少女二人が別人だorz @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 2スレ目 111 ─────────────────────────────────────────────────────────── 真っ白に染まる視界。 視界の端の方にあった木々が、片端からなぎ倒されていく。 ―――予想はしてたけど、まさか。 ……間違いない。被害からしても、感じる魔力の圧力からしても、 このスペルカードは1つしかない。 恋心「ダブルスパーク」 ただでさえ凶悪なマスタースパークが同時に2発。 ……ってか照れ隠しにスペカ!? 避ける……ダメだ、俺じゃ音速遅すぎる。そもそもロクに飛べない。 防ぐ……霊夢さんみたいな結界なんて作れないから却下。 「だったら……っ!」 懐から取り出す一枚の紙切れ。 魔力を練って、指に込め、呪文を描く。 幻想郷に迷い込んで、発現した俺の能力。 『想いを紡ぐ程度の能力』 紡ぐ想いを呪文に変え、たった1度きりのスペルカードを描く。 魔理沙さんに拾われてからというもの、騒動に巻き込まれない日はなかった。 妖しげな薬の実験台にされたり、 無理矢理吸血鬼の館(紅魔館…っていったっけ)に引きずられていったり、 何故か夜道で、大量の人形を操る魔法使いに襲撃されたり。 それでも、多くの人と知り合えたのは魔理沙さんのおかげだったから。 魔力を扱えるようになったのも、ずっと楽しかったのも、全部。 ……だから、 「これが俺の――― 好きになったんだと思う ―――恋心っ!!」 スレタイみたいにいちゃついてないむしろ弾幕りあうみたいな。 むしろ気持ちと気持ちのぶつけ愛みたいな。弾幕コミュニケーション? お目汚しをば致しました。 雑魚からスペカ持ちくらいまで精進したらまた書きます。 2スレ目 230 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「魔理沙好きだ、結婚してくれ」 僕は霖之助さんから聞いていた魔理沙対策の言葉も忘れて、彼女に思ったままの感情を素直にぶつけた。 「おー、別にいいぜそれぐらい…って、えぇっ!?お、お前自分が何言ってんのかわかってんのか!」 慌てふためく魔理沙。顔を耳まで真っ赤にしながら、そのブロンドのお下げや帽子を弄る挙措動作が愛らしい。 「うん、自分の気持ちがちゃんと理解できていないと、こんなこととてもじゃないけど言えないよ」 「あ…ぅー…」 急に目を逸らして黙ってしまったが、彼女が絶対にYESと言うのを僕は何処か心の中で確信していた… 2スレ目 763 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「頼む。いや、頼まないな。消えろ」 比喩でもなんでもなく、俺の土手っ腹に風穴が開いた。 確認する前に頭の上半分も消し飛んでしまう。 残念だ、これでもう彼女を見ることはかなわない。 痛みはない。いや、もともと痛みというものを俺は知らない。 ただ、これで自分が土塊に還るのだという事はわかった。これがヒトで言う『死』というものなのだろう。 「ただの土人形が、ずいぶんと勝手な事してくれたもんだな」 かろうじて繋がっている右耳が声を捉える。彼女の声には怒りが満ちている。 いけないマリサ、君は笑っていなくては。俺は主に笑っていてもらうための存在だ。 主を愛し、主を楽しませ、主の為に散る。それが俺の存在意義。 ただコワサレルのでは意味がないのだ。 「待ってくれ、マリサ。俺はまだ」 「まだ喋る口が残ってたか」 口を掴まれる感覚。ぐにょり、と音がして、そのまま下顎が溶けてしまった。 もう彼女を笑わせるジョークも口にできない。主人への愛を語り、その心を癒すこともできない。 俺はどうすればいい。どうすれば彼女は笑ってくれる。 残ったわずかな体と手足で、ダンスでも踊って見せようか。 「もういい動くな。動くと余計に撃ちたくなる」 手足が爆ぜた。吹き飛んだ部分が空中で粘土に戻ったのか、 地面に落ちるべちゃり、ということだけがあたりに響く。 これでもうお手上げだ。俺はもはや芋虫の様に蠢くだけ。こんな動きを喜ぶレディはさすがに居ないだろう。 と、 「く、くくく………はははは、はぁーーーーーーーっはっはっはっ!!」 聞こえる。マリサが笑ってくれた。俺の動きがそんなによかったのか。 道化としてでもいい。マリサ、君を愛してるんだ。君が笑っていてくれるなら。もっと奇妙に動いて見せ 「…………愉快だなこの野郎!」 大きな力に飲み込まれて、俺は消えた。 ・ ・ ・ ・ ・ 「ちょっと魔理沙!何ひとの家でマスタースパーク撃ってくれてんのよ!」 「……はー、はー、はー………」 「また屋根吹っ飛ばして!ちゃんと直しなさい……って、アレはどうしたの?まさか一緒に……!」 「なあアリス……あれ、失敗だったわ」 「……どういうこと?大成功だったじゃない、『赤鼻のコピー人形』。見分けつかなかったわよ? あんたもさっきまで『おちゃめなふたごだぜー』とか言ってたじゃないの」 「………ソフトの問題だ。中身が違いすぎるんだよ」 「そうだったかしら?むしろ魔理沙よりいい子だった気も」「アリスは全然わかってない!」 「ええっ!?……そりゃ、あなたの事もっと知りたいとか思ってるけど…いやそうじゃなくて、 何がダメだったのよ?私も協力して作ったんだから、聞く権利はあるはずよ」 「仕方ないな、特別に教えてやろう。いいか… 霧雨魔理沙は絶対に『俺』なんて言わないんだ!言っちゃダメなんだよ!」 「そ…そんな理由で……ひとんち壊すなーーーーーーーーーーーーーっ!!」 魔法の森は今日も平和だったとさ。 @@@@@@@@@@@@あとがき@@@@@@@@@@@@@@@@@ タブーといわれた『俺魔理沙』をネタにしてみたくてやっちまいました。 ごめんなさい石投げないでイタイイタイイタイ………けど気持ちいい… @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 126 ─────────────────────────────────────────────────────────── 魔砲使いの朝は早い。 雪が降るまでのわずかな秋の季節、食欲を満たしつつ学問(研究だ研究)をするなんて 彼女ぐらいではないだろうか? 「おーい、手伝え○○~」 まぁ、例によって、早朝から手伝えと叩き起こしに来るわけだが。 「んぁ…早いよ魔理沙……勘弁して~」 「いいじゃないか、お前の飯うまいしさ」 実は迷い込んだときに妖怪に襲われていたところを通りがかった魔理沙に助けてもらったのだ。 お礼に出来る事もなかったのでささやかな特技である料理を振舞い、 ついでに部屋があまりにも散らかっていたので大掃除を強行したのだ。 それ以来、部屋の片付け兼、メシスタントとして良く俺を引っ張り出してくる。 具体的には食事とか掃除とか掃除とか。あと掃除。 とはいえ、魔理沙の魔砲理論を傍で聞いてるうちに 自分でも何か学んでみたくなってきたので悪いことではない…かな。 で、今日も今日とて魔理沙の家でメイドガイやっているのでありました。 まずは朝食、続いて掃除というのがいつものパターン。 「いただくぜ」 「はい、たーんとおあがり」 両手を合わせてからご飯をかきこむ魔理沙。とそれを見守りつつ、同じく食べる俺。 「やっぱりお前の作る味噌汁はうまいな」 「どういたしまして。芸は身を助けるってことかな」 心底うまそうに食べてるのを見るのはこちらとしてもうれしい。 ものの十数分で用意した食事が空になる。 いつものとおり、それを片付け、 「それじゃ、整理よろしくな」 と心底幸せそうな表情で研究用の部屋へ入っていった魔理沙を見送る。 …魔理沙の家は一見ガラクタでも中身は9割ガラクタを集める持ち主の性格をえらく反映して、 ガラクタ部屋が非常に多い。生活に支障が出るくらいになるとこーりんに引き取ってもらっているらしいが 俺からすればどう見てもガラクタだが、捨てるわけにも行かないのでせめて整理しながらほこりを取るのである。 「しかし、なんで魔理沙は研究中なのに掃除させるんだろう…」 魔理沙の家に遊びに来る人はそれなりにいる。 霊夢に咲夜、アリスと、時々パチュリーも……。 まぁ、研究中に掃除をしているとわかると皆が驚いたのだが。 なんでも研究中は静かにしていたいがためにこの森の中に家を作ったのだとか。 しかし、それならなおのこと最初にあげた疑問が残るのです。 本人に聞かなければわからない疑問を延々と考えつつ掃除をしていると 「お~い○○、昼食はまだか?」 普段はおきないイレギュラーな事態が起きていた。 いつもはこっちから呼ぶまで決して出てこないはずなのに、 なぜか今日に限って昼食の催促にきている。よりにもよって部屋が 凄いことになっているこの日、この時に。 「あ~、まだ整理中なんだ、もう半刻ほど待って」 入り口まで戻りながら静止しようとする。 ―てか、今は来られると非常にまずい。なぜかというと 「お、こっちの部屋か?……なんだ、もうあらかた片付いてるじゃないか」 「あ。ちょっと、入っちゃだめだって」 ひょっこりと部屋の入り口に顔を出し、制止も聞かず一歩踏み出す魔理沙。 しかし、その踏み出した足が何もないはずの床をすべり…… 「うわっ!!」 前のめりになる魔理沙を慌てて支えようとした俺もそれにならって倒れる。 ……目の前をブレイジングスター流星群が駆け抜けた。 ―魔導具の影響だろうか、摩擦係数がこんがらがっていて、床が入り口方向にばかり滑りやすくなっているのだ。 「…痛い」 「私のせい……か?」 「…え?」 目前で聞こえる魔理沙の声…… 目前だって? 流星群がようやく収まると、自分が今どんな状態だか徐々に認識してきた。 まず、自分は仰向けになっている。コレはいい。倒れたんだし。 そして、すぐそばで甘い、いい香りがする。…いつもどこかで嗅いでいるような……? さらに、自分の上になにか乗っかっている。……お? 目を開けると、一見して、黒と白と金。 これは、ようするに…… 「魔理沙……」 「な、なに?」 「…普通逆なんじゃないかな? それと、魔理沙のことは好きだけど、やっぱり順序だてて、ね?」 「そ、それを言うな……」 形としては、魔理沙に押し倒されていたのである。 その後、事態を本格的に認識した魔理沙が真っ赤になってファイナルマスタースパークを乱射しかけたが 何とか阻止、そして興奮する魔理沙をなだめるのに2刻、遅くなった食事を作るのにさらに1刻かかった。 「なぁ、○○」 そして今は夕食時。 いつもとは少し違う雰囲気の中、黙々と食べていた魔理沙が、 ふと箸を止め、言いにくそうにつぶやいた。 「ん、なに?」 「昼のさ……あの時、『好きだけど』って、言ったよな?」 「うん、確かに言ったよ。だからこそ毎日味噌汁を作ってるんじゃないか」 そう。 紆余曲折あって今の関係になったとはいえ、一目惚れしたことには何の間違いもあるまい。 そして、ずっと味噌汁を作っているうちに、愛しいという想いが大きくなっている自分を再認識する。 「…できれば」 「うん?」 「できれば…これからも、毎朝……味噌汁、作ってくれ」 耳まで赤くなりながらぽつぽつとつぶやく魔理沙。 「……もちろん。いつまでも、ね」 ここは、笑顔で返してやらねば男じゃないな。 あとは、森が奏でる波の音だけが いつまでも、いつまでも―――― 149
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分類 キャラスレ民 特に特徴はないが、vip東方厨の間では魔理沙があまりちやほやされないためだろう、どこか声高に魔理沙のよさを主張する。 かつて「魔理沙と一緒にお空を散歩したい厨」や「魔理沙をやたらとゴミ扱いする厨」も存在したが、おそらく別人である。
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「ごうがーい。号外ですー」 それは、平穏で怠惰な幻想郷に訪れた、異変。 「喧しいぜ。人がせっかくお茶してるときに…」 それは、各々に委ねられた、選択。 「ああ、魔理沙さん。号外、よろしければどうぞ」 「よろしくなくても置いていくんだろ?」 それが何をもたらすのか、それは誰にも分からなくて。 「パチェ、それは何?」 「天狗が置いていったのよ」 「いつものゴシップ?」 「今回は、ちょっと違うみたいよ」 それでも、何かが変わる気がした。 図書館はいつも、薄暗い。 主が日の光を嫌う性質でもあるし、間借りしている館の主人もまた、日光は天敵だからだ。 「外界への扉を開く、ねえ…」 この紅魔館の主、吸血鬼のレミリア・スカーレットは頬杖をつきながら、配られた…というか勝手に置いていかれた 号外を眺め、気だるそうに呟いた。 「あのスキマ妖怪、何を考えているのやら」 「あれの考えていることが読めるのなら、幻想郷を支配できるわ」 レミリアの真正面からの小声。白いクロスがかけられたテーブルの反対側に、見た目は彼女よりわずかに年上、といった雰囲気の少女で、 この図書館の管理者にして魔法使い、パチュリー・ノーレッジのものだ。親友にして家主が訪れているというのに、この魔法使いは分厚い 魔法書から目を離すことはないし、パチュリーの5倍は生きているこの吸血鬼も、それを咎める風でも気に障る風でもない。これが二人の、 いつものスタイルなのである。 「パチェは、どうするの?」 「…何を」 「この話、伸るか反るか。まあ、答えは想像できるのだけど」 言いながら、文文。新聞と書かれた号外を軽く投げ出す。一枚もののそれにはこんな事が書いてあった。 曰く、幻想と現を隔てる結界の管理者、八雲 紫が、神無月の初めに、その結界を一部、開く。 曰く、幻想に暮らす人妖は自由に、外界を旅することができる。 曰く、然るべき用紙に記入して署名し、土産を持ち帰り、なおかつ神無月の終わりまでに戻るのであれば、何も縛りはない。 「多分、それ、外れてるわよ」 へえ、と意外そうにレミリアは呟いた。 「ということは」 「ええ。あのスキマ妖怪の企みに、乗ってあげるわ」 突然レミリアの顔が変わった。一転、つまらなそうに息を吐く。 「なあんだ。私の予想通りじゃない」 その一言に、初めてパチュリーは本から顔を上げた。目を細め、威嚇するような視線を親友に向ける。 「どういう意味よ」 「私に知られてないとでも思ったのかしら?愛しの彼と外界デートに洒落込もうとしてるんでしょう?」 「…彼って、誰のことよ」 「あれ」 レミリアが向けた視線の先には、ハタキを振るって本棚の埃を取り除く、ジャージ姿の青年、☆☆がいた。正確には少年と青年の狭間、といった容貌で、 彼は数ヶ月前から、この図書館でパチュリーの使い魔と共に、雑用として働く身の上である。 「随分、お熱を上げてるみたいじゃない。妖精メイド達が色めいているわよ?いつ想いが通じ合うのかって」 魔法使いは何も答えずに、また黙々と文字を目で追い始めたが、その頬の色が全てを語っていた。それに満足したのか、わずかに笑みを湛えて、レミリアは 傍らのティーカップを手に取った。 「早くしないと、あなたの使い魔に取られてしまうかもしれないわよ?」 パチュリーの目が僅かに泳いだのを、吸血鬼は見逃さない。その様子がおもしろくて、さらに追撃をかけようとして、それは思わぬ反撃によって遮られた。 「レミィも、人のこと言えた義理じゃないでしょう?」 カップを口元に運んでいた手が、止まる。 「あなたの場合は大変よね。何せ恋敵が盛りだくさんだもの」 この紅魔館には現在、3人の人間が暮らしている。瀟洒で完全なメイド、十六夜咲夜。図書館雑用にして、パチュリーの意中の人☆☆、 そして──レミリアが森で見つけ、血の提供と雑用を条件に、館で住み込み働く●●。 その彼の事を、そして彼を取り巻く状況をさらりと口に出されて、レミリアの顔から余裕の色が消えていく。 「咲夜も、フランも、さらには美鈴もかしら?妖精メイド達が色めいているわよ?誰が彼の心を射止めるかって」 「…言うじゃない、パチェ」 そうでもないわ、と軽く流して、涼しい顔で本を読み続けるパチュリー。一方のレミリアは、観念したかのように息を吐いた。 「そういえば、その●●は?手元に置かなくて大丈夫なの?」 「美鈴と一緒に、庭の手入れをしてるはずだわ」 「ずいぶんと余裕じゃない」 「私には、優秀な従者がいるから」 「…なるほど、ね」 レミリアは●●を、自分の力や権力を駆使して手元に置くようなことはほとんどしない。それは自分の他にも、彼に心惹かれる人妖が いるからだ。別にトラブルを恐れている訳でなく、●●を狙う咲夜や美鈴、フランドールは互いを牽制し合い、結局何もできないのを見越しているのだ。 しかしこの時、庭ではレミリアの目論見が完全に崩れ去っていた。 「えへへ、●●の背中っておっきいねー」 「そうですか?」 「うん。それにあったかい」 「あ、あの妹様、そろそろ私にも、代わってくれないですかねー、なんて」 「寝言は寝てからいいなさい、美鈴。次に彼の背中に頬擦りするのはこの私、十六夜咲夜に決まってるじゃない」 「だーめ。お断りします(AA略)」 「あ、あの、フランドール様、美鈴さん、咲夜さん?お、落ち着いて…」 「いまは わたしの ばしょだ。 うばいかえせばよい。…できるものなら」 「「こ ろ し て で も う ば い と る !」」 「…!」 「どうしたの、レミィ?」 「何か今、非常にマズい運命が見えたわ」 カップをソーサーに置いて、立ち上がるレミリアを見たパチュリーは、ああ、また『紅魔館・女のガチンコバトル!~(主に美鈴の)ポロリもあるよ!~』 が始まるんだなと気づいたが、自分に被害が及びそうに無いので何も言わなかった。他人の潰し合いというのは、なかなかにどうして、見てる分には おもしろいのだ。 「まだ日が高いから、日傘を忘れずにね」 「ありがと、パチェ」 ダッシュで出口へ駆けていくレミリアは、気づかなかった。 パチュリーが読んでいた本は、魔法書などではなく、魔法書に隠して正面からは分からないようにしていた、タウン情報誌別冊の「おススメデートスポット」 だったことに。 紅魔館で、人智を超えたキャットファイト(第13回戦)が始まろうとしていた頃。 「会いに行こうぜ!」 「誰に」 魔法の森の中にある、小さな一軒家。 流しに立ち、洗い物をしていた若者──△△の背中に、威勢のよい声がかかった。 「△△の両親にだよ!」 その瞬間、皿を水に漬ける手が止まった。それに気づいていないのか、さらに声が畳み掛けられる。 「それに、外って一回見てみたいんだよ、私。すごいとこなんだろ?」 「…まあ、幻想郷と比べれば、魔境みたいなものかもしれないな」 △△の声が、僅かに暗くなっていることにようやく気づいて、声の主の少女──霧雨 魔理沙は、読んでいた号外から目を離し、 今だ手が止まったままの彼を見遣った。 「…△△?」 「そうだな、いい機会かもしれない」 その独白は、魔理沙へ向けられたものというよりは、まるで自身に言い聞かせているようで。 「かわいい俺の奥さんに、俺の故郷を見てもらうのも、悪くないかもな」 言いながら、肩越しに振り返った△△の声は、すでにいつもの調子を取り戻していた。魔理沙は心に引っかかるものを感じたが、 それ以上に恥ずかしいセリフを聞いてしまったので、それどころではなかった。 「…ば、バカ。真顔でそういうこと、言うなよ」 「嫌か?」 「い、嫌なわけないだろ!」 頬を真っ赤に染めて俯いていた魔理沙は、飛び切りの笑顔で顔を上げ。 「そうだな。素敵な私の旦那様の故郷、見てみたいぜ!」 かくして、目的はそれぞれあれど、少女達は。 幻想郷からほんのちょっと、旅立つことを決めたのだった。 ─────── 「ということで、ここで解散にしましょう。いいですか、羽目を外しすぎず、節度を持って行動することが、貴方達に積める善行です。 そう、貴方達は──」 「ということで映季様のありがたーい小姑のお小言はこれにて終了!みんな気をつけていきな!」 「ち、ちょっと小町!まだ話は終わ」 「はいはいこんな往来で留まってたら迷惑ですし宿の時間に遅れそうなんでさっさと電車に乗りますよ。ほら、■■も急ぐよ!」 言いながら、普段以上に生き生きとした様子の死神は、同じく死神に成り立ての見習い、■■の手を掴むと、引きずるようにして 早足で自動改札へ歩いていく。 「ま、待ちなさい小町!■■!」 肩から提げたボストンバックを揺らして必死に着いていく閻魔様を見送りながら、△△は修学旅行を思い浮かべたが、口にすると 悔悟の棒が飛んできそうなので何も言わなかった。その少女趣味全開なフリフリスカートとか、ボストンバックで揺れているクマさん ストラップとか、突っ込みたい所は多々あったが、他の人妖達と同じように、小町に引きずられて苦笑しながら手を振る■■に、ただ 手を振り返しているだけに留めた。 小町は慣れた手つきで自動改札を潜り抜け、続いて■■を改札に通し、いきなりブザーとフラップドアが閉まってオロオロしている 映季を見かねて係員を呼びにいき、駅員の操作でようやく通過できて、何度も何度もその駅員に頭を下げている彼女の手を掴むと また早足で歩き出し、二人の手を引きながら、「京浜東北線」と書かれた水色の案内板の階段を上っていき── そこで姿が見えなくなった。 慣れたものだなあ、と感心しながら見送っていると、ふいに紫が口を開いた。 「じゃあ、ここでお別れね」 企画者自身もやっぱりマヨヒガの客人××との旅が嬉しいのか、いつもの胡散臭さが若干薄れた(気がする)笑顔で、口元に 当てた扇子をパタンと閉じた。その出で立ちは、名前のような紫を基調とした着物姿で、聞くところによると、隣でのほほんと 彼女の式の式、橙とじゃれあっている彼の希望だとか。 「神無月の終わりに、またここで会いましょう」 「皆さんも、お気をつけて」 丁寧な口調で紫とその式、藍から旅行鞄を受け取り、踵を返そうとした××と八雲一家に、亡霊の姫君、幽々子が声を掛ける。 「そっちはどこへ行くのかしら?」 「ちょっと、西のほうへ、ね」 信じられないことに、僅かに頬を染めて、どこか恥らうような幻想郷最強クラスの妖怪。普段の彼女を知る他の者…つまりほぼ 全員が目を瞬かせたが、どうやら幻術の類ではないらしい。ただ幽々子は「あらあら、そういうことね」と笑みを深くし、 意外なことに△△も、どこか納得したように頷いていた。それもそのはずである。××とは同じ迷い込んだ身の上で知らない仲 でもなかったし、いつぞやに彼は「出身は西の方」と話していたのを覚えていた。 (多分、挨拶に行くんだろうな、両親に) その性格はともかく、見た目は周囲の一般人の衆目を引くほどに麗しい。そんな彼女を連れての挨拶の意味など、ひとつしかない。 (ご祝儀、どうするか…) 気の早いことを考えながら、閻魔、死神組と同じ改札を抜け、東海道新幹線への乗換え口を目指して遠ざかる四人の背中を見ていると、 残りの面々も、ざわざわと動き始めた。 「お腹すいたわ~。ねえ◇◇、どこかで軽く食べていかない?」 「あなたの軽くは、ぜんぜん軽くじゃないでしょ。しかも途中のす○家でメガ牛丼食べたばかりでしょうに…3つも」 「あら、あれおやつでしょう?」 「そんなこと真顔で言わんでください…」 ニコニコ顔の華胥の亡霊とは対象的に、うんざりした顔で呟く◇◇。話によると彼らは全国のうまいものを巡って海を越え、山を越え 全国を回るらしい。食費を捻出するため移動は高速バスと普通列車中心で、そのほとんどを安いビジネスホテルなどで過ごすのだとか。 日程的に一番きついのでは、と△△は思う。しかし「惚れた人のたっての願いくらい、叶えてやりたいじゃないか」と笑う彼の 顔を思い出して、彼自身もそれなりに楽しんでいるんじゃないかとも思う。改札へ向かわずに、挨拶を済ませて談笑しながら高速バス 乗り場へ連れ立って歩く二人の顔を見ていると、なおさらそう思う。 ちなみに幽々子の従者である半人半霊の庭師は、今回主と別行動らしい。お互いに想い人がいるのでどちらが気を回したのかは分からない が、彼女──魂魄 妖夢は先日晴れて恋人同士となった(と文文。新聞ですっぱ抜かれた)◆◆とと共に、主の一歩後に改札を抜けていた。 雑談したところでは、こちらも妖夢の希望で、関の刃物市や刀鍛冶を見に行くのだという。彼のその隣で、恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながらも 恋人繋ぎした手をぎゅっと握る彼女を思い出し、青春してるなあ…と感慨深く呟いていると、新たな声が上がった。 「私達もそろそろ行くわ」 「そうか。気をつけてな」 「ええ。そちらもね。さあ、行きましょう○○、空と燐も準備して」 「にゃー!にゃー!」 「もう、うるさいよお燐。静かにしないと置いていくよ?」 地下に篭る妖怪達が、最近地霊殿に住み着いたという○○を促して、準備を始めた。地底のムツゴ…もとい地霊殿の主にして怨霊も恐れ怯む少女、 古明地さとりは、いつもの園児っぽい…じゃなくて可愛らしいスカート姿に、あの第三の目を隠すためか、カーディガンを羽織って、△△に 微笑んだ。その隣では巨大な登山用リュックを背負ったさとりのペットにして、熱かい悩む神の火である霊烏路 空が、なぜか犬猫用の旅行用 ケージを持ってはしゃいでいる。 そういえば一人足りないなと思い、切符を確認している○○を肘でつついて、耳打ちした。 「なあ、お燐ちゃんはどこいったんだ?」 「ああ、あの中だよ」 そういって○○が指差したのは、空が「ろぉりんぐじぇっとこぉすたぁ!」と笑いながら思い切り回している腕に握られた、あの犬猫用ケージ だった。 「人の形だとどうしても耳とか、尻尾とか隠せないみたいだから、とりあえずはあの中にって、さとりが」 かわいそうだから、あとでズボンとか帽子とか買って出してやるけどな、と彼は付け足した。なるほど耳をすませば、あの高速大回転中の ケージの中から「にゃ、に、ゃ…」と今にも息絶えそうな猫の声が聞こえてくる。 (いろんな意味で可哀想だな…) △△が心の中で地獄の輪禍に合掌をしていると、ケージから「ゲェェェェ」と食事中には絶対に聞きたくない断末魔が聞こえた。 「……」 「……と、ところで、なんで空のほうは人型のままなんだ?あのでっかい羽、何かの術で隠したのか?」 断末魔は華麗にスルーして、△△はもうひとつの疑問をぶつけると、○○は今度、彼女の背負った大きなザックを指した。 「あのリュックの背中のとこ切って、あの中に羽を無理矢理仕舞ってる。空が自分で考えたんだ」 言われてみれば、おそらく容量60ℓクラスと思われるザックは異様に膨れていて、それでも窮屈なのか時折もぞもぞと蠢いている。 確かに傍目には、うまく隠せているように見える。見えるが… 「お前らも列車使うんだろ?あれ背負ったまま席に座るのか?」 「…あ」 「しかもあんなでかいの背負って街中うろつくと目につかないか?しかもなんか中で動いてるし」 「……ケージの中に入るべきは、空のほうだな」 冷や汗をかきながら、呟く○○。 哀れ地獄鴉。燐と立場が逆転することがたった今運命付けられた。おそらく、というか絶対、今ケージの中でリバースしてグロッキー 状態であろう火車は復讐に走る。それも、自身が受けたもの以上の仕打ちを以って。 (…まあ、自業自得だしな) さとり達に切符を配り、他の3組と同じように改札を済ませる彼と彼女達を見ながら、空に合掌をささげない△△は、腕時計── 衣装代の替わりに霖之助に押し付けたものだが、結局返されてしまったものだ──を覗き込み、心配そうに一人呟いた。 「あいつ、遅いな。もしかして迷ってるのか…」 死神・閻魔組のありがたい(?)お話の前に、他の面々とともに飲み物を買いに出かけたままの彼女──魔理沙がまだ、戻ってこない。 幸いまだ列車の時間までは充分にあるためその点の心配はないが、この日本有数の大きさ、日本一といっても過言ではないかと思うこの 駅のどこかで、迷ってるんじゃないか。いや、迷っているだけならまだいい。何事かに巻き込まれているんじゃないか。 考え出すと、キリが無い。探しに行こうかと思い始めたところで、 「おーい、△△ー!」 待ち焦がれた声が聞こえた。思わず振り向くと、待ち焦がれたその人が、手に何かを抱えながら走ってくるのが見える。 「…遅いぞ、探しに行こうかと思った」 「ここ、広すぎだぜ!レミリアのとこより、デカい、ぜ、きっと…」 肩で息をしながら、思い切り安心したように笑う魔理沙。どうやら彼女も心細かったようで、空いてる左手で△△の右手を掴んだ。 「ところで、一緒に買出しに言ったご一行様は?」 永琳とその伴侶、鈴仙とその想い人、アリスとその恋人、妹紅と慧音、その彼女達の同居人。ともに出かけた面子が見当たらないことを 不思議に思い尋ねると、魔理沙は服選びのとき一緒に調達したトートバックに飲み物を仕舞いながら言った。 「ああ、なんか別の、カイサツ、って言うのか?のほうが近いからって、そのまま行ったぜ。みんなに気をつけて、って伝えてくれとさ」 言いながら魔理沙は辺りを見渡し、ほとんどいなくなったなとつぶやいた。 「みんな私が来る前に行ってしまうなんてひどいぜ」 「…ほんとはそう思ってないだろ」 分かるか?と△△を見上げた魔理沙の顔は、心の底から湧き出たような笑みで。 「こうやって気兼ねなく、△△にぎゅーってできるからな」 そのまま彼の背中に手を回し、言葉通りに抱きつく魔理沙。家路を急いだり、会社に戻る途中の人の「うわあこのバカップル」 「妬ましいわ」「見せ付けてくれるじゃないの」「ウツダシノウ。オレンジノデンシャ二トビコンデシノウ」という生暖かい視線を 苦笑いで受けながら、できれば気兼ねてほしいななんて思いながらもやめさせるつもりは全く無く、そんな魔理沙の綺麗な髪を、 さらりと撫でた。 「私が●●の隣よ。そういう運命なの」 「だめー!●●と私が一緒なの!そんな運命なんて壊しちゃうから!お姉様は咲夜と美鈴と三人で座ればいいじゃない!」 「ふ、二人とも落ち着いて…」 「いけませんお嬢様、妹様、下賎な人間と相席など。ここは私、十六夜咲夜が、しっかりと●●と愛を深め…じゃなかった、 監視のために同席します!」 「わ、私も隣がいいなー、なんて…」 「「「な ん か 言 っ た ?」」」 「な、なんでもないですぅぅぅ」 「いつまでやっているのかしら…」 「ホントですね、パチュリー様。その点私達は三人で仲良く座ればいいですもんね」 「…チッ」 「?何か言いました?」 「…何も」 「ほらパチュリー、行儀悪いからキャリーバッグの上に座って本読まない!」 「そうですよパチュリー様。☆☆さんの言うとおりです」 「むきゅー…」 何か後ろが騒がしいが、魔理沙も△△も他人のフリをした。後ろを顧みることは決してせずに、それぞれ旅行鞄とトートバッグを掴むと、 二人もまた、改札に向けて歩き出した。 「なあ、△△」 「どうした、魔理沙」 繋いでいた手を解かれて、どうしたんだと思った瞬間、左腕がぎゅうっと、暖かい感触に包まれる。顔を向けると、魔理沙が左腕に抱きついて、 思わずドキリとするような笑顔で。 「いっぱい、楽しい思い出、作るんだぜ!」 そんな顔されて断れるはずも、断るつもりも毛頭持ち合わせていない。△△も照れたように笑みを返して、頷いた。 騒がしい方向に駅員と鉄道警察隊の警察官が走っていく姿を視界の端に捉えたが、そんなことはすぐあちこち珍しそうに見回しながら、 いろいろ聞いてくる魔理沙とのやりとりに上書きされて、忘却の彼方に飛ばされてしまった。 というか飛ばした。 ───────── 「本日はJR東日本、寝台特急──」 車掌の声がスピーカー越しに、少しくぐもって響いている。 「ふう、ギリギリだったぜ」 「あちこち寄り道しすぎたな」 魔理沙と△△は、顔を見合わせて笑った。 「見るもの全部初めてだからな。ついついはしゃいじまったぜ」 シーツが敷かれ、二人文の浴衣と毛布、掛け布団が用意されて、きちんとベッドメイクされたその上に、魔理沙はバタリと仰向けに 倒れた。流れるブロンドの髪が、さらりと白の上に広がる。 「あのぬいぐるみ、もう少しで取れそうだったんだけどな」 「あのゲームはなかなか取れないように出来てるんだよ」 「なあ、最後の日にもう一回チャレンジしてもいいか?」 「金と時間が、残ってたらな」 上野の駅に向かったはいいが、時間まで結構余裕があったため、二人は駅の周りで軽くデートを楽しむことにした。 山手線の車窓に浮かぶ夜の東京に「すごい…ほんとにすごいぜ。こんな景色見たこと無い!」と呆然と立ち尽くしたり、 ホームに降りた後も、5分と置かず次々やってきては人の群れを吐き出しては飲み込んで去っていく電車を彼女がおもしろそうに 見ていたり、初めに立ち寄ったゲームセンターでは、魔理沙がぬいぐるみのつまったクレーンゲームをひどく気に入り、 野口さんがお一人いなくなるまでにのめり込み、財政危機が迫っていると判断した△△が筐体にしがみつく魔理沙を無理矢理引き剥がしたり、 近くのファーストフード店で初めてハンバーガーに挑戦した魔理沙が、「食べづらいけどなかなか旨い!」と顔を綻ばせたり、 雑貨屋やアクセサリーショップを巡る度に「べ、別に欲しいとか思ってるわけじゃないんだぜ!」と強がりながらも羨ましそうな 顔で商品を見回す魔理沙に、「あとでこっそりプレゼントしてあげよう」と心の内で決意しているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまい。 生涯ここまで一生懸命走ったことはないんじゃないかというほどの勢いで二人は走り続け、ベルが鳴る13番ホームから青い客車に文字通り、 飛び乗った。列車はどうも二人を待ってくれていたようで、乗り込んだとほぼ同時に扉が閉まり、今に至る。 「駆け込み乗車はするものじゃないな」 △△が苦笑していると、隣で寝転がる魔理沙がなんの気なしに聞いてきた。 「なあ、これに乗れなかったらどうなってたんだ?」 「…明日の朝まで野宿、だったかもしれない」 「間に合ってよかったぜ…」 ホッとしながら、もう一回笑う魔理沙。本当にそうだなと答えてから、△△は窓のカーテンを開く。 「…外の世界って、こんなにすごいんだな」 窓の向こうには、夜を迎えて尚活動し続ける、東京の街並みが流れていく。煌々とその色や形を変えながら輝くネオン。天界にまで続いて いるんじゃないかと思うほどに高い建物にも余すところ無く明かりが灯っている。高速道路に並ぶ車の列が赤々と連なり、隣やその向こうの 線路を走る長い電車にもぎっしりと、人の形が見て取れた。 「△△は、こんなところで暮らしてたんだな…」 「まあ、俺が住んでた所はもっと田舎で、街もぜんぜん小さいけどな」 不意に車窓が途切れた。どうやらトンネルか何かに入ったらしく、風を切る音が響く。 「…どうした?」 声音に何かに怯えるような、少し震えた響きを感じて振り返ると、魔理沙が微笑んでいた。 だけどそれは、どこか寂しげで。 その唇が、弱々しく動く。 「やっぱり、帰りたいか?」 「何言って──」 「だって、悲しそうに、外見てるから」 不意に開けた車窓。止んだ風切り音。 『次は、大宮です──』 部屋に響く、車掌のアナウンス。 魔理沙が気づいたときには、△△はその小さな体に覆いかぶさり、抱きしめていた。 「△、△?」 「確かに、懐かしいなって思ってたことは認める。1年も幻想郷で暮らしてないのにな」 だけどな、と呟いて、心なしか腕に力を込めた△△。その声が、吐息と共に魔理沙の耳に染み込んでいく。 「俺が今帰る場所は、お前の傍だよ、魔理沙」 「△、△…」 「別にこっちの世界が嫌になったとか、そんなんじゃない。ただ、魔理沙の隣がいいんだ、俺は」 列車がブレーキをかけたのか、部屋が軽く揺れた。流れる景色が徐々に遅くなって、駅の構内を照らす白い光が、窓から差し込む 頃には、魔理沙の腕が△△の背に回され、離すまいときつく抱きついていた。 「わたしも、だぜ」 「魔理沙…」 「私の場所は、これからもずっと、お前の隣だ。絶対、絶対に譲らないからな」 「望むところだ」 「お前がこっちに戻りたいって言ったら、意地でもついて行くからな。魔法店も全部引き払って、こっちで魔法使いになってやるぜ」 「今のとこは考えてねえよ」 「でも、明日お前の親御さんに何か言われたら、分からないだろ?」 その時、△△の体が、わずかに、ほんの僅かにぴくりと跳ねたように魔理沙は感じた。それきり言葉を発しなくなった彼に不審を抱き、 声を掛けようすると、それを制して△△が口を開いた。 「明日、明日まで何も、聞かないでくれないか」 弱々しい呟きが、魔理沙の耳にかかる。 「それも含めて、明日、全部話すから」 それ、というのが一体何を指すのか、魔理沙はよく分からなかった。だが、自分がどうすればいいのかは、分かっていた。 「分かった。何も聞かないぜ」 あやす様に、優しい声で△△の背中を撫でながら、魔理沙はゆっくりと言葉を紡いだ。 「その代わり、待ってるからな。お前が話してくれるのを」 「ああ。…ありがとう」 ゆっくりと離れていく△△の顔は、まだどこか寂しそうで、それを見た魔理沙の心が締め付けられたが、少なくとも声はいつもの 調子を取り戻しており、それが僅かな救いだった。 「…魔理沙の体を堪能してたら、喉渇いたな。飲み物もらうぞ」 「言い方がやらしいぜ…ってお、おい!」 魔理沙の静止は間に合わず、トートバックからペットボトルの紅茶を探し当てると、蓋を捻り開け、ぐいっと喉に流し込んだ△△。 それを見てわずかに曇る魔理沙の顔。寝転がっていた上体を起こし、ぶーぶーと抗議の声を上げた。 「…それ、私のだぜ」 「知ってる」 「私も喉、渇いてるんだぜ」 「知ってる。だから、こうする」 顔を上にしてもう一度紅茶を口に注ぎ込んだ△△は、そのまま顔を魔理沙に近づけて── 「ちょ、ちょっと!なにっく、んん、んく…」 重ねられた二人の唇。△△のそれを通って、魔理沙の口に少しづつ注がれる、ひどく甘くて、ひどく香る紅茶。最初は驚いていた 魔理沙だったが、次第に積極性を増し、彼女の舌が彼の口に僅かに残ったストレートティの残滓を舐め取るように嬲った。 「うまかったか、紅茶」 「…甘いな。甘くて癖になりそうだ」 「そいつは困ったな」 「困ったぜ。だから、こうする」 今度は魔理沙が紅茶を口にすると、△△に口付ける。両腕で首を抱き、離れないようにしっかり抱きとめて、紅茶をゆっくり流し込む。 それが飲み干されると、今度は互いの口の中を味わうように、舌が絡み合う。 「っは…、本当だ、確かに甘いな」 「だろ?」 「これは、癖になってもしょうがない」 「全くだぜ」 どちらとも無くベッドに倒れ、横になって見つめ合い、照れた笑いを浮かべる二人を邪魔するものは、この個室にはなくて。 そんな甘い時間を乗せて、夜行列車は遥か北を目指し、大宮の駅を滑り出す。夜を抜け、朝を駆け、日が高く上る頃には着くだろう。 ただ惜しむらくは── カーテン全開で、ホーム上の帰宅客に全て丸見えであったことだ。まあ気にせずに、というか気づかないまま、口付けを再開した二人には 些細なことなのだろう。 ──── 『ご乗車、ありがとうございました。あお──』 朝の喧騒が一段落した北の終着駅は、秋晴れの穏やかな日差しに包まれていた。 夜行列車から降りた人々は、乗り換えのため、駅を出るため、ホームの階段を登っていく。 「だいぶ人が少ないな。昨日とは大違いだぜ」 「住んでる人の数からして違いすぎるんだから、しょうがないだろ」 その中に、二人の姿があった。 旅行用のバッグを手に、東口と書かれた案内板の方へ歩を進める△△と、いつもの白黒エプロンドレス姿──ではない、 「普通の」魔法使い、霧雨 魔理沙。 「なあ」 「どうした?忘れ物か?」 いつもの有り余るくらいの溌剌さは鳴りを潜め。 自分の姿をあちこち見回し、縮こまった声で魔理沙は、傍らを歩く△△を向いた。 「や、やっぱ、私の格好、変なのか?」 「急に何を……」 「な、なんか、周りの視線が、な」 すれ違う人、追い越す人、追い越される人、座る人。その幾人かが二人を一瞥したり、振り返ったりしている。人だかりやひそひそと 話し込まれるほどではないが、少なくとも周りに溶け込んでいるとは言えそうに無い。 頬を僅かに赤くして、恥ずかしそうに縮む魔理沙を△△は振り返った。 「そんなに変な服を選んだつもりはないんだけどな…」 幻想郷から旅立つ前に、香霖堂にて二人で──主に△△が──選んだ服を、魔理沙は身に纏っている。といっても、彼も自身がお洒落なほうでは ないと自覚しているので、書籍の棚に何冊か並んでいた女性ファッション誌などを参考、というかまんま手本にした結果であるが。 ヒールの若干高いパンプスにオーバーニー、短めのスカートとファージャケット。魔理沙自身の希望で、暗めの色を基調としているためか、 華美な印象は無く、むしろ地味な感じさえする。 しかし魔理沙は綺麗だから、何着ても映えるな、と考えが飛びそうになったところで、思い至った。 「ああ、そういうことか」 「何がだぜ……?」 恋人繋ぎした△△の左手を、魔理沙の右手がぎゅっと握る。これ言ったらどんな顔するかなと心の中でにんまりとしながら、△△は顔を寄せて、 そっと耳打ちした。 「……魔理沙がかわいすぎるから、みんな注目してるんだよ」 わずかな間、呆けた顔をする魔理沙。やがてその頬は急に赤みを増して、俯きながらそっぽを向いた。 「ば、ばか。そ、そんなこと、ま、真顔で、言うなよぅ……」 してやったりとニヤニヤ顔でそれを見つめる△△であったが、心の内では割と本気でそう思っていた。 染めたような不自然さが全く無い、本当に綺麗なブロンドに、どちらかといえば綺麗というより可愛さに針が振れたような顔立ち。 最近はテレビなど見られるはずもないのでよく分からないが、タレントやアイドルにもここまでの容姿はいない気がする。そんな魔理沙が 、衆目を集めるのも致し方ない。彼氏補正が多分に入っている分析だが、何が悪いのか。 彼は心の中で一人、開き直っていた。 「で、これに乗って、どこ行くんだ?」 物珍しそうに車内を見回しながら、無邪気な魔法使いは好奇心に満ちた視線を、隣席から向けてくる。 「お前のご希望通りだよ」 「私の……?」 「俺の両親に、挨拶したいんだろう?」 「…あ」 改札を抜けた二人が向かったのは、バス乗り場であった。 幸いなことに、バスはさほど待たずに来たので、今は二人でバスに揺られているところである。平日の昼間ということもあり、 乗客はまばらだ。 「こ、こんな格好で、だ、大丈夫なのか?」 「心配しすぎだ」 「で、でも、こんなに、スカートとか、み、短いし」 腿をすり合わせながら、魔理沙はスカートの裾をつかんで、ぎゅっと伸ばした。いつものエプロンドレスよりかなり短いそれは、 白い太腿を露にし、いわゆる絶対領域を作り出していた。 「大丈夫だよ」 「そ、それに、わ、私、こ、言葉だって、ら、乱暴だし」 わずかでも自覚はあるらしい。 恥じらいの止まらない彼女の頭を、△△はぐしゃぐしゃと撫でてやった。 「心配するなって。大丈夫、魔理沙は普段どおりにしてればいいんだから」 「ほ、本当、か?」 すがるように見上げた魔理沙は、また心を締め付けられるような感覚に襲われた。 ──また、だ。また── 頭に手を置いたままの△△は、魔理沙のほうを見ずに、ただ、車窓を眺めている。 ──そんなに、悲しい顔、しないでくれよ── できることなら、聞きたい。なぜそんな顔で外を眺めるのか、吐き出させてやりたい。 でも、それはできない。約束、したのだから。△△が自分で、全て話してくれるその時まで、待つと決めたのだから。 だから。 「……」 頭に置かれた手を下ろして、魔理沙はその腕を抱きしめると、ただ無言で、彼の左肩に頭を預けた。 『次は──』 エンジンの音だけが静かに響く車内に、女性の合成音声が次の停留所を告げる。 「そろそろだな。魔理沙、降りるぞ」 「え、あ、ああ」 急に掛けられた声にドギマギしながら、抱きしめた腕を放し、足元のトートバッグを掴む魔理沙の横で、△△は「降りる」の ボタンを押した。ブザーが短く響き、車内全ての降車知らせボタンが、赤く灯る。 外を見るといつの間にか街を離れていたようで、建物の背丈も低くなっていた。その代わり金色の水田や、畑、高い杉の木など、 幻想郷でも見られるような光景が広がり始めている。 『霊園です。お忘れ物無いようにお降りください』 ゆっくりとバスは速度を落とし、完全に止まった。同時に前のドアが空気の抜ける音と共に開いた。運転手のアナウンスが聞こえると、 △△は魔理沙を促して、席を立つ。 「先に降りててくれ。料金払ってるから」 「ああ、分かった」 いつもは履かない高いヒールに軽くよろめきながら、二段のステップを下り、アスファルトの硬い感触と、風の肌寒さを感じ、足元を見ていた 頭を上げて── 「え、これ……」 目の前に広がる荒涼とした光景に、魔法使いは言葉を失う。 四角い石碑が、整然と並んでいた。 大きさは多少の差はあれど、大体同じようだった。どれも台座は大きくとられ、両脇に花束が飾られたものもある。それが細い通路にそって、 かなり奥まで並んでいた。 これは、幻想郷でも見受けられる。 これは──墓だ。 さすがにこれほどの数を幻想郷で見たことは無いが、僅かに違いはあれど、それはまさしく、墓石の連なり。 死した者への、手向けの証。 「こっちだ」 気づくと、△△が傍らに立っていた。バスは彼を降ろすと扉を閉め、排気ガスを吐き出して去っていく。その煙たさに顔をゆがめた 魔理沙だったが、彼が歩き出したので、あわててついていく。隣で歩きながらいろいろ聞きたいが、背中が全てを拒絶しているように 感じられて、ただ△△のすぐ後ろを、無言で歩いていった。 ほどなくして、目の前に一軒の店の前に出た。 「ちょっと買い物してくるから、ここで待っててくれ」 「……ああ」 店の方へ歩いていく彼の背中を、魔理沙はだまって眺めていた。 どこからか、鳶の鳴き声が聞こえる。風が時折そよぎ、側に植えられた銀杏の枝を揺らす。雲はほとんどない秋晴れで、その空の青さが どこか悲しげに見えるのは、ここが墓所だからだろうか。 やがて、買い物を終えたらしい彼が、手招きしているのが見えた。自分が一人取り残されたような感覚を振り払って、慣れない靴も気にせず、 急いで彼の元へと向かう。 手に花束を持って、△△は佇んでいた。その花束は菊を中心としたもので。 すでに亡き者へ向けたものであることが、魔理沙には分かった。 この光景を目の当たりにしたときから、予感はあった。 そして今、それは確信になった。 △△の両親は、もう── 「ここだよ」 どれだけの時間が経ったかは分からないが、少しは歩いたはずだ。墓石の間の通路を半ばまで歩いたところで、△△は立ち止まった。 その前には周囲のものより一回り小さい、灰色の墓標があった。 「俺が幻想郷に迷い込む、少し前にな。事故で、逝っちまったんだ」 魔理沙は、ただ立ち尽くすことしかできなくて。ぽつりぽつりと言葉を漏らす彼の、蔭の落ちた顔を、何も言わずに見ていた。 「最後に交わした言葉が、嫁さんの顔が早く見たい、でな。まあ、親父の口癖みたいなものだったんだが──」 何かを堪えるように、△△は空を見上げ、言葉を紡ごうとして、 「何で、言ってくれなかったんだよ」 「……魔理沙」 震える魔理沙の声に、遮られた。 「何で黙ってたんだよ!言ってくれなきゃ、わからない、じゃない、か…」 その目じりに、涙を浮かべて。 「私、馬鹿じゃないか。何にも考えないで、お前の両親に会わせろって」 「…悪い」 「なんで△△が、謝るんだよ…悪いのは」 「俺だ。家族の話につらそうにしてたお前に変な気回して、結局言いそびれた俺のせいだ」 魔理沙が家族から半ば勘当のような扱いを受けていることを、△△は知っていた。だからこそ彼はなるべく家族の話はしなかったし、 彼女もまた、積極的に聞いてくることは無かった。 「だから、泣かないでくれ」 嗚咽を漏らす目の前の少女を、△△はだまって抱きとめる。片手を頭に回し、風に吹かれてさわさわと揺れる金糸の髪を梳くように撫でながら。 諭すように優しくあやす目の前の青年に、魔理沙は縋る。その胸に顔をうずめて、彼の上着を少し濡らして。 二人の間を、秋風が通り抜けていく。 どれくらい、そうしていたのか。 「落ち着いたか?」 「ああ」 △△の問いに、魔理沙は顔を上げた。涙の跡ははっきりしていたが、少しは晴れたようで、弱々しい笑顔で、見上げていた。 「じゃ、親父とお袋に、挨拶してくれないか。ちょっとばかし遅かったが、ようやく親父の心配を、掃けそうだしな」 「…分かった」 二人連れ立って、墓の前に並ぶ。 「親父、お袋、紹介するよ。俺の大切な──」 「霧雨、魔理沙です」 言いながら、軽く頭を下げる魔理沙。 「仕事は、魔法使いです。家事の類は、それなりにこなせます」 「部屋は片付けられないけどな」 「あれは片付けられないんじゃなくて、一時的に置いてるだけだぜ」 「それを片付けられないっていうんだよ」 「なにをぅ!?」 はは、と笑った△△の顔は、いつもの調子を取り戻し。 「この人にこうやっていじめられながら、毎日過ごしています」 「仮にも親への挨拶でひどい言い草だなお前」 「同棲生活の事実を伝えてるだけだぜ」 朗らかに笑う魔理沙の顔も、いつものものに戻っていた。 「…花束、貸してくれないか」 「ほら」 花束を受け取ると、少しかがんで墓前に供えた魔理沙は、両手を合わせて、軽く目を閉じる。 ──どうか、この人と一緒になることを、許してください。 そんな願いを、乗せながら。 「というわけだから」 「きゃ!」 きゅうに抱き寄せられ、彼女は思わず声を上げた。 「俺、こいつと一緒に生きていくことにしたんだ。だから、心配しないでくれ」 そういって△△は、墓石に笑顔を向けた。 「まあ、なかなか顔も見せられないだろうけど、孫の顔は見せに来るから、さ」 「ま、孫って…」 とたんに赤くなる魔理沙の頬は、風に舞う紅葉の葉のようで。 「…嫌か?」 意地悪な笑みで、魔理沙の顔を覗き込む△△に。 「そんなわけ、ないだろっ!」 頭上の太陽のような笑みで、魔理沙はぎゅっと抱きついた。 「……行くか」 「…うん」 向き直った二人の手は、しっかり握り締められて。 「また、来るから」 「また、来ますね」 別れの言葉を、墓前に残して。 魔理沙と△△は、バス停へ、歩き始める。 そんな二人を優しく送り出すように、冷たくも寒さを感じさせない風が、ふわりと舞って通り過ぎた。 新ろだ46、49、61、73 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「やっぱ旅は夜行列車だな」 「お、ようやく魔理沙も風情が分かるようになったか。1ヶ月前に比べりゃ大きな進歩だ」 「何を言うか。私は最初から風情の分かる魔法使いだぜ」 八雲紫主催の今回の旅行企画。俺達は魔理沙の『次がいつあるか分からないなら、このチャンスに全力をつぎ込むぜ!』 という宣言のもと、1ヶ月丸々掛けての日本縦断を決行した。 そして神無月も残す所1日となった今夜、俺達は地方都市発の夜行列車の中にいる。 駅はとうに見えなくなり、窓の外を流れる電灯も次第に速さを増していく。 「初めて新幹線に乗った時は子供みたいにはしゃいでいたのにか?」 「その話はやめてくれ。今思うとかなり恥ずかしい」 照れたように言う魔理沙。はにかんだ笑顔が可愛かったので、意地悪く言い返してみた。 「あの時の魔理沙は可愛かったなー。顔を窓に押し当てて外を見てさー……」 「だからやめろって言ってるだろー!」 そう言ってポカポカ叩いてくる魔理沙。しかし、本気で嫌がっている訳ではない証拠に、 手にほとんど力が籠っていないし顔も笑みのままだ。 こちらが手を上げて降参すると、満足したのか叩いていた手を止め―― 「おっと」 「ふふっ」 倒れ込むようにして膝の上に体を預けてきた。 しばらくもぞもぞと動いていたが、収まりの良い位置を見つけたのかすっと力を抜いて、 そのままこちらをじっと見つめてくる。 こっちも魔理沙の澄んだ瞳を見つめ返し、無言のにらめっこが始まる。 ずっとそうしていても良かったのだが、魔理沙の頬がじわじわと朱く染まっていき、それでも尚見つめ続けたら ふいっと目を逸らされてしまった。 苦笑しながら頬を染めた魔理沙の髪を指で梳くように撫で、逸らされた目線を追って窓に目をやる。 見える景色は大都市の煌々とした光に比べれば幾分か暗く、幻想郷の灯に比べれば大分に明るい町だ。 二人して無言で外を眺めていると、不意に魔理沙が沈黙を破り 「もうこの旅行も終わりか……。なんだか名残惜しいぜ」 しみじみとした口調で言った。普段と違う様子に面食らいながらも、少しからかいを込めて答える。 「まだ終わった気になるのは早いぞ。おうちに帰るまでが旅行だからな」 「おうちに帰るまで、か……」 そう言って再び沈黙する魔理沙。心なしか元気が無いように見える。 しばらく遠くを見つめて考え込んでいたが、何かを決心したように小さくうなずくと 起き上がって俺の隣に座り直し、こちらの目をまっすぐ見つめて、言った。 「○○。このままこっちの世界に残りたいと思ってないのか? 幻想郷より元の世界の方が良いって思わないのか?」 不安げな目で見上げてくる。そんな魔理沙を安心させたくて、俺はわざと断言口調で答えた。 「もう何年も前に離れた場所だ、こっちの世界に未練なんてないさ。 それに、魔理沙だけを幻想郷に帰したら、そっちの方がよっぽど後悔する」 「でも――」 「前にも言っただろ?俺が一番大切なのは魔理沙、お前だって」 「……」 言い返そうとした言葉を押し切って最後まで言いきると、魔理沙はもう何も言おうとはしなかった。 しかし、まだ納得していないのは見てとれる。俺が本心を隠しているのではないかと疑っているのだろう。 そりゃそうだ。俺自身でさえ心の中にわだかまったもやもやした気持ちをうまく表現できる言葉が見つからないのだから。 自分の気持ちを表せる言葉を探して、だんだん民家の明かりもまばらになってきた景色に視線を逸らす。 自分がいま何を思っているのか、何をしたいのか、どこへ行きたいのか。 明確な答えが得られないまま、とにかく言葉を紡ごうとしたその時 「――」 こつん、と何かが肩に触れる感触がした。 「――魔理沙?」 思考を中断して見てみれば、魔理沙が肩にもたれかかってきていた。 よく耳を澄ますと、列車のガタンゴトンという音に混じって小さく規則的な寝息も聞こえてくる。 「……さすがに疲れが溜まってたのか」 何しろこの1ヶ月間、誇張なしに日本全国1周したのだから。 いくら元気印がトレードマークの魔理沙とはいえ、流石に体力が持たなかったのだろう。 あるいは明日で終わりだと思って気が緩み、今まで溜まっていた疲れが一気に出たのか。 「まったくしょうがないな」 口では悪態をつきつつも、起こさないようにそっと頭の位置を調整してやる。 そして、寝る前に故郷の景色を目に焼き付けようかと窓の外に目をやり―― 「ははっ。傑作だな」 思わず笑ってしまった。 ちょうどトンネルに入った列車の窓からは外の景色は見えず、 かわりに窓ガラスに映っていたのは、俺にもたれて幸せそうに眠る他ならぬ魔理沙の姿だった。 先程まで悩んでいたことが急に馬鹿らしく思えてくる。俺が悩むまでもなく、答えはとっくに決まっていたようだ。 「絶対にお前を離さないからな」 そっとベッドに寝かせた魔理沙をぎゅっと抱き締めて耳元でそう囁いてから、列車がトンネルを抜ける前にカーテンを閉めた。 愛しい人の横にそっと潜り込んで、起こさないように軽くキスをする。 小さな手を離さないようにしっかり握って目を閉じ、襲ってきた睡魔に意識を手放す。 繋いだ手が握り返してきたように感じたのは、ただの錯覚だろうか。 ――そして翌朝 「よお、お久しぶりー」 「お久しぶり」 「一ヶ月ぶりに会うと、結構長く経ったように感じるもんだな」 「ああ。しかも今回は特にな」 東京の駅前広場の一画、俺達が着いた時にはそこに人と人以外が大集合していた。 固まって喋っている男連中を見つけ、今回の旅行について報告しあう。 魔理沙はと言うと、少し離れた所でこれまた固まって話に華を咲かせていた霊夢やアリス達を見つけ、 風のように走り寄って行った。 「みんな揃ったようね。では、これより幻想郷に帰還しますわ」 全員揃った事を確認して、恋人の●●の腕を掴んだ八雲紫が声をかける。 いつの間にか横にいた魔理沙が腕を絡めてくる。周りを見渡すと、どのカップルも手を繋いぐか腕を組むかしている。 紫が腕を軽く振ると、前にスキマが開き、その向こうには懐かしい幻想郷の風景が見える。 「1ヶ月がかりの旅行もお終いか。なんだか終わらせるのが惜しいな」 順番が回ってくるのを待つ間に、横にいる魔理沙に尋ねてみる。きっと同意してくれると思ったのだが、 「違うだろ○○。今言うべきセリフはそれじゃないぜ」 魔理沙はいたずらっぽく笑い 「お家に帰るまでが旅行、だろ?」 「そうだったな、これは1本とられた」 笑い合っているうちに順番が回ってきた。 このスキマを潜れば、もうこっちにもどることはできない。 自分の故郷だった世界を最後にぐるっと見渡し、大きく息を吐くと、軽くスキップでもするように自分の世界に飛び込んだ。 新ろだ95 ───────────────────────────────────────────────────────────
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霧雨魔理沙(魔理沙)に対する雑感。魔理沙をネタにするのが一番難しい。未だにどうしていいかわからない。 結果原作ネタが断トツで多い。 やたら他キャラに絡む/絡まれたり、引き合いに出されたり、単体での活躍があまりない。ごめんね魔理沙。 最近は料理キャラになってしまった。魔理沙が物食べてるとすぐRTするよね! 日付 ネタ 補足 2010/11/14 「キノコの研究をしている人はほぼ間違いなく100%頭のおかしいことを言い出すから付き合っちゃだめよ、ってお母さんに言われてるから。」と魔理沙を突き放すドSマザコンアリスもかわいい。 2010/11/17 魔理沙に「他の男のチンコの形もわからないくせによくいうぜ。」って言われて悔しさに顔を真っ赤にながらも図星だから何も言い返せないチルノとか最高にかわいい。 2010/12/04 魔理沙のエディプスコンプレックスを解消させるためにちんこを生やさせるか父親的な愛情を注ぎ込むか悩んでる。ちんこかな。ちんこ生やさせるべきかな。しかし、ちんこを生やした魔理沙は一体誰に母性を求めるのだろう。アリス、パチュリー、にとり、霊夢のどれも母性というのは少し違う気がする。なんだかんだいって、実は魔理沙における母性ってこーりんなんじゃないだろうか。こーりんからしてみれば、魔理沙を犯すのは近親相姦のようなもの、つまり、去勢される恐怖であるけど、ちんこを生やした魔理沙がこーりんを犯すのもまた似たような構造であるように思える。ちんこを生やした魔理沙が男女問わず犯しまくってる様子は多分生き生きしてるだろうしかわいいから別になんでもいいや! 魔法少女と箒とファルス、そしてエディプスコンプレックス。ベッタベタですね。でもそんなベタなところも含めて「普通の魔法使い」な魔理沙かわいい。 2010/12/04 でも魔理沙とキャッチボールとかも楽しそう。女性的というよりは男性的なスポーツ好きそうだし、変なところに投げて「取れないだろー。」と笑う魔理沙はかわいい。キャッチボールを終えた後に汗を拭う魔理沙はどうあがいても女性的で、多分どきっとするんだけど、それはまた同時にとても切ないことだと思う。女性性と男性性の曖昧さと紛う事無き女性の身体、色気。本人もどっちつかずな感じが、もう、なんていうか、見ていて辛い。抱きしめたい。結局、魔理沙のコンプレックスがわからなくて、知らず知らずのうちにそれを刺激するのが怖いというだけか。そのコンプレックスを把握しているものがきっと魔理沙を深く愛せるのだろう。 2010/12/11 幻想郷の人々でバンド組むとしたらどんなメンバーかずっと考えてた。ボーカルは妥当にみすちーだとして、ギターは目立ちたがり屋っぽい魔理沙かな。ドラムは映姫さま。ベースが思いつかない。咲夜さんがベースっていうのも中々様になるけども、やはり映姫さまの白黒はっきりつけた完璧なタイム感を考えるとベースはちょっと揺れてるぐらいが一番いい。でもぐーやや幽々子さまにベースは似合わない。小町あたりかな。元々はみすちーの店の余興としてみすちーと魔理沙二人だけのバンドだったはずが、それを偶然見かけた小町がこの二人がメンバーなら世界をとれると感じ、バンドをやろうと持ちかける。そしてみすちーの店にドラム募集の広告を貼るも中々集まらない志望者。小町は以前バンドを組んでいたが、喧嘩別れしてしまった映姫さまのことを思い出す。「映姫さま…。私たちのバンド、いや、私のベースラインに合うドラマーは、あなたしかいないんです!」と持ちかける小町。中々首を縦に振らない映姫さまであったが、みすちーのソウルフルな歌声と魔理沙のファンキーなギターを聴き、そのレベルの高さに驚く映姫さま。そして小町の絶妙にもたったタイム感が更に磨きをかけられていることに気づき、とうとう加入を決意する映姫さま。キーボーディストとして魔理沙に無理矢理連れてこられ、「む、昔エレクトーンならやってたけど、ピアノはわからないわよ?」と焦りつつも参加してくれるアリス。そして幻想郷にファンクブームが訪れる! 音楽ネタはやってみたいんですけど、140字じゃ書ききれないと言うのと、知らない人にはちんぷんかんぷんになりがちと言うのがあって滅多に出来ません。多分このバンドはP-Funkとミーターズのあいのこっぽいことをやってます。だらっとした小町のベースラインに飛び乗ってくるアリスのみょんみょんしたキーボード、そしてファンキーでファンキーな魔理沙のワウ!浮かび上がる「何でこのバンドにホーン隊いないの?」と言う疑問!うるせえ!書くのが面倒だったからだよ!(ほら、もうわからない。) 2010/12/16 魔理沙とビートニクの小説に出てきそうなゴロツキの口調との相性がすごく良いことに気づいた。「10ドルだ。それ以上はまけられんね。…どうするんだ?出すのか出さないのか。お前がどうなろうと知ったこっちゃないが、ヤクが切れた人間の末路なんて悲惨なもんだぜ…?」みたいな。かっこいい。ちょっとアウトサイダー的というか、自分の目的のためなら泥水も啜りそうなところが魔理沙の魅力の一つな気がする。 チャールズ・ブコウスキーの何かを読んでたのだと思います。でもそれって中川五郎の訳のセンスだよね?あれ? それでいて好きな男の影響で煙草を吸い出すようなタイプの子どもっぽい悪さも備えている魔理沙かわいい。多分魔理沙は最初はふかしただけなのに「どうだ!私は煙草ごときじゃむせないぜ!」って言って、ちゃんと肺に入れさせたら心配になるレベルでむせるからかわいい。 銘柄は「マルメンライト」。そう言う煙草を吸ってる男と付き合ってて欲しいんですよ。 2010/12/30 博麗の力をすべて失った霊夢に対して魔理沙が「お前はもう私が目指すべき目標じゃない。」って言って去ってしまって、霊夢がそれを追いかけるという立場逆転の話も面白そう。「博麗の力なんかなくても私はあなたより充分強いわよ!舐めんじゃないわよ!」と嘯いたもののあっけなく返り討ちにされ、意地になって弾幕ごっこを仕掛け続ける、みたいな。まるっと立場が逆転。魔理沙にあっさり負けて「ああ、あいつもこんなに悔しかったんだな…。」と初めて他人に興味を示す霊夢、みたいな。 2011/01/13 「ふざけんじゃないわよ!あんたいつも主役じゃないのよ!」と咲夜さんが悪酔いしてキレだすのをきっかけに全キャラ入り乱れる乱闘騒ぎになって、いつ自分に矛先が向くかわからなくて隅で震えてる魔理沙かわいい。 博麗霊夢の同日の項目(博麗霊夢生誕祭)参照。「いや別に私主役になりたかったわけじゃ…いや、降りたくはないけど…うん…。」と思ってもじもじしてる魔理沙かわいい。 2011/01/24 じゃあ魔理沙の恋符って何なんだろうって話になるんですけど、あれはきっと魔理沙がバレンタインデーとかの時に「ち、チョコ作ってきたから!頑張ったから!私頑張って作ったから!食べてくれ!」と言って相手に一言も喋らせずに渡して逃走するタイプであることを示しているのではないでしょうか。 チルノの同日の項目参照。恋符って何なんでしょうね。未だにわかりません。わからないので、早苗さんにいじってもらいました。(2011/05/05参照) 2011/02/09 リアルの友人にはアカウント教えてないから魔理沙とかに誘われるんだけど、「私ああいう知らない人とコミュニケーションとるサービス苦手だから。」とか言って断る。でも魔理沙のフォロワーの数とか訊いちゃうし、自分の10分の1であることを知って心の中で勝利の雄叫びをあげるアリスかわいい。 アリス・マーガトロイドの同日の項目(ツイドルアリス)参照。ちなみに魔理沙のフォロワー数は216、アリスは2205です。(適当) 2011/02/14 シリーズ史上最も可愛い魔理沙は妖々夢のアイコンだと思う。あれはすごい。引っ張ったら物凄い勢いで伸びそうだし、食べたら甘そう。大福か。大福魔理沙か。 2011/02/15 風神録の高威力装備魔理沙のオプションをすべて前にだしてボスの身体に出したり入れたりしてるとそこはかとなく淫猥な気分になることが出来るのでオススメ。「フフ…見てごらん早苗ちゃん。もう二つ目が入っちゃったよ…さぁ…三つ目も入るかな?」ってやってたらグレイソーマタージだったことをすっかり忘れていて見事瞬殺された私の話はやめてください! 静葉お姉ちゃんに入れたり出したりするのが凄く楽しいんですよ。(迫真) 2011/02/28 さっき魔理沙が「なんだよ…。『妖夢めっちゃかわいくなってる!』とか『早苗さんは相変わらずだな』とか…。霊夢ですら『今回は耳出してるのか』とか言われて…。私には何も言わないのかよ…。人気投票も散々だったし…。私の代わりに咲夜が出れば良いんだ…。」って言って泣いてたから慰めてきます。 この辺りから今のキャラが確立したような気もする。 2011/03/28 魔理沙は彼氏が出来たら携帯の待ち受けを彼氏との写メかプリクラにしそう。しかも3枚ぐらい用意して気分で変えそう。でもそれを他人に指摘されると恥ずかしくて「い、いいだろ!別に!好きなんだから!」って反論するんだけど、余計に恥ずかしくなって俯いて何も言わなくなるからかわいい。付き合って長くなると、時々携帯の待ち受けを夕焼け空にしたり、彼氏から貰ったとさり気なく自慢していた指輪を外したりしてそう。明らかに彼氏と喧嘩してんだなーってわかるけど敢えてそれつっこむと絶対面倒なことになるタイプだと思う。うっかりそれにつっこんでしまった時、魔理沙が物凄い勢いで愚痴り出す姿とか容易に想像出来るし、一旦仲直りしても深夜3時ぐらいに突然また彼氏と喧嘩したと言う電話が来て睡眠時間を削られるだろうと言うことも想像出来る。でもそんな面倒くささも割とかわいい。彼氏は大学卒業後音楽で喰ってくことを決意するもコンビニバイトが忙しくて中々練習やライブをすることが出来ないフリーター兼バンドマン(gt,vo)で、親からは早く就職なり結婚なりしてくれと言われ続けてるような駄目男(28)だと映えますね。 この後「3人のバンドマンと付き合ったことあるけど全員クソだったと言われて謝った。」みたいな話をしたら結構色んなところから反論が来ました。でもまぁ、クソですよ。うん。私もクソだから。 2011/04/04 最近妖々夢の魔理沙のドットを見ると茄子が食べたくなるんですけど、これって恋ですかね? 次の日茄子とキノコのスパゲティを食べました。やっぱ似てると思いました。 2011/04/16 魔理沙いいですよ魔理沙。立ち絵からちらっと生足が見えてオススメです。魔理沙の幼児体型入ってる膝から下を舐めたい。 早苗さん、「『弾幕はパワー」とか言ってたわりにそのミサイル、針巫女と威力大して変わらないですよね。霊夢さんのボムは普通に秀逸だし、魔理沙さん何でいるんですか?なんでそのマスパグニャァ...するんですか?」とか言ってたわけですか。 神霊廟体験版公開日。あのマスパ本当に使いにくい。 2011/04/26 魔理沙に「オムライス食べれないって言った方が女子力高いらしいよ。」って言ったら「オムライスが喰えなくなるぐらいなら私女やめたって良い!私はオムライスが喰いたいんだ!オムライスが!オムライスが喰いたいんだよ!」と真に迫った顔で言いそうだからかわいい。 女子力アップ(ぷんぷくり~ん)ネタ。このあたりから魔理沙に飯の話をさせるのが何故か鉄板になった。 2011/04/27 魔理沙さんならこの前飲み会で「いやさ、私も女の子なわけじゃん?何で『魔理沙にちんこ生えててもベタすぎてなぁ。』って言われなきゃいけないわけ?ちんこ生えてるのがベタなネタってなんなの?私女の子だしちんこ生えてるわけないじゃん?生えないじゃん?なんなの?」って延々と言ってましたよ。 うるさいちんこ生えろ。 2011/04/30 レザマリバグのせいで風神録の中で一番低威力な高威力装備魔理沙さんの話はやめてあげなよ泣いてるじゃんかわいそうだよ。 2011/05/04 魔理沙の下の毛は確かに剛毛と言わざるを得ないけど、博麗神社に行くたびに線香を一本拝借して、夜中一人暗い部屋でちゃんと処理してるから物凄い綺麗な毛並みだよ。 TLで「隣の部屋から『魔理沙じゃ抜けない』って声が聞こえてきた」ってのが流れてきた時に書いた…んだっけ?その後魔理沙の下の毛が剛毛って流れになったんだと思います。 2011/05/05 魔理沙と早苗さんって普通に仲悪そうだよね。早苗さん、「魔理沙さん魔理沙さん、恋符って何ですか?魔理沙さんって絶対処女ですよね。あーやっぱり。そうだと思いましたよ。何で恋符なんですか?男の人と付き合ったことは?あー。じゃあ片思い符にしたらどうです?」とか割と普通に言ってそうだよね。 個人的に魔理沙いじりネタの中では一番好き。 2011/05/24 魔理沙はニコ生で顔隠して生活実況配信やったことありそう。「顔見せて」ってコメントに「いやー顔見たらがっかりするよ絶対。ムリムリ。」って返しながらも「どうしよっかなーでもハードルあげちゃったからなーハードルあげてなければなー最初から出してればなー。」とニヤニヤしてる魔理沙かわいい。 ニコ生を見たことはないです。 2011/05/26 魔理沙はお金がなくなったらすぐにすいとん作りそう。「やばいな…これ今月ちょっとマジでやばいな。私死ぬかもしれないな。しばらく小麦粉祭りありえる。」と真顔で呟きながらすいとんを作り、意外と上手に出来て「あっこれ小麦粉祭りいけるな。私まだいけるわ。」とやはり真顔で呟く魔理沙かわいい。霊夢におすそわけにしいったら「は?すいとん?あんた戦争でもしてんの?」と言われてちょっとへこむ魔理沙かわいい。 「小麦粉祭り」って単語は割とお気に入り。 2011/06/02 魔理沙はカツ丼作るの滅茶苦茶上手そう。前日からしっかり計画を立てて出汁をとり、サクサクのカツをふんわりとした卵で閉じ、炊きたてのご飯で平らげる魔理沙はかわいいし、「カツ丼が上手に作れるのって女の子としてどうなんだろうな…。」と思いながら食後のお茶を淹れる魔理沙かわいい。 魔理沙にパンをコーヒーにつけて食べるとこ見せたら「え、マジで?パンってそう言うのありなの?」とか言いそう。実際に自分も食べてみて「あー!あーなるほど!これパサパサならんわ!すげえ!これ最初に考えた奴天才だろ!どう言う発想だよマジで!」と物凄く嬉しそうに叫ぶ魔理沙かわいい。 2011/06/14 魔理沙は家に一人でこもって魔法の研究をしてるうちに溜まったフラストレーションを発散させるために街に出そう。ぼんやり歩いてるうちに「いつかはこんな街に住むのも悪くないかもしれないな。」と思う魔理沙はかわいいし、急に何となく寂しくなって誰かいないか周りを見渡す魔理かわいい。 多分サニーデイ・サービス聴いてたんだと思う。 2011/06/18 魔理沙はまりちゃんって呼ばれると嫌がりそう。「やめろよなんか普通の人みたいになるからやめろよ。」とちょっと困った顔で言う魔理沙に「でも普通の魔法使いじゃん。」って返すと「普通の魔法使いは良いんだよでもまりちゃんはやめろよほんとやめろよ。」とやっぱり困った顔で言う魔理沙かわいい。 女の子をあだ名で呼ぶのが好きです。 2011/06/19 魔理沙は良くヒトカラ行きそう。同じ曲を何十回も一人で歌って「この前全国三位入ったからな。200人しか歌ってなかったけど全国三位になった。」と自慢してくるので、じゃあ今度一緒にカラオケ行こうって言うと「いやいや無理無理歌ってるとこ見られたくないし。」と全力で断る魔理沙かわいい。 2011/06/22 魔理沙は研究がまとまって気分が良くなると一人で家で焼肉やりそう。スーパーで大量の安い肉と一パックの高級和牛を買い、ある程度安い肉を食べた後「でましたー!一パック500円!500円てお前!馬鹿じゃないの?たけぇよ!たっけぇー!」とフルテンションで高い肉を焼き始める魔理沙かわいい。 初の100fav超え。正直「え、そんなか?」と未だに思ってる。 2011/06/30 魔理沙は料理作るの上手そうだけど、好きではなさそう。「メニュー考えるの面倒だし、余計な時間とられるし、誰かが私のために毎日飯作ってくれればいいのにな。」とぼそっと呟いた3秒後に「そう言う意味じゃないからな。そう言う意味じゃない。」と早口でよくわからないことを言う魔理沙かわいい。 2011/07/03 暑いからといって調子に乗って冷や麦を作りすぎてしまい、葱を入れてみたり生姜を入れてみたりしても全然食べきれず、「もう無理…。死ぬ…。私は冷や麦に殺されるんだ…。調子に乗って…。調子に乗って冷や麦祭りとか言わなきゃ…。」と部屋の隅で体育座りしながら号泣し続ける魔理沙の画像ください。 作りすぎた冷麦を食べながら考えてました。
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魔理沙22 新ろだ2-264 「ぐぁー、あつい~、あつくてしぬぜ~」 「魔理沙、あっまり暑い暑い言うな。更に暑くなるから」 「そんなこと言っても暑いものは暑いんだぜ。あーあつい~」 ジリジリと照りつける太陽。余りの暑さ縁側でぶっ倒れている二人。 こう日差しが強くては打ち水もあまり効果はなく、日陰でさえ風が吹かなければ蒸し風呂状況だ。 「何か手っ取り早く涼しくなる方法はないか?」 「あの氷精でも捕まえれば涼しくはなるだろうが、すでに誰か考えているだろうしなー」 うーん、と二人して頭を悩ませていると天啓を得たのか魔理沙はがばっと身を起こす。 「そうだ! 肝試しだ! それがいい!」 「あー、確かにあれは夏の風物詩だし、いい考えだろうけどちょっとなー」 「なんだよ、私の案にケチつけるのかよ○○は」 せっかくひらめいた名案に否定的な意見をあげる○○に魔理沙はぶーぶーと文句をたれる。 「いや、だってここじゃ幽霊、妖怪が普通に人間みたいに暮らしているじゃないか。そんな中、お化けなんか見て誰が怖がるよ? だいたい、前やった肝試しはみんな脅かす役ばかりやりたがって参加して怖がったのは妖夢一人だって聞いたぞ」 「う……それはそうだけど……」 「……いや、待てよ。そうか、あれならいけるか? 魔理沙、紫と連絡とれないか?」 「ん? あのスキマ妖怪とか? まぁ霊夢に聞けばなんとかなるとは思うが……。何するんだ?」 「ふふ、みんなに本当の肝試しを教えてあげよう……」 ちょっとあくどい笑い方をする○○に魔理沙はちょっと背筋がぞくっとしたのを感じた。 ◆ ◆ ◆ 数日後の夜、幻想郷の暇人達が神社に集まり、肝試しをすることになった。 今回は○○の企画だということで皆わくわくして集まったところ、神社の高台から見下ろしたところに怪しげな建物があることに気がついた。 見るからにおどろおどろしい外観、窓ガラスは割れ、外装はぼろぼろ、風に乗り漂ってくる消毒液の臭いが嫌悪感を感じさせる。 いわゆる廃病院といわれるやつだ。 その外見にみな気押されているが、日ごろ幽霊や妖怪を見ている、または自身が妖怪である者がそう簡単に怖がっては情けないと虚勢を張っている。 「な、なぁ……今回の肝試しってあの中でやるのか?」 「そうだよ。ある意味有名なお化け屋敷を紫に再現してもらったのさ。中身も仕掛けも忠実にね。くくく……」 「へ、へぇ……ま、まぁどれだけ怖いものなのか期待させてもらうとするか。へへっ」 強気に笑う魔理沙だが少し足が震えているのを○○は見てしまったが武士の情けということで見ていないことにした。 初めに怪談話をして恐怖心を高め、それから肝試しが始まったのだが、行く者行く者しばらくするとすさまじい勢いで病院から駆け出してくる。 紅魔の主人と従者は二人とも半ベソ、冥界の庭師と管理人は気絶、月からの蓬莱人とイナバはあんなもの怖くなかったと笑ってはいるが腰が抜けていては締まりがつかない。 「お、おい……本当に大丈夫なんだよな?」 「う……ま、まぁ何とかなるだろう? 怖がってはいるがみんな無傷なんだしさ。さ、今度は俺達の番だ」 「へ、へっ! 作り物に怖がるなんて皆情けないぜ!! 私は怖がったり、泣いたりなんて絶対しないからな! さぁ行くぜ○○!」 無理に大声をあげて廃病院に突貫する魔理沙。それに引きずられるようにして○○は後に続いた……。 ――少女肝試中 「うっ、ぐすっ……な、なぁ、○○……も、もう終わりか? 目開けて平気か?」 初めの勢いはどこへやら。○○に手をひかれて魔理沙は目をつぶったまま涙を拭い続ける。 まるで迷子になった妹がやっと兄に出会えたかのようだ。 「ああ、もう外だからな。目開けて平気だぞ」 「……ほんとうだな? 目開けて目の前にお化けいるとか無しだからな?」 おそるおそる目を開けた魔理沙はもうここが廃病院の外だと分かるとぶわっと関を切ったかのように涙を流しながら抗議の声をあげる。 「な、なんなんだよぉ! あれは! 普通幽霊とかは『うらめしや~』とか決まった台詞を言ってから出てくるものだろう!? 音も立てずに背後に忍び寄るとか、通り過ぎた後、飛び起きて追いかけてくるとか無しだろ! 無しぃ!!」 「まぁ、それがこのお化け屋敷の特徴だからな。仕方がないさ」 「うう……納得いかない、あんなの幽霊じゃない……」 幽霊じゃなく人が演じているもの(今回は紫の協力で人ではなく妖力で動いている人形)だということは黙っていることにする○○。 それじゃ皆のところに戻ろうかと先に進もうとする○○を慌てて引き止める魔理沙。 「……? どうしたんだよ魔理沙。皆のところに戻ろうよ」 「いや、あのな……? ちょっと言いにくいことなんだがな……。最後、やっと出口だって気を抜いたところで驚かされただろ? その時にちょっと……な?」 もじもじと足をすり合わせお尻に手を当てて恥ずかしそうに魔理沙は口を開く。 「……少し、ちびった」 「……はい?」 「だ、だから! 最後油断してたんだってば! ……なぁ、○○。外から見て平気かちょっと確認してくれないか?」 「ん、ああ……」 ○○が後ろに回り、魔理沙はお尻に当てていた手をどかして首だけで振り返る。 「ど、どうだ?」 「あー、魔理沙、エプロンはずして腰に巻いた方がいいかもしれない。結構くっきり分かる」 「う、うう……そんなに分かるのか……。はずかしい……」 しょんぼりとした顔でエプロンをはずして腰に巻きつける魔理沙。 「なぁ、どうしようか。こんな格好じゃ何があったかすぐに分かっちゃうだろ?」 「そうだなぁ……。じゃ、俺が魔理沙が足をくじいたからそのまま先帰るとでも言ってくる」 歩きだそうとした○○を必死の形相で腕を引っ張る魔理沙。 「ちょっ! 待てよっ!! ここに置いてくな! 置いていったら本気で泣くからな!」 「……まだ怖いのか」 「……うん」 やれやれといった感じで○○は魔理沙に背を向けてしゃがみこむ。 「ほれ、おぶされ。そうすれば足くじいたようにも見えるから」 「す、すまないな……○○……」 「それは言わない約束だよ。おっかさん」 「ばか」 ◆ ◆ ◆ 家までの帰り道、○○は魔理沙をおぶったまま歩いていた。 「わ、悪いな……、ずっと背負わせたままで……。あ、もう誰もいないから降りようか?」 「いや、このまま家まで行っていいさ」 「で、でもさ」 「前に背中でゲロ吐かれた時よりかはずっとマシだから」 更に顔を真っ赤にして○○の後頭部をはたく。 「お前、どうでもいいことばっかり覚えてるよな!」 「どうでもいいことじゃないさ。魔理沙との大事な思い出だ」 「綺麗なこと言って誤魔化そうとするんじゃない!!」 ポカポカと背中で暴れる魔理沙に○○は苦笑する。 「いや、本当にいい思い出だと俺は思ってるよ。何かしら失態起こした魔理沙は普段の元気さからは考えられない位しおらしくて可愛いし、 そんな姿が見られて、眼福、眼福♪」 「……○○、お前変態だよな」 「変態か。別にそう言われても気にしないし。魔理沙限定の変態だから」 「喜んでいいんだか悪いんだか……」 そう言ってはいるものの、魔理沙の表情は綻んでいる。よりしっかりしがみつくと魔理沙は○○と他愛無い話を始めた。 「今回の肝試しで少しは涼しくなったか?」 「ま、まぁな。別の意味でスースーしてはいるがな」 「あはは、それは仕方がないだろう」 「……なぁ、今度はさ、湖とか川とかに泳ぎにいこうぜ。西瓜でも持って」 「それはいい考えだ。今から楽しみだな」 「ああ、まだ暑い日は続くだろうから。また二人で涼しくなること考えていこうぜ? でも、もう怖いのはなしでな?」 暑い夏はまだまだ続きそうだ―― 「…………」 (ススススッ) 「ば、ばかっ! 手をあげはじめるなっ!! 今何も履いてないんだから! あっ、こら! スカートの中に手を入れるなよぉ!!」 (ナデナデ) 「これがホントの撫でまわしたい尻」 「○○のばかぁ!! 変態! 死んじゃえ!!」 終われっ! 新ろだ2-270 「○○~」 ベッドの上。隣に寝ている魔理沙が眠たげな声を上げる。 おやすみをのキスを交わしてから10分は経っているだろうか。 寝言かと思ったが、徐々にすり寄ってくるので寝言では無いと解った。 「……何だ?」 「んー……何でも無い。呼んでみただけだぜ」 「何だよ、もう」 「へへっ、悪い」 魔理沙は悪戯っぽく笑いながら、俺の脇腹におでこをこすりつけてきた。俺はその頭を撫でてやる。 しかしこんなやりとり、可愛い魔理沙だから赦せるが、オバサンになって、 さらには外の世界の絵本通りの魔女ババアになった魔理沙に同じ事をされたとしたら、 俺は赦せるだろうか? ……赦す。赦そう。そんなキュートに年老いてくれるならそれはそれで良いじゃないか。 言い聞かせるでもなく、何となく素直にそう思えた。 ふと、アリスのことが頭に浮かんだ。 アリスも元は人間だそうだ。 そして年齢は、その見た目通りでは無いのは間違い無い。 当人から、魔女は、食事を採らなくても良くなる魔法を使うことで老化を止め、 それでようやく一人前になるのだという話を聞いた。 だったら、普通の魔女なんて言ってる魔理沙は、実際には半人前もいいところなわけだ。 でも魔理沙ほど研究熱心なら、今使えたっておかしく無いんじゃないだろうか。 「魔理沙さ」 「んぁ……何?」 しかしそれは訊かない方が良いのかもしれない。少なくとも今言うことじゃない。 心の僅かなつかえが、俺の言葉を曲げた。 「……何でも無い。呼んでみただけだ」 「それは私の真似か?」 「ごめんごめん。そんなとこだ」 魔理沙の頭をぽんぽんと軽く触れると、魔理沙はまたぎゅっと体を寄せ、それきり黙った。 ひょっとすると、本当は魔理沙も何かを言おうとしていたのかもしれないな。 虫の音と、時計の音、そして吐息だけが微かに聞こえる。 月の蒼い光が、魔理沙のブロンドの髪も肌もシーツも一緒くたに、白銀に照らしている。 この色に照らされると、何者も生物という印象を放たない。 俺は目を閉じて、腕の中の魔理沙を体温で感じることにした。 このまま寝てしまうのかと思った頃、魔理沙は俺の体から離れて、俺の顔を見上げてきた。 「なぁ、○○」 「呼んだだけ?」 「良かった、起きてたか。違くて、そうじゃなくて……」 魔理沙は上目遣いに俺を見ている。 何か一大決心をしたかのような顔をしている。 それに気圧され、俺も魔理沙から見たらさぞ神妙な面持ちとなっていることだろう。 「明日……3食、キノコ鍋でいいか?調合に使えない奴が余り過ぎちゃっててさ」 ぷっ、と俺は吹き出した。 主に、俺の考えていたこととのギャップにだ。 よりによって明日のメシの話だったとは。 「ちょ、そんな笑うことないじゃないかっ。確かに採る種類を間違えたのは失態だけど……」 「ごめんごめん。いやまあ、いいよ。魔理沙のキノコ鍋美味しいしな」 少しむっとした魔理沙だったが、最後に楽しみだと付け加えると、 その顔が笑顔に変わった。 「ふふふ、そうだろうとも。 そうだ、暑いし、鍋じゃなくて冷製キノコパスタとかがいいかな。 赤と緑がよく映えるだろうし」 「赤……緑……?大丈夫なキノコなのか?それ」 魔理沙はくすくすと笑って、根拠も示さず、大丈夫、とだけ言って仰向けになった。 「じゃ、今度こそおやすみ」 「ん、おやすみ」 上から軽くキスをしてやると、魔理沙はにっこりと笑って、目を瞑った。 程なく、規則正しい寝息が聞こえ始める。 魔女の件は……まあ、どうでもいいか。 とにかく、明日も楽しみだ。 新ろだ2-287 今日は午後に魔理沙が来る約束だった。 つまり午前中は暇だということになる。 てなわけで、暇潰しに、先日香霖堂でいただいた画材を使って絵など書いてみた。 「――で? 何でナナメ45度のいいアングルから書かれた私がそこで乾かされてるんだ?」 予定通りの訪問者は、開口一番これである。 「ちょっとした気紛れだよ。なかなかいい出来だろ?」 これでも小学校と高校では美術系の集まりで腕を揮わせたものである。 「いや、出来はまあ……モデル本人がとやかく言うのもあれだからな」 本人的にも悪い仕事ではないらしい。よかったよかった。 「何なら買うか? 安くするぞ」 「要らん。それよりな、なんで色が桃色だけなんだよ」 とある理由から、魔理沙の絵は桃色を基調に――というかその濃淡だけで着色したのだ。 「わからねーか?」 「分からねえよ。もうちょっとこう、ビシッと格好いい色はなかったのか? これじゃまるで私が凄絶な乙女みたいだぜ」 『乙女』に使っていい形容詞はもうちょっと愛らしいものだと思う。凄絶て。 せめて『爆裂』とかにしろよ。 「いや、恋色の魔法使いってのを意識してみたんだけど」 陳腐な発想と笑われたらそれまでだが、個人的に『恋』と言われれば赤系統の色だ。 結果、ちょっと甘酸っぱい感じを加味して、恋色=桃色という方程式が完成したのだが。 当の魔理沙は、顰め面でちょっぴり納得のいっていないご様子。 「なんつーかな。もう少しこう、燃え上がるような情熱が足りないと言うか――」 ぐわーっと両手を使って燃え上がる炎のジェスチャーをする魔理沙。 「なら、赤系の色混ぜてみるか」 善は急げと絵の具を手に取る。パレットに残っているピンクを水で溶き、そこにカーマインを少し加えた。 「いやしかし、情熱の中にあっても冷静さを忘れない賢さが片思いを勝利へと導くのであって――」 「冷静……は、青かな」 今度はウルトラマリンブルーを溶かして、混ぜ合わせる。 「で、時には包み込むような温かい笑顔で相手を癒し――」 「温かい、か。暖色といったらオレンジだな」 べたべた。 「でもまあ、大自然のような安らぎっていうのも恋愛関係には大切だな」 「自然っつったら緑か」 まぜまぜ。 「んで、それから――」 「ええとそれなら――」 黄。 水色。 茶色。 ゆかり。 以下略。 ◆ 「――と、まあ、大体こんな感じだろ、恋色ってのは。で、どんな感じになった?」 語り終えたという満足げな顔で、わくわくと問う魔理沙。 しかしながら、彼女の色の選択というのはとっても必要条件的で欲張りな選び方なのであり、 「ほれ。――まあなんつーか、もっと取捨選択をしろこの贅沢者」 種々の要素を混ぜに混ぜまくった完成色は、 「…………うわ、ひでえ」 真っ黒になったのだった。 当然と言えば当然の結末である。なんせ、魔理沙のチョイスは俺の手持ちの絵の具殆ど全種だったのだ。 魔理沙の感想がその惨状をこれ以上なく的確に言い当てている。 ――いや、だけどまあ。 「何となく納得したよ、恋色っての」 「はあ?」 自分で気付いていないのか、魔理沙は首を傾げる。 「ま、後で鏡でも見てみ」 「何だよそれ。ってうわ、余計なことやってる間にもうこんな時間か」 「余計って、お前が言い出したことだろうが」 謎多き未知の色、恋色。 この魔法使いの白黒衣装は、存外にその真理を体現しているのかもしれない。 Megalith 2011/12/11 「うー寒い寒い、何だって冬ってのは寒いのか本当!」 起きて見たら一面の銀世界! これ以上にない感動モノかも知れんが寒いモノは寒いのだ 「そりゃまあ冬だからなー!」 そんな中に犬がごとく駆け回る雪の白と対比になるカラー そう、俺が絶賛片思いセール中の霧雨魔理沙である 「なんだってそう嬉しそうなんだ、お前は」 雪ではしゃぐ彼女も可愛いが寒さとそれは別問題だ 出来るなら冬は炬燵でみかんと年賀状で冬を越したかった 「そりゃ冬で雪だからなー!」 「冬も雪も魔理沙は毎年見てるだろうに やれやれ子供なんだか、ぶっ!」 決して面白くて吹き出したとか、嬉しいハプニングでもない 喋ろうとしたところを多量の雪玉弾幕の餌食になったのだ 口を開けてた物だから雪のフルコースをいただきます状態だ コートも雪で白く染められて、これじゃオセロだ 「あはは!○○アウトー!」 犯人である投手は高らかにアウト宣言をしてきたが どう考えたって死球だ。 乱闘もやむなしの大暴投だ 「ええい、顔面セーフだ!今度はこっちの番だ!」 傲慢野球VS小学校ルールドッヂボールの開幕である しかし弾幕のスペシャリストからしたら 俺の投球は「弾が止まってるみたいだぜ!」だそうだ 「あはは!って、うわわっ!」 余裕ぶっこいてた魔理沙は足を滑らせたのか 人型の形を残し広々とした雪原に埋没された。 数秒経って穴から這い上がってきた魔理沙は 帽子に雪をたんまり乗せていた。 白黒ではなく白白になっていた。 「ははははは!お揃いだな!魔里沙!」 「さ、寒っ!」 あわや冷凍保存だ そりゃ寒いだろう 「ほら、手を貸してやるから」 寒さで震える彼女をそっと抱き起こそうと手を差し伸べた その時である 「隙有り!」 「何ぃっ!」 足場も悪く急激に引っ張られたため俺に抵抗する術はなかった そして見事に俺は第二の雪原の埋没者になった 「ふはは!今のここは戦場だ!敵に手を貸すとは甘いぞ○○!」 いつの間にか立ち上がっていた魔理沙は俺に向けて 戦場の傲慢ルールを言い捨てた 「ちくしょうめ!もう許さんぞ!」 それから数時間は経った頃 不毛な争いは双方がずぶ濡れになった衣服に空しさを覚え、ついに終戦を迎えた。 その日魔理沙は戦場から近くにある我が家で夕食をとり、宿泊していった 男の一人暮らしの家で何も考えないのかこの娘は だがその次の日 「はーっくしょん!けほけほっ!」 「早く治してくれよ?」 朝になり、起きてこないと思ったらこれだ。 滅多にお目にかかることが出来ないであろう パジャマ姿魔理沙がベッドに伏していた 「うぅ……。何で○○はピンピンしてるんだ……」 「昔っから風邪だけは引かないんだよな、何でだ?」 「馬鹿は風邪引かな……、げほっげほっ!」 聞き捨てならない言葉は 今日のところは捨て置くとしようか 馬鹿ってのは氷精に向けて、俺には賛辞の言葉がほしいもんだ 「まあしばらくは安静にしてな」 風邪は引いたことないけど そんな大病でもないんだったら、その内治るだろう 「その内、雪溶けないよな……?」 俺としては早く暖かくなってほしいが 残念な事にまだまだ冬は続くのだ 渋々、年を跨いでも、この調子なら大丈夫。と 答えるほかになかった 「そうだな……けほっ!ああ、早く治らないかな……」 だったら大人しく寝てた方が良いだろうけど 静かにしてるってのは案外と辛い いつも賑やかな魔理沙なら尚更辛いかもしれない 「手、繋いでてくれ……」 寒いのか?毛布いるか?と聞くとやっぱり馬鹿だと言われた。 とても心外だ。 とりあえず言われた通りに気温でひんやりした俺の手を 魔理沙の汗ばんだ手に重ねた 「冷たくて気持ちいい……」と魔理沙はそう言いながら 軽く瞳を閉じた その表情はいつもの笑顔とは違って かなり辛そうなものだった 早くいつもの顔に戻ってほしい、俺の為にも。 そんな辛そうな顔はさせたくない。 「熱の方はどうだ? ん、結構熱いな」 額から伝わる熱が魔理沙の辛さを物語っていた 俺は額に置いた手を頭に移し、 そのまま10分程、頭を撫で続けていた。 そうしている内にいつの間にか魔理沙は眠りに着いていた 「うぅん……○○?」 「起きたか、気分は?」 手に持っていた鍋を机に置いて聞くと 魔理沙は「大分と良くなった」と言った まだ顔はほんのり赤かった 「そうか、お粥食べるか?」 「ああー……食べさせてくれないか?」 正直どきっとしたのは内緒だ だって食べさせるってあーんってやるやつだろ? 凄いイベントなんじゃないかこれ 「い、いいけど、今日はなんか妙に甘えてくるな?」 あくまでも平静を保っての返答だ。 若干噛んでも気にしない。 「か、風邪の症状だ」 風邪のことはわからないから仕様がないが そういう物なんだろうか、狼狽しながら、風邪ってのは難儀なんだな と言った。 「ほい。あ、あーん」 腕が震えてスプーンと皿が カチャカチャと耳障りな音を奏でたがなんとか成功した。 スプーンを近付けると魔理沙が「あーん」と口を開けて食べる。 それが餌を待ちわびる雛鳥のようで そんな魔理沙が更に愛おしく見えた。 そんなことを考えながら お粥を食べさせているとすぐに終わってしまった。 それから一時間は経っただろうか 「寝てたから全然眠くないな」 まあそりゃそうか 俺もまだ眠くないし 「ベッドで本でも読んでればいいんじゃないか」 「読んでくれ」 「俺が眠くなるから無理」 俺が活字を読むと 催眠術がごとく眠りに落ちてしまう 「じゃ、じゃあ」 「ん、何だ?」 もごもごと口ごもり、中々言い出せないようだった 心なしか、さっきより顔が赤い気がする 何のイベントがあるんだ? 「添い寝してくれない……か?」 「添い寝って、……え?……そ、それも風邪の症状か?」 「こ、恋の病だぜ……」 「俺に……?」 俺がそう言って表情を窺うと 魔理沙は俺を見つめ返してくる 「俺なのか……?」 こくこくと、弱く頭を振り、頷く魔理沙 「……ほ、本気か?」 「ほ、本気じゃなきゃ、こんな事言わないだろ……?」 魔理沙の顔がさっきより赤い。 いや、俺の顔も真っ赤だ 動悸もさっきとは比較にならないほどだ。 ドクンドクンと早鐘を打つ心臓を抑えつけて、俺は、言った。 「魔理沙、俺は、俺はお前の事が好きだ!!」 ついに言った、魔理沙に先を越されたが ずっと言いたかったことを、やっと言えた。 「えっ……。ほ、本当か……?」 「本気じゃなきゃ言わない!」 少しの沈黙のあと目に涙を浮かべながら さっきの俺と同じ質問をしてきた。 だから俺もさっきの魔理沙と同じように返答した。 「嬉しい……!○、○○ー!」 目に溜まった涙を振り落としながら 満面の笑顔になった魔理沙は 今までのどんな顔より、素敵だった 「好きだ!大好きだ!離さないからな!」 「俺も、ずっと離さないよ」 「このままだ!ずっと!明日も明後日もだ!」 「ずっと、ずっと一緒に居よう、魔理沙!」 結局この日は二人で抱き合って寝たまま、朝を迎えた。 いや、この日だけじゃなく 魔理沙の風邪が治ってもずっとそうしていた。 風邪が治っても冬が終わっても ずっとそうしていくだろう 「冬も春も夏も秋もこれからもずっと一緒だ!○○!」 俺もそう思うよ、魔理沙 その後、○○が人生最初の風邪を引いたのはまた別の話 Megalith 2011/12/19 ……おはよう、○○。もう朝食できてるぜ、早く顔を洗ってきな。 たまにはパンがいいだって? 駄目だ、魔法使いの主食は白いお米と決まって……人間? 細かい事は気にするな、男だろ? いいから顔を洗ってこいよ。 いただきます。……もう冷めちゃってる……ゴメンな えっ? 悪いのは俺の方だって? だから気にするなよ 今日はお仕事無いよな。じゃあ本を運ぶの手伝ってくれよ。借りたいのがたくさんあってな なんだ? 店のことは気にしなくていいんだぜ。……泥棒はよくない? 死ぬまで借りるだけだって言ってるだろ。……それが泥棒だって? うるさいなぁ。だからお前は気にしなくていいんだよ 冷たいよなぁ○○は。結局手伝ってくれないし、借りにも行かせてくれないし ……まぁ、キノコ採り手伝ってもらってるけどさ 今日の昼食はキノコのスープでいいよな。夕食用と実験用のも採ってくぜ ん? 毒はないかだって? 気にしなくても大丈夫さ。あっても死にやしないって、たぶんな ……私が毒にあたって倒れないか心配だって? ……バカ、私のことより自分のこと気にしろよな え? もちろんお前も食うんだぜ、当然だろ? たくさん食べて強くなれよな。……毒に負けないくらい ん~~良いにおいだなぁ キノコスープは最高だな。作るたびに味もにおいも違うから飽きないぜ ……毒が無ければもっと良い? そんなの気にしてたらなんにも食べられないぜ? ほら、あ~ん ……なに気にしてるんだよ、私と○○の仲だろ。……ゴメン、嫌だったか? えっ? そんなことはない? むしろ嬉しい? だったらほら、あ~んしろよ、あ~~~ん ん? もう眠いか? 悪いな、今明かりを消すよ。 ……布団を出してから? そこにベットがあるだろ? もう消すぞ なに? ベットは一つだけだって? ………………だから気にするなよ…… Megalith 2012/01/26 「ん~……ふわぁ~…… ん……あれ?もうこんな時間か!?」 手に取った目覚まし時計を見て○○はベッドから飛び起きた 着替えつつ、仕事場まで走った時の時間と目覚まし時計が示している時間を計算する 「もうこれじゃ間に合わないか…」 親方にどやされるのを覚悟する○○ だが、次に違和感を感じた 「そういえば…魔理沙は?」 ○○と魔理沙は同棲している いつもなら、○○が朝飯の時間になっても起きてこないと魔理沙が 「あっさだぞ~~~!!起きろーーーー!!」 とゆう様な事を言って○○のベッドにダイブしてくる筈なのだが、今日はそれが無い 若干寂しい気持ちを押さえつつ、とりあえずなにか腹に入れておこうと思いキッチンへ向かう だがキッチンに入った○○は、そこで言葉を失った そこには、苦しそうに息を荒げて魔理沙が倒れていた 「とりあえず、診察は終わったわ」 「ありがとうございます、永琳さん」 このままではいけないと思い、永遠亭まで魔理沙を担いできた○○ 「普通の風邪ならいいのだけど…」 「これがただの風邪でしょうか…」 「熱は39.5あったわ」 「そんなにですか!?」 「ええ、それに加えて本人は悪寒、頭痛、腹痛を訴えてる」 「大丈夫…ですよね…?」 「今のところはね」 大丈夫だと聞いて少し安心する○○ 「原因は…彼女の場合は大体想像できるわね…」 「キノコ…ですか」 「本人に聞いてみないと分からないけど、大方そうでしょうね。 前に一度、有毒性のキノコ食べて霊夢に運ばれてきた事もあったし 食べて無いとしても、実験に使った時に発生したガスで…とか。 とりあえず、それぞれの症状に合わせた薬を処方しておくわね」 永琳は薬を○○に手渡した 永遠亭からの帰り道 魔理沙は○○におぶわれていた 「全く…研究もいいが、安全管理には気をつけろよと散々言ったのに…」 「ごめん…○○……うう…ゲホッゲホッ」 ○○の背中で咳き込む魔理沙 「もういいけどさ、魔理沙が辛そうなのを見ると俺も辛くなるから…」 「○○…」 「…まあ、これで仕事休んで魔理沙と一日一緒に居られるのは嬉しいんだけどな」 「ば、馬鹿…//」 赤面した魔理沙は○○の背中に顔をうずめる 「今日は同じ部屋で寝ないとな~♪」 「…ホントに大馬鹿だぜ…//」 「なんか言ったか?」 「な、なんでもない!!…けど……手…」 「手がどうした?」 「…その…今夜はずっと手を握っててくれよ…」 さっきより小さな声で甘える様に魔理沙は呟いた 「ふふっ、手だけでいいのか?」 「は?」 「お望みなら、ずっと抱きしめててやるのに」 「え……//」 「嫌か?」 「ぜ、全然嫌じゃない!! むしろ、そっちにしてくれ!!」 「はいはいっと」 その夜、魔理沙は○○に抱きしめられて寝た だが、そのせいで全く眠れず具合は悪化したのは、また別のお話 そして、魔理沙がただの風邪ではなく、幻想入りしたインフルエンザだと分かるのも、またまた別のお話
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《魔理沙/PONZA》 音ゲー廃人である、一般人には彼の足の動きを見ることはできないだろう 主な使用デッキ ファントムノーレ コントロール帝 スキドレビート 好きなカード 天魔神 ノーレラス ファントム・オブ・カオス スキル・ドレイン 大会成績 装備祭二位 コメント 名前 コメント
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霧雨魔理沙 特徴 強度が高く一瞬で端まで届く6Bや置き射撃として優秀な2B8Bを使ってこちらの行動を制限してくる。 前後飛翔の性能が低く、上下飛翔の性能が高いため、上下軸から攻めてくることが多い。 遠距離 魔理沙側の行動 こちらの電柱に気を付けながら5Bを撒いて近づいてくる。 まれに6Bを撃ってくるが、食らってもダメージは少ないのでそんなに痛くはない。 が、食らったら近づく隙を与えることになるのでなるべく当たらないように。 遠距離で注意する技 5B 速度が遅いので置き射撃として使われる。この射撃を効率よく消す方法は8Cぐらいしかない。 6B この距離からの6Bは当たっても痛くはなく、コンボも繋がらないのでまだ安全。 菫子側の行動 魔理沙側から近づいてくるので遠距離の間合いになることはほとんどない。 5Bか6Bを撒いてから近づいてくるので、電柱を振って自由に撒かれないようにしよう。 自分が上軸に居る場合 6Bに気を付けよう! 6Bを食らってしまっても安全な場所で受け身を取れるので基本この軸に居た方が安全。 5Bか電柱を撒こう。 自分が中央軸に居る場合 6Bに気を付けよう!! 自分が下軸に居る場合 6Bに気を付けよう!!! 中距離 中距離は菫子6Aが届くか届かないかぐらいの距離を指す。 魔理沙側の行動 菫子の置きレバ打が当たらない位置で6Bや2B8B、HBを撒いてくる。 隙をついてJAやJ8Aで刺しこもうとしてくる。 中距離で注意する技 HB 置きレバ打にぶっ刺さって痛い。出されるまえか、グレイズしたあとにレバ打で刺しこむ。または電柱を先置き。 J8A 下軸なんかで露骨に電柱振ってるとJ8Aをお見舞いしてくる。発生も早く、ヒット確認も簡単なのでよく振ってくる。先に菫子J8Aを置ければ、J8Aの横判定に当たってくれる。 菫子側の行動 上軸2Cや上軸2Aが追いかけてくる魔理沙に効果的。 下軸から攻めてくるようなら、置き2Aや5Cの下判定を有効に使おう。 自分が上軸に居る場合 手紙や5C、置きJ2Aを使って、追いかけてくる魔理沙を返り討ちにしよう。 大体手紙が安定行動。 自分が中央軸に居る場合 魔理沙が上軸に居るなら早めに8Bや電柱を出しておこう。 降りてくるのを見越して下軸に潜って置きJ8Aするのも良い。 魔理沙が下軸に居るなら上軸に逃げつつ2Bや手紙を撒くといい。魔理沙側は大分動きづらくなることだろう。 自分が下軸に居る場合 下軸で安易に電柱を振ってると、JAやJ8Aを刺し込まれる危険性がある。 魔理沙が菫子より上に居て打撃が刺し込まれなさそうな状況なら、 先に8Bを撒いておくと魔理沙がJA,J8Aを振りに来たとしても8Bが壁になってくれる。 魔理沙も下軸に居るなら5Bか置きJ6Aが効果的。 近距離 魔理沙側の行動 発生の早いJA,J8Aで菫子に攻撃してくる。 と、同時に菫子のレバ打の範囲内なのでガード入れ込みしながら移動して、隙を伺ってくることも多い。 近距離で注意する技 JA 前方斜め上に判定が出るため、魔理沙より上に居ると使ってくることが多い。 J8A 魔理沙より下に居る時に使ってくる。ヒット確認が容易で、ここから簡単にフルコンできるため強気に振ってくることが多い。 菫子側の行動 自分が上軸に居る場合 魔理沙が中央軸に居る場合、こちらのJ2Aと魔理沙のJAだと発生の速さでこちらが負けてしまうことが多い。置きJ2Aだと話は別だが。 大人しくガードするのが安全だが、敢えて中央軸にJAで突っ込んでいくのもいいかもしれない。 もし下軸に居るようだったらテレポートして逃げるのも一つの手。 自分が中央軸に居る場合 この場合、魔理沙は上下軸に居ることが多い。 上軸に居るのなら、逃げれる距離なら下軸に逃げつつ置きJ8Aをするといい。魔理沙は下方向に強い打撃が2Cぐらいしかないため攻撃を貰いにくい。 逃げれない距離なら大人しくガードしておこう。 下軸に居るのなら、上軸に逃げるのが比較的安全。ただ、9 JA(J8A)で届かれる場合もあるので油断は禁物。 真下に居るようなら上軸に逃げて手紙か5Cをすると、魔理沙側はとても動きづらくなる。 とにかく、魔理沙とは反対の軸に逃げるのが効果的。 自分が下軸に居る場合 あまり居たくない位置。 上軸なら手紙や5Cなど、発生が早く追い返しやすい射撃があるが、下軸にはそういった技がないためガードせざるを得ないことが多い。 機能する技はJ8Aぐらいだが、J8A自体強い技のでどうにかなる場合が多い。 固められたら 起き攻め時に5Cをほぼ確実に重ねてくる。 5C JAや5C 5C、5Cめくりなど色んな択があるが、基本はめくりを気にしつつ大人しくガードするのが良い。 魔理沙は固めが強い方ではないので、きちんと結界してれば自ずと抜けどころが見えてくる。 ただ、相手が早口できるゲージ量なら6Cの移動狩り択があるので、そこは頑張って読み勝とう。 【霧雨魔理沙の宇佐見菫子対策】 コメント 名前 コメント
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霧雨 魔理沙 +1 魔理沙11スレ目 4 1スレ目 12 1スレ目 53-54 1スレ目 318 1スレ目 633 1スレ目 637 642-643 645 1スレ目 781 +2 魔理沙21スレ目 783 1スレ目 882 2スレ目 23 +3 魔理沙32スレ目 111 2スレ目 230 2スレ目 763 126 149 283 428 3スレ目 42 3スレ目 289 3スレ目 309-310 3スレ目 311 3スレ目 319-320 3スレ目 377-379 3スレ目 472 +4 魔理沙43スレ目 651(うpろだ0003) 3スレ目 782 3スレ目 961 4スレ目 70 4スレ目 166 4スレ目 231 238 269-270 4スレ目 352-354 4スレ目 630 4スレ目 688 4スレ目 824 +5 魔理沙54スレ目 873-874 4スレ目 971 5スレ目 41 5スレ目 342 5スレ目 802 5スレ目 803 5スレ目 886(うpろだ0059) 6スレ目 21-22 6スレ目 39-40 6スレ目 51 +6 魔理沙66スレ目 59(うpろだ0067) 6スレ目 409 6スレ目 447 +7 魔理沙76スレ目 522 6スレ目 584 6スレ目 585 6スレ目 770 7スレ目 90 7スレ目 307 7スレ目 314 7スレ目 436 7スレ目 686 +8 魔理沙8うpろだ242 うpろだ248 うpろだ272・273 +9 魔理沙9うpろだ285・380・943 うpろだ357 +10 魔理沙10うpろだ396 うpろだ411 10スレ目 220 8スレ目 44 8スレ目 163 8スレ目 280 8スレ目 330 8スレ目 356 +11 魔理沙118スレ目 389・390 8スレ目 447 8スレ目 892 9スレ目 409 9スレ目 437 9スレ目 802 10スレ目 23 11スレ目 220 うpろだ697 11スレ目 713 10スレ目 501 10スレ目 914 10スレ目 990 +12 魔理沙1212スレ目 267 うpろだ802 11スレ目 488 12スレ目 517 うpろだ841 どっちの方がすき? ~霧雨 魔理沙~(12スレ目 634 うpろだ858) 12スレ目 81 12スレ目 408 12スレ目 440 12スレ目 771 うpろだ874 12スレ目 776 うpろだ878 12スレ目 600 12スレ目 968 うpろだ922 12スレ目 974 うpろだ929 +13 魔理沙1313スレ目 297 うpろだ969 13スレ目 583 うpろだ1008 うpろだ1032 うpろだ1114 +14 魔理沙14うpろだ1151 うpろだ1241 うpろだ1291 新うpろだ41 +15 魔理沙15新ろだ46、49、61、73 +16 魔理沙16新ろだ95 +17 魔理沙17新ろだ98 新ろだ152 +18 魔理沙18新ろだ220 新ろだ252 新ろだ410 新ろだ531 新ろだ548 Star Prism -星鏡-(新ろだ605) 新ろだ636 +19 魔理沙19新ろだ701 新ろだ716 新ろだ723 新ろだ740 新ろだ744 +20 魔理沙20新ろだ768 新ろだ830 新ろだ836 新ろだ882 新ろだ924 +21 魔理沙21新ろだ951 新ろだ1019 ~eternalnocturne それが君と奏でる曲~(新ろだ2-023) 新ろだ2-121 +22 魔理沙22新ろだ2-264 新ろだ2-270 新ろだ2-287 Megalith 2011/12/11 Megalith 2011/12/19 Megalith 2012/01/26 +23 魔理沙23Megalith 2012/05/25 Megalith 2012/07/26 Megalith 2012/09/11 うpろだ0019 35スレ目 324 +24 魔理沙24 +25 魔理沙25 +26 魔理沙26 +27 魔理沙27 +28 魔理沙28 +29 魔理沙29 +30 魔理沙30 レス 1 35スレ目 252より後のレスは魔理沙23以降にまとめ